闇の奥で、肉が蠢いている。
その肉塊、産卵管の全長はおおよそ十数メートル、はち切れんばかりに膨れ上がった胴回りは最大数メートル、所狭しと曲線を描いたそのシルエットはまるで大規模生産工場の幹線ダクトのようだ。その存在感はまさに目を瞠るほどで、目にした者はどれほど勇敢でも息を飲むだろうと思われた。
表面は薄い皮膜で透き通っており、内奥は酸の体液と卵の幼生がみっしりと詰め込まれているのが見て取れた。微細な血管が内壁へ無数に走り、微細に鼓動を打ちながら、まだ生まれぬ卵たちへ養分を供給してゆく。
産卵管が据え付けられた悪夢的造形の玉座、産卵管の括れた接続部が繋がる先に鎮座するのもまた悪夢の具象。全長は十数メートルにも及ぶ巨体。胴体部分からは大小左右三対、長く逞しい六本足が折りたたまれて収納されている。卵を産むことに専念するため、“彼女”は肋骨にも似た頑強な梁で巣へとしっかり固定されていた。
玉座に掛けた“彼女”の名前は〈エイリアンクイーン〉。異形の宇宙生物ゼノモーフの母親にして、この巣のエイリアンどもの頂点に君臨する偉大な女王である。
無数のゼノモーフどもがひしめき合う巣の最奥でエイリアンクイーンは静かに休息していたが、ふと目を覚ましたかのようにゆっくりと体を起こした。巨大な冠、フードの下から滑り出たのは目の無い顔面、牙の隙間から漏れ出るのは力強い吐息。
女王が覚醒した途端、その周りで傅いていたゼノモーフの群れはざわめき始めた。玉座を中心として広がるゼノモーフどもの艶めかしい声、浮かんでいるのは興奮の色。ゼノモーフどもの脳裏にあるのはこれから始まる神聖な儀式、生の饗宴への期待である。
やがて、女王が動き始めた。体の奥から湧き上がる膨大な情熱に浮かされ、エイリアンクイーンは下腹部に力を籠めて思いきり
作品キャプション
エイリアンクイーンのフィギュアの股間を凝視しながら書きました。
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