起
嶋田遥香はつい数か月前に夫と結ばれたばかりの、新婚の女性である。
彼女の母の出自は欧州圏にある。彼女自身は日本人父とフィンランド人母との間に生まれた混血で、母親譲りの恵まれた体型と琥珀色の短髪が特徴的な、見目麗しい女性だ。
遥香は自身の髪型・髪色を生かして、十八歳の頃から趣味で秋穣子のコスプレイヤーをしているという事を新婚の夫である真也には隠したままだった。
彼女は別に隠す意図は一切なかったのだが。夫にその事を黙ったままだったのは、言い出す機会も、自宅の中で衣装が見つかって問い質されるようなことも無かったからだ。
真也は遥香のオタク趣味に不干渉であり、かつ、それらに興味も持とうともしなかった。だから彼は、妻が数多の同人誌即売会に日帰りで出向いているという事にも無頓着だった。
結婚早々主任への昇格があった真也は、毎晩二十時以降の退勤となる程には忙しい日々を送っていた。
二人の出会いは遥香が大手IT企業に新卒で入社した際に、彼がたまたま彼女の新人教育担当になったという出来事が切っ掛けだった。
彼女に一目惚れした真也が猛アタックしたことで、その熱意に折れた遥香が要求を受け容れて、彼等は交際することとなったのだった。
遥香は新人教育終了後別の部署に配属となったため、真也のような多忙とは無縁だった。その忙しさの質の違いが、二人の運命の歯車を徐々に狂わせていた。
彼女は新婚なのにも拘らずなかなか夫から愛情を注がれるような状況に至れていないことを不満に思っていた。それに真也が気付けていないのが、二人にとっての不幸だった。
九月の下旬、遥香は大阪南港で毎年秋に行われる東方紅楼夢における売り子先を探していた。
彼女がいつも売り子として参加させて貰っている、世話になっているいくつのサークルが今回に限って不参加であったり、既に売り子が決まっていたりと、いくつもの事情が重なったことで、彼女は所謂「難民」状態に陥っていた。
そんな状況であり、時間的な余裕もなかった遥香は、やむなく売り子として参加させてもらえるサークルを自身のSNSアカウントを通じて募ることにした。
早速いくつもの人物から打診があったが。遥香がその中から選んだのは、紅楼夢におけるサークル参加が初めてであるという、とある相互のフォロワーだった。
その人物は、同人誌即売会自体も初参加で、右も左もわからず知識が足りていないそうなのだが、売り子がおらず困っているとのこと。
彼は秋穣子が推しであり、穣子の美麗かつ色香のあるイラストを頻繁に掲出している作家だ。その人物と遥香とはよくSNSを通じてリプライやメッセージを送り合っている懇意の仲だった。だから彼女はその依頼を折角なので、と快諾していた。
東方紅楼夢が行われる当日。遥香は会場であるインテックス大阪の時計塔の前で、件のフォロワーと待ち合わせをしていた。
約束の時間が近付いたところで、遥香に声を掛けてきた人物が。
その青年に、遥香は見覚えがあった。だから、
「あれっ、きみは……あの時の、少年……!?」
彼女は思わず驚いて声を上げてしまう。
遥香が覚えていてくれた事に嬉しそうに笑みを浮かべながら、遥香が今日売り子をする新興サークル「明るいノーソン」の主であるペンネーム「村長」こと寺元圭太は、
「その節は大変お世話になりました。本当に助かりました」
改めてあの時の礼を丁寧に口にする。
二人の最初の出会いは、八年前の夏コミに於いてだった。当時小学生であった圭太は、同人作家であった父母に連れられて東京国際展示場へと足を運んでいた。
その時、彼はコミケの事で我が子に気を配る余裕を失っていた両親に置き去りにされた挙句、初めて経験する尋常ではない人波に呑まれてはぐれ、迷子になってしまったのであった。
ガレリアのコスプレエリアに彷徨い出て右も左も分からず涙目でおろおろしていた圭太を偶然見かけた、秋穣子の衣装を着ていた遥香が声を掛けた。それが二人の馴れ初めであった。
その時は遥香が心細さから今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた圭太の手を優しく引いて慰めながら、コミケット準備会の本部へと連れて行った。それで彼は無事両親と合流することができ、事なきを得た。
圭太はその時手慣れた様子で自分を助けてくれた、当時は見ず知らずの遥香に幼心ながら一目惚れしてしまっていて、以来ずっと憧れていたのだった。
彼女に追いつくにはどうすべきかを考えた時、圭太の武器となり得たのは親から受け継いだ絵心だった。
圭太の両親は有名な漫画作家で、普段は商業原稿と同人誌即売会参加で予定がびっしりと埋まっている。
故に彼は十分な額の生活費は両親から得ていたものの、実質的に育児放棄気味の家庭で育ってきたと言っても過言ではなかった。
早々に家事力などの面で親から自立せざるを得なかった圭太は、その過程で時間管理の術を身に着けたことで、学業の合間にイラスト作成の技法を学ぶ時間を作り出してめきめきと頭角を現していった。
圭太の両親は共にコスプレ界隈でも美貌を誇る事で有名だった。彼はそんな両親のそれぞれの長所を色濃く受け継いでいて、所謂「イケメン」と呼ばれる部類の整った顔立ちをしていた。
故に級友の女子から言い寄られる事も多々あった。だから圭太は、性の目覚めからこのかた、性欲発散の相手に困った事は一度もなかった。
圭太は付き合った女子に求められて一度以上肉体関係は結ぶことが多かった。しかしながら、その相手の事をどうしても初恋の相手である遥香と比較してしまい、違和感や見劣りを覚えてしまう。
だから、数か月交際していると、彼はそれに耐えきれなくなってくる。結果として、圭太の方から一方的に関係の解消を申し出る事が常だった。
そういった行動を続けていた彼は、ある時振った女子からの逆恨みで悪評を立てられてしまう。そのことで、彼は高校を卒業する頃には「女癖が悪い」と後ろ指をさされ続けていた。
そんな陰湿な環境に嫌気が差した彼は、進学先を地元から離れた関東地方の学力が高い国立大学に選んでいた。
当然、同級生の学力では到底辿り着く事ができないであろうそこへと進んだのは、学年で圭太ただ一人。
彼が通っていた高校では、その大学への現役合格者が出るというのは今までにない快挙だった。圭太はその事で教師からは絶賛を受けていた。
然るに、同級生達はそれも気に入らないようで、それについても矢鱈と妬まれるばかりであった。
果たして、新たな環境での再起を図った圭太は、進学した大学に半ば潰れかけていた漫画研究会がある事を知って、それに入部していた。
彼はそこで出会った、在学中に連載デビューをする程の卓越した画力を持つ先輩のアシスタントを務める事になる。
学業の傍らでそうした技術力の向上につながる活動を地道に続けているうちに、圭太の画力も比例していつの間にか飛躍的に向上していった。
そんな彼が遥香のものであると思しきSNSのアカウントを発見したのは丁度その頃だった。
高校生の時分から見られる事に興奮を覚える性癖を持っていた遥香は、承認欲求と性欲を満たす為、時たま自らのSNSアカウントで秋穣子のコスプレ衣装から下着を露出させた自撮り写真を公開していた。
圭太はそのアカウントが掲載している写真の衣装の再現性の高さと、幼い時分に目に焼き付けていた遥香の右手の特徴である二連の黒子が、公開された画像にも写っているといったところから、それが想い人のアカウントであることを確信していた。
遥香であると思しきそのアカウントをフォローした圭太は、その人物が投稿していた下着を露出しているコスプレ自撮り写真のうち、自身が一番色香があると思うものを選んでイラスト化して、描いてみました、という体にして贈ってみた。
それに対する反応は彼の予想以上で、そのアカウントからは即座にフォロー返しが来たのもさることながら、ダイレクトメッセージで丁寧にお礼のメッセージが送られてきた。
それ以来、二人はそこそこの頻度でやり取りを交わす間柄となっていったのだった。
そんな仲の良い相互フォロワーがまさか高校生の時分に助けてあげた小学生の子で、今日売り子をするサークルの主だったとは露とも思っていなかった遥香は、少し前に特別に撮りおろした下着姿の写真を彼に送ってあげていたという事を思い出して、赤面していた。
一方で、遥香はこの運命的な再会にときめきのようなものを自覚していた。新婚の夫との交渉の機会がここのところめっきり減っていた彼女は、顔立ちの良い青年に逞しく育った圭太に、常日頃から下着姿を見られていたと考えると、身体が火照って仕方がなかった。
遥香と共に会場入りした圭太は、彼女から着替えに向かう前に教示されていた手筈で、スペースの準備を急いでいた。
そうしていると、穣子の衣装を身に纏った遥香が戻ってくる。以前と変わらずの美しさと可愛らしさ、それでいて大人の色香も漂わせるようになっていた彼女の姿に、圭太は思わず見惚れてしまう。
「やだ、もう❤ なぁに、じっと見ちゃって❤ そんなに憧れのお姉さんが目の前にいるのが嬉しいのかな?」
「わ、ごめんなさい……。あの時から全然変わってなくて、すっごくきれいで、つい……」
満更でもなさそうに頬に紅葉を散らしながら軽口を叩く遥香に、圭太はこくこくと二度頷くしかできなかった。
「ふふ、ありがと❤ コスを褒めて貰うのはすっごく嬉しいけどさ。ほら、早く準備終わらせちゃわないと、開場までもう時間ないよ?」
容姿を褒められて擽ったそうにはにかんだ遥香が、ふとスマートフォンの時間を確認して注意を促す。彼女の指摘通り、一般参加者の入場開始まで残り三十分を切っていた。
彼女に背中を叩かれた圭太は、準備作業を目一杯急く。その甲斐があって、彼等に用意されたスペースはぎりぎりのところで準備を開場までに間に合うことが出来たのだった。
圭太は既にインターネット上では美麗なイラストを投稿する作家として名を馳せている。その神絵師の卵が、東方の供給が相当少ないマイナーキャラの同人誌を紅楼夢で出すという噂は、瞬く間にネット上に広まっていった。
特に穣子を推す界隈の反応は衝撃的なものであったと言っても過言ではなかった。
故に、今回の紅楼夢が、彼が初めて出展した即売会であるにも関わらず、彼のサークルスペースの前には開幕早々人だかりが出来始めていた。
ここまで自分の同人誌を求めてやってくる人がいるとは想定外だった様子の圭太は驚き、戸惑っていた。だが、熟練の売り子である遥香がそれを的確にカバーしたことで、彼等のスペースは大きな混乱が起きる事は無かった。
そんな大盛況の状況であったことから、圭太のサークルは昼前には持込部数の全てが完売するという、初参加としては快挙というべき戦果をあげていた。
遥香の手伝いもあって手早く撤収の準備を済ませてしまった圭太は、彼女に誘われてコスプレ撮影が認められたエリアへと足を運んでいた。
彼女の意図は「イケメン」に成長した圭太を同伴することで所謂「虫除け」の効果を期待したものだった。
普段からSNSでは人妻であることを秘匿している遥香は、即売会などでコスプレの写真撮影が可能なエリアへ赴いたならば、必ずと言って良いほど有象無象の男から軟派の声掛けを受ける。
純粋な写真撮影の依頼ならばともかくも、左手に指輪が付いているのにも関わらずそれでも構わないから、としつこく誘ってくる男があまりにも多かった。
それに辟易してしまった遥香は、本来雰囲気が好きで度々訪れていたそういった場所から足が遠のいてしまっていたのだった。
今回圭太を連れ立ってコスプレエリアへと出向いた効果は、遥香が思っていた以上に覿面だった。普段なら着いて五分も経たないうちに軽薄な男に声掛けをされるところ、今回に限ってはそういった人間が寄り付くのは一時間を過ぎても皆無だった。
圭太も遥香の意図を汲んで、女性との間合いや距離感が分からずぐいぐい来るオタクが現れた際に間を取り持ったりと、彼女から求められた役目を十二分に果たしていた。
そうこうしているうちに、時間は十四時を回っていた。共に関東からの遠征で日帰りの予定だった二人は、そろそろ本格的に撤収を開始しなければならない。
「今日はありがとね! そうだそうだ、まだ、きみから私のこと、撮ってもらってなかったね。村長くんの一番いいと思うポーズとアングルで私のこと撮影してほしいな❤」
撤収間際、遥香がそんな提案をしてくる。それに暫し逡巡してしまった圭太が咄嗟に思いついたのは、自分の初めての同人誌を手に携えた遥香の姿を正面からというものだった。
今までそんな構図を指定されたことがなかった彼女は、頬に紅葉を散らしつつも、はにかみながら彼の指示に応じる。
遥香の姿を一通り撮り終えて笑顔を見せる圭太の横に、やはり笑顔の彼女が小走りで駆けてくる。
「じゃ、最後に、一緒に撮ろ❤ ほら、カメラカメラ」
彼女は無遠慮に圭太の左腕を抱いて、ツーショットの撮影を急かした。
穣子のコスプレをした豊満な体つきの美女に腕を抱かれているというその様子を目撃した通りがかりのオタクたちから羨望と嫉妬の眼差しを向けられた圭太は少し困惑しつつも、腕に当たる柔らかな感触にとぎまぎしながら、自身のスマートフォンで撮影を始める。
「ん、バッチリ撮れてるね! そだそだ。ついでにチャットも交換しちゃおっか。あとで今撮ったの送ってね❤」
彼の端末を覗き込んで撮影された写真の内容を確認した遥香に言われるがまま、圭太は自然な形で彼女と連絡先の交換を済ませる。機会を見計らってそれを言い出そうとしていた彼は、思わぬ幸運に内心手放しで喜ばざるを得なかった。
遥香はこの後更衣室へと向かわねばならないため、二人はその場で解散することとなる。
憧れていたお姉さんと再会できただけに留まらず、その彼女と連絡先まで交換できてしまうという想像以上の成果を得る事が出来たことで、往路よりも軽くなった荷物を引き摺りながらコスモスクエア駅まで移動する圭太の表情は、実に満足気であった。
新大阪駅に到着した圭太は、先程交換した遥香の連絡先へ、チャットアプリを用いて写真と今日の御礼を送信する。すると彼女から
「今日は本当にありがとうございました! 写真もありがとうございます! 短い時間でしたがとても楽しかったです。また機会があれば是非売り子に誘ってください!」
早速丁寧な返信が届いた。
圭太はそれに対する返信で、申し込んでいた冬コミの話題を遥香に振った。その上で、当選した暁には、できれば続けて売り子をお願いしたい、と彼女に打診してみた。
それに彼女は、
「わー! すっごく嬉しいです! 是非お願いします!」
やはり丁寧な形で快諾の返事を送ってきた。
そうして二人が数度やり取りを交わしているうちに、それなりの時間が経過していた。圭太はそろそろ乗車する新幹線の時間が近付いて来ている事に気付いて、予約サービスで示された指定の列車がやってくるホームへと移動する。
彼が途中ホームにあった売店で昼食の駅弁を買い込んで、乗車位置に到着してから暫く。博多からやってきた新幹線がホームに滑り込んで来た。
列車のドアが、頑丈そうな安全柵の自動扉と共に開く。圭太は荷物を引き摺ってそれにいそいそと乗り込むと、自身に割り当てられた座席へと腰掛ける。
彼は今回窓際の席が取れなかった事を憂いていた。往路では朝早くであったため問題なく取れたものの、復路の列車は三連休の夕方ということもあり、窓際の予約は既に埋まってしまっていたのだった。
圭太は今回止む無く通路側の席になってしまったことから、新大阪から隣の席に誰かが乗ってくるのだろう、と見越していつでも立ち上がって道を譲れるように構えていた。
然るに、それらしき人物が現れないまま列車は新大阪駅を発車してしまう。
「新大阪からご乗車のお客様、いつも新幹線をご利用頂きありがとうございます。のぞみ○○号、東京行です。この先、京都・名古屋・新横浜・品川の順に停車して参ります――」
車掌の車内放送が流れる中、圭太は車掌が通りがかった時に隣の客の状況を聞こうと志していた。
圭太は一先ず京都駅に到着するまでは隣席の人物はいないものと了解して息を吐いていた。そんな彼の許へ、
「ふーっ、危なかったぁ! 何とか間に合ったよぉ……」
呼吸を乱しながら、一人の女性が近付いてくる。
その人物の声に非常に聞き覚えがあったから、圭太は思わず振り向く。彼の目線の先には、右手にキャリーを、左手に予約票と大阪名物の豚まんの袋を携えた遥香が立っていた。
「えーっと、17E……っと。あれ? 村長くん……? なんだ、同じ列車だったんだ。すっごい偶然だね!」
自分の席を探していた遥香が、先程別れたばかりの人物の姿を視認して驚く。
「はるさんの席、17Eって、僕の隣ですね……」
「マジ!? そんなびっくりな偶然ある!?」
しかもどうやら、二人は席が隣同士であるらしい。そんな奇縁に二人は揃って目を丸くしていた。
「取り敢えず、中どうぞ。キャリーは荷物棚に上げますんで」
「わー、助かる! ありがとう!」
圭太は立ち上がって遥香に場所を譲りつつ、彼女の荷物を備え付けの荷物棚の、自身の荷物の横に収納した。礼を口にした彼女は大きく息を吐いて乱れていた呼吸を整えている。
果たして改めて並んで座った彼等は、先程会場で別れの挨拶を済ませた手前、それぞれぎこちなく苦笑する。
二人は暫し無言だった。だが、どちらともなく彼等の腹が空腹であることを知らせて鳴ったものだから、
「ふふ、そうだよね。今日は二人共忙しくてご飯食べる暇なかったもんね」
その様に遥香は遂に笑い出してしまった。圭太もつられて照れ笑いを浮かべる。
彼女が先程まで携えていた、買い込んだ昼食が目一杯に詰まった袋を座席に備え付けられている簡易な物置へと広げる。圭太もそれに合わせて、先程買い求めていた駅弁を彼女に倣って広げてゆく。
遥香が新大阪駅で購入してきたと思しき飲茶類の数は、到底一人前とは思えない程の量だった。
彼女の随分と健啖な様子に圭太が目を丸くしていると、
「わたしってば、欲張りなところがあって……色々と目移りしちゃってさ。いっつもついこうして買い込んじゃうんだよね……」
遥香は自らそれが癖なのであると、頬に紅葉を散らしながら恥ずかしげに語る。
それが切掛で、二人は暫し食事をしながらの身の上話に花を咲かせてゆく。
「そういえば。その左手の指輪は、フェイクですか?」
圭太が会場で彼女と行動を共にしていた時分からどうしても気になっていた事を、思い切って訊ねてみる。すると、
「あーこれね。これは本物だよ。勿論魔除けに敢えてつけてるってのもあるけどさ」
遥香の口からは彼にとっては思いもよらない事実が告げられる。それを知ってしまった圭太は、一瞬思わず色を失ってしまう。
そんな彼の様子を知ってか知らずか、彼女は
「実はわたし、こないだ結婚したばっかりなんだけどね……。旦那の仕事が忙し過ぎて、最近夫婦っぽいことを全然出来てないんだよね……」
思わず青息を吐き出していた。
そこから、自然と遥香の不満や愚痴が話題の中心に移ろってゆく。何度も場数を踏んでいたことで女性の扱いに慣れていた圭太は、敢えて自身の感情はひた隠しにして聞きと相槌に徹していた。
彼女から得られた情報を総合すると、遥香の夫は彼女の趣味に無頓着で、しかもどうやら甲斐性がなさそうである。それを何となく察した圭太は、今回の偶然が重なった奇縁を存分に生かして、憧れていた彼女の事を略奪してやろうという邪な想いを抱き始めていた。
「そういえば、はるさんはどちらまで行かれるんですか?」
圭太がそれとなく話題を転換する。すると、
「わたし、横浜に住んでるから、新横浜だよ」
遥香から彼にとって意外すぎる答えが返ってくる。
「えっ、マジですか。僕も横浜なんですよ」
「えーっ、すごい。そんなことある!? ちょっと待って。何区?」
転換した話題でまた偶然が重なっているということを把握した二人は、再び一様に驚きを隠せずにいた。
「うっそ、区まで同じとか……横浜線で新横浜から何駅?」
「僕は二駅、ですね」
「マジ? わたし四駅だよ! 実はめっちゃご近所さんだったじゃん!?」
住まう行政区まで同じだったという事実が判明したことで、二人はすっかり意気投合してしまっていた。
「折角ですから、どっかで打ち上げしましょうか」
「おっ、いいねいいね! 村長くんはお酒結構いけるクチ?」
すかさず圭太が誘いを入れる。遥香はそれに存外乗り気で食いついていた。
そうこうしているうちに、彼等が乗った列車は定刻通り小田原駅を通過して、新横浜駅に停車すべく速度を落とし始めていた。
新幹線から下車した二人は、横浜線に乗り換えると、二駅先の圭太の最寄駅へと向かっていた。ここには彼の行きつけの、焼鳥を中心としたメニューを出す酒家がある。
その店の日本酒に対する拘りが気に入っていた彼は、イラスト作成で煮詰まった時によくここを訪れていた。
圭太の自宅最寄駅から二駅先に住む遥香もこの店の存在は把握していたようで、
「おお! ここかぁ! 一度入ってみたかったんだよ、ここ! 旦那があんまりお酒強いの飲めないから、なかなか機会がなくってね……。紅楼夢のついでではあるけど、思わぬ形で来れちゃったな❤」
かねてからの念願が叶ったと嬉しそうにしていた。
圭太は両親が秋田県出身で酒に強く、限界知らずの蟒蛇だった。そして遥香も山形県の日本海側出身で、同じく日本酒には一家言がある。二人の酒盛りは当然、店側が嬉しい悲鳴を上げてしまうような有様にしかなり様がなかった。
二人が調子良く合わせて一升ほど飲んだところで、遥香のスマートフォンが着信を告げて鳴る。
「ごめん、旦那から電話だ……次の頼んでおいて?」
遥香が注文を依頼しつつ席を外す事を告げる。圭太はそれに首肯して返事とした。
暫くすると、少し落胆した様子の彼女が席に戻ってくる。彼がどうしたのかと訊ねてみると、遥香は
「あ……えっとね。旦那が今日も仕事で泊り込みになりそうだ、って連絡してきてて……。ごめんね、なんか最近こういう事、多くってさ」
寂しそうに愚痴を零す。
「僕でよければ、今日はとことん付き合いますよ。ここなら終電なんてあってないようなもんですし」
「もー、あんなに小ちゃかった子が、こんなすっごくいい子に育っちゃって❤ お姉さんそんなこと言われたら、嬉しくて調子に乗っちゃうぞ?」
圭太からのそんな提案に、遥香は笑顔といつもの調子を取り戻していた。
そこから二人は更に一升ほどを分け合って飲んだことで、すっかり出来上がってしまっていた。
いつの間にか遥香は、圭太に隣り合って、彼の肩にしなだれ掛かるように座っていた。突然縮まった彼女との距離に、彼ははっきりと勝機を見出していたが。彼はがっついているように見られないようにと、慎重に時期を見計らっていた。
「そうだ、HNで呼ぶと長いからさ、チャットアプリにある本名から、けー君って呼んでもいいかな?」
不意に、遥香が更に二人の距離を縮めるような提案を口にする。全く吝かでは無いそれに、彼は二つ返事で承諾していた。
更に二つほどの話題を経たところで、
「そういやさ、けー君って、彼女はいないの? こんなにいい子でカッコイイなら、女の子から引っ張りだこだと思うんだけどなぁ」
不意に遥香が、圭太が待ち望んでいた話題を口にした。
ここぞとばかりに彼は
「僕は、実はあの時からはるさんに一目惚れしてて……。だから、今まで何度か女の子とは付き合ってみましたけど、なんか違うなぁ、って思っちゃって……。だから今はフリーですよ」
積年の想いを遥香にぶつけてみる。それに対する彼女の反応は、
「そっ、そうなんだ……あっ、ごめんね? 全然嫌じゃないというか、むしろ嬉しいかも、なんだけど……いや、なんかちょっとびっくりしちゃって……。けど、ずっと片思いしてくれてたってことなんだ……そっかぁ……❤」
明らかに満更でもなさそうだった。
「だから旦那さんがいるって聞いて、ショックでしたけど……こうしてお話してみて、やっぱり好きって気持ちは変わらないな、って」
好機を逃すまいと、圭太は盃を傾けながら更に彼女の気持ちを揺さぶってゆく。その効果は覿面で、実際に遥香の心持ちは大きく揺らいでいた。
彼女は、偶然が重なってこうして再会して、更には自身にずっと片想いをしていたと告白してきた圭太に対して、ときめいてしまっているという事をはっきりと自覚していた。
遥香の夫である真也は、彼女からしてみれば周囲が羨む程の美人を自分のものにしたという現状に満足してしまっているような節がある。彼女は前々から彼の向上心のなさを不満に感じていた。
それは、今となっては立場があると理解していながらも、若い男に告白されて浮ついてしまっている彼女の背中を押す、ある種の免罪符となり得つつあった。
酒も進んですっかりしおらしくなってしまった遥香の様子に勝利を確信した圭太は、
「そろそろラストオーダーですね……場所、変えましょっか……?」
自身の腕を小脇に抱えるようにして身体を押し付けて、期待の雰囲気を醸し出して来ている遥香に、それとなく誘いの提案をする。
「ん……❤」
盃に残っていた日本酒を飲み干した彼女は、圭太からのそれに遂に小さく頷いてしまっていた。
売り子の謝礼の一環としてその場の会計を受け持った圭太は、そのまま遥香を連れ立って再び改札を潜って自宅最寄駅のホームへと降り立っていた。
彼等が目指していたのは遥香の自宅の最寄駅とは反対方向、つまり新横浜方面だった。その端には男女が一晩褥を共にする為の施設が多数あるということを、共に横浜市民である彼等はそれぞれ了解していた。だから二人は暗黙のうちにそこへと足を向けていた。
目的地に到着した彼等は、数あるモーテルの中から無作為に一つを選んで入り込んで、一晩二人きりになれる場所を確保していた。
「本当に、いいんですか……?」
「ここまで来ちゃったんだもん、今更、だよ……❤ それとも、怖気づいちゃった?」
「まさか。すっごく、嬉しいし、光栄ですよ……」
圭太は部屋に入るなりすっかり出来上がって表情を蕩けさせてしまっている遥香と、早速接吻を交わし始める。それが舌を絡めた濃厚なものに変化してゆくのには、然程の時間を要さなかった。
そのまま寝台へと縺れ込んだ二人は、互いの衣服をゆっくりと脱がせ合ってゆく。
圭太が上半身の衣服に続いて遥香が身に着けていた丈が長い伽羅色のプリーツスカートを脱がせようとしていた。然るに、
「あっ、ちょっと、まって……。スカートと、ぱんつは……自分で、ぬぐから……」
彼女はそれを嫌って圭太の手を制していた。
不思議そうに首を傾げる圭太に、
「その、今日、さ……えっちすることになるなんて、思ってなくて……。ぱんつ、やっすいやつ、はいてて、はずかしいから……」
遥香は下着、特にショーツに油断があったという事を認めて赤面する。
そんな彼女の様子に堪らなくなってしまったらしい圭太は、遥香の意向を無視して無遠慮にスカートを脱がしに掛かった。
「や、ちょっと、だめぇっ……。うぅ……はずかしい、から……そんな、みちゃ、だめぇ……」
圭太によってショーツのみの姿に剥かれてしまった遥香は、羞恥から赤面して両手で顔を覆っている。
彼女が身に着けていたのは、綿製の灰梅色の生地に二種の花弁の紋様がプリントされた、履き心地が良さそうなショーツだった。
「可愛らしくて、いいじゃないですか……別に変でもないし、すっごく、似合ってますよ」
圭太は遥香の耳障りがよさそうな言葉を選びながら、自身もトランクスのみの姿となった上で、改めて彼女を抱きしめる。
「でもでも、レースもない、やすっぽいぱんつで、ちょっと、がっかりしたよね……? ほんとは、もっとちゃんとした、かわいいやつとか、えっちなやつとか、あるんだよ? ううっ、こんなことなら、ちゃんとぱんつも、よそいきのやつ、はけばよかったなぁ……」
遥香は圭太の胸に抱かれながら、涙目で言い訳を口にしていた。
「そんなこと、ないですってば。僕は、初恋の人であるはるさんを抱けるってだけで、もう堪らなくって……」
彼は首を振って彼女の言を否定すると、彼女の右手を自身の股間へと誘導する。布越しでもはっきりと理解できるその質量を確かめた遥香は
「わっ、すご、っ……。ってか、けーくんの、お○んぽ、すっごく、でかくない……?」
驚きを隠せずにいた。
圭太のそれは同年代の男性に比してかなり太さも長さも桁違いの所謂「巨根」と称して差支えのないものだった。
こんな逞しいものを迎え入れたならば、どれ程の快感が得られるのだろうか。遥香はそれを思わず想像してしまい、身体の芯が熱くなってゆくのを感じていた。
抑えが効かなくなりつつあった二人は、舌を絡めた接吻を交わしながら、最後の一枚を脱がす寸暇も惜しんで互いの身体を優しく愛撫し合ってゆく。
遥香は今まで男性との性交では絶頂に至ったことがなかった。だから、夫と愛を育んだ後も一人欲求不満を慰めるのが常だった。
然るに、圭太と交わろうとしているこの最中においては、遥香は彼に乳房や鼠径部から恥丘にかけてを優しく愛撫されているだけで、今まで味わった事のない快感を得て、身体を震わせてしまっていた。
彼女が履いたままだったショーツのクロッチは、止め処なく秘唇から溢れ出てくる蜜で既にぐっしょりと濡れてしまっている。
そんな様子を目の当たりにしたことで、圭太も遥香がしっかりと快感を得られているようだという状況をはっきりと理解していた。
「はる、さんの、ここ……すっごい、濡れて、ますよ……。気持ち、いいですか……?」
「ひぁ、ぅぅ……っ❤ そんな、とこ……はずかしい、から、みちゃ、だめ、だよぉ……っ❤ ううっ……はずかしい、くらい……わたしの、お○んこ、ぬれちゃってる……っ❤」
圭太がそれを確認すると、遥香は伏せ目がちのままで、涙目になりながらも物欲しそうな表情で圭太を見つめつつ、快感に溺れつつあることを認めた。
そんな遥香の様子に堪らなくなったのだろうか、彼は無言で下履きを脱ぎ捨てて、生まれたままの姿となる。それで改めて圭太の剛剣を目の当たりにした彼女は驚きで目を白黒させた。
「はる、さん……。もう、ぼく、たまらなくなっちゃって……。いれても、いい、ですか……?」
「ん……❤ いい、けど……っ❤ こんなに、おっきいの、はいるかなぁ……❤」
彼女のショーツのクロッチをずらしながら要求する圭太に、遥香も待ちきれないという表情のまま小さく頷いて、それを受容してしまっていた。
滾った肉棒を秘唇に押し付けられたことで一瞬我に返った遥香が、
「あっ、まって……❤ ごむ、しなきゃ……っ❤」
避妊の要を口にした。それに、
「あ、あの……。はるさん、すみません……。ぼく、その……ラブホの、ゴム……入らなくって……」
圭太は気まずそうに謝罪を口にする。
遥香としても、彼の雄の質量を目の当たりにしていたことから、成程と頷いてみせる。だが、流石に避妊なしで間違いがあったならば言い訳のしようもないので、困惑しきりだ。
然るに、二人は揃って最早この場で鉾を収めるなどという選択肢を持ち得ていなかった。
「ぜったい、外に出すんで……このまま、いれても、いいですか……?」
圭太が遥香の理性を蕩かせるかのように亀頭を膣口に擦り付けながら、生挿入を欲する。最早彼の卓越した技量に屈服して、すっかり肉欲に溺れてしまっていた彼女は、遂にその要求に否とは言えず、
「なかだし、だめ、だからね……? そと、だしてね……? ん、む……っ❤ ん……❤」
最後は圭太の唇を奪いながら、半ば秘唇を覆い隠す役割を果たさなくなっていたショーツのクロッチを完全にずらしてしまう。
「やくそく、してくれるなら……。そのまま、いれても、いいよ……❤」
そして遥香は極限まで張りつめて硬くなった彼の肉棒を、優しく撫で擦りつつ自らの秘唇へとそれを誘導して、挿入を欲した。
生挿入の許可を得た事で、圭太は満を持して遥香の膣内へと侵入を試みてゆく。
ゆっくりと、だが確実に自身の膣壁を抉り押し拡げながら挿入ってくる圭太の肉棒の感覚と、それから与えられる強烈な快感に、遥香は多幸感を得て表情を蕩けさせてしまっていた。
「はる、さん……どう、ですか……? きもち、いい……?」
「ん、っ……❤ しゅごい、よぉ……❤ こんな、いれられた、だけで……イっちゃったの、なんて……❤ はじめて、で……❤ けーくん、じょうず、すぎ❤ だよぉ……❤」
遥香自身、男性経験は少なくないと自負していた。だが、彼女がここまで悦んでしまったのは、圭太が初めてだった。それ程まで彼の性交に関する知識と技術は磨き上げられていたし、彼の剛剣の逞しさも人並み外れていた。
愛している筈の夫とですら今まで味わう事ができなかった快感を得てしまった彼女は、彼の肉棒を膣奥まで咥え込んでしまう頃には、すっかり力強い雄に屈してしまっていた。
「よかった……じゃあ、もっと、きもちよく、させて、あげますから……っ」
遥香の蕩けた嬌声を耳にして苦痛はないものと了解した圭太は、そのまま雁首から幹にかけてで遥香の子宮口を抉るかのように腰を打ち付けてゆく。
「あふぅっ❤ あっ、らめぇぇっ❤ おくぅぅっ❤ らめ、らめぇぇ❤ イっちゃうっ❤ すぐ、イっちゃぅぅぅよぉっ❤」
早速彼女は続け様の絶頂へと至らしめられ、乱れてしまった。遥香はいよいよ我慢が出来なくなってしまったのか、
「きもちいぃ、きもちいぃ、よぉ❤ けーくんの、おち○ぽ、しゅごい❤ おく、くるのぉ❤ こんな、きもちいぃ、の❤ はじめて、でっ……❤ けーくん、おねがい❤ もっと、ごりごり、おく❤ ん、そこぉ❤ いっぱい、そこ、おち○ぽで、こすってぇ❤」
口の端から垂れてしまっている涎をそのままに、圭太の腰に自らの足を絡めながら更なる力強い抽迭をねだる。
「はる、さん、はる、さんっ……! ぼくも、すっごく、きもちいい、ですっ……!」
圭太も憧れだった遥香を抱いているという事に興奮を隠しきれていない。彼もまた、かつて同級の女子達を抱いていた時よりも情熱的に、熱に浮かされ突き動かされるかのように夢中で遥香の膣で抽迭を繰り返して、快感を貪っていた。
「けーくん❤ けーくんの、おち○ぽ、しゅごい、しゅごいよぉ❤ わたしの、お○んこの、おく❤ ごりごり、するたびに❤ どんどん、おっきく、なってるっ❤ わたしの、お○んこ、おかしく、なっちゃうっ❤ けーくんの、お○んぽの、かたち❤ おぼえちゃう、よぉ❤」
遥香は蕩け切った表情のままで、圭太の肉棒を咥え込んで離さない。それどころか、彼の腰を足で掴んだまま自らも腰を振って膣奥での射精をねだるかのように舐り上げてゆく。
彼女の腰の動きも相俟って、射精感が限界に近付いて来ていた圭太は、
「はる、さんっ……そろそろ、ぼく、げんかい、でっ……」
それを率直に彼女へと伝えた。遥香は呼吸を乱しながら頷くと
「ん、っ……❤ いい、よ……❤ わたしも、また、すごいの、きちゃい、そう❤ だから……いっしょに、イこ……❤ さいご、ぬいて、くれたら……すきなところに、かけて、いいからっ❤」
彼の身体を抱きしめつつ、耳元に唇を寄せると、蕩け切った甘い声で囁いた。
それで理性を蕩かされてしまった圭太は、我武者羅に腰を振って絶頂へと昇りつめてゆく。そんな限界まで遥香の膣で快感を得ようとする圭太の腰の動きに、彼女にもすぐさま再び絶頂が近付いてくる。
「ひぁ、っ❤ らめ、はげ、しっ❤ おく、ごりごり、らめっ❤ イ、イくぅっ❤ また、お○んこ、イっちゃうぅっ❤ ひぁぅ、ふぁ、ぁぁぁっ❤」
「う、っ、はるさん、だします、よっ……ぼくも、イきます、っ……! っっ!」
二人は同時に絶頂へと至った。その際、圭太は何とか中出し寸前のところで膣外に肉棒を抜き去ることに成功していた。
膣外へと抜けた圭太の肉棒は、そのまま白濁の火箭を遥香の身体に向かって迸らせた。夥しい量のそれは、彼女の履いたままだったショーツや腹部だけに留まらず、豊満な乳房までをどろどろに白く染めてしまう程だった。
「わ、すっごぉい……❤ せーし、いっぱい、でた、ね❤ どろどろで、あっつい……❤ ちゃんと、やくそくどおり、なかだし、しないで、ぬいてくれたんだ❤ えらいえらい❤」
指輪が光る左手で自身の身体にべっとりと付着した精液を摘まんで弄びながら、遥香は圭太に労いの言葉を掛けた。
「す、すみません……おもったより、いっぱいでちゃって……すぐ、拭きますね」
「ん、きにしないで❤ わたしの、お○んこ❤ そんなに、きもちよかった、って、ことだもんね❤ それに、わたしも……いっぱい、きもちよく、なっちゃったから……❤ だから、いいの❤」
替えもないところで下着を汚してしまったという事に圭太は恐縮しきりで平謝りする。遥香は絶頂の余韻に浸って満足そうな表情のまま、首を横に振って彼のそれを辞していた。
圭太から受け取ったちり紙で身体や下着に付着した精を軽く拭った遥香が、
「あ、そうだ❤ せっかくだから、さ❤ いっしょに、おふろ、はいろうよ❤」
精液がべっとりと付着して汚れてしまったショーツを脱ぎ払いながら、更に大胆かつ魅力的な提案をする。
遥香からのそれに圭太は否とは言えず、何故か赤面したままに小さく頷く。
「もしかして、だけど。けーくん、女のコ、と、お風呂はいるの、はじめてなの?」
「は、はずかしながら……」
先程の性交とはうって変わって初々しさを見せる圭太の様子から察したらしい遥香が、彼の肯綮に当たる事を訊ねてみる。すると図星を指されてしまった彼は、顔を真っ赤に染めたまま再び頷く。
「ふふ、そうなんだ……❤ さっきまでは、あんなに、女のコ慣れしてそうだったのに❤ 結構かわいいところもあるんだね❤ ほら、早くいこ❤ お姉さんの身体、じっくり眺めるチャンスだぞ❤」
精液でどろどろに汚れてしまったショーツを脱ぎ払って生まれたままの姿となった遥香が、先程までの仕返しとばかりに、緊張と羞恥で赤くなる圭太の手を取って浴室へと引っ張ってゆく。
主導権を握られてしまった圭太は、それに逆らえず、遥香のされるがままになる他なかった。
二人は仲睦まじげに一緒に浴室で湯に浸かり、同人誌即売会と打ち上げ、そして性交での疲れをゆっくりと癒した。
既に時刻は午前零時を過ぎていた。当然彼等には睡魔が容赦なく襲い掛かってくる。
浴室から出た二人は、生まれたままの姿のまま、どちらともなく抱き合うと、幸せそうに眠りに落ちてゆくのだった。
翌日の朝。一晩を過ごした新横浜から横浜線に乗り込んだ彼等は、そこから二駅先の、昨晩打ち上げをした記憶が新しい、圭太が住まう古びた住宅街の最寄駅へと戻ってきていた。
遥香のコスプレ衣装などが入った荷物は、この駅構内にあるコインロッカーに預けていたから、彼等がここに再度立ち戻るのは必然だった。
昨晩身体を交えてしまったことを思い出してしまい、互いに我に返ってぎこちなくなってしまった二人は、ここまで終始会話が少なくなりがちだった。
「それじゃ、僕はここで……また、おねがいしますね」
「うん、また、ね……❤」
売り子の依頼なのか、身体の関係なのか、どちらとも取れるような意味合いが籠る言葉を吐きつつ、圭太は遥香に手を振ると改札を出て帰宅の途へと就いていった。それを見送って一人残された彼女は、
「『また』、かぁ……。真也さんとも、ほんっと、ご無沙汰だし……。しばらくは、忘れられそうに、ないかもなぁ……」
改めて愛されることに飢えてしまっているという事を自覚させられ、一人青息を吐き出していた。
承
圭太と身体を交えてしまったあの日以降、遥香は日課である自慰を、夫である真也ではなく、一晩の相手であった筈の圭太の顔と彼の逞しい肉棒が膣内を抉っていたあの時のことを思い浮かべてするようになってしまっていた。
相変わらず夫である真也が多忙で、嶋田家の夫婦の営みは減少の一途を辿っていた。
真也が主任となって進めているシステム更新のプロジェクトは、顧客の都合やトラブルなどもあり、当初十月から稼働のところ、一月の第一週に延伸となっていた。
その準備のため、プロジェクトのチームメンバーは彼も含めて全員が年末年始休暇を返上して働かなければならない状態になってしまっている。
特に主任である真也は多忙で退勤時間が終電に間に合わない事が多々あった。そんな事情であるから、彼は社屋がある武蔵小杉駅付近に会社が借り上げたビジネスホテルで寝泊まりをして、平日はほぼ自宅には帰らないような生活を送っていた。
同じ企業内で働いている筈なのに、夫とは物理的なすれ違いが続いている遥香は、そういった事情もあって、仕方ないとは思いつつも、かなり寂しさを募らせていた。
あの一夜の出来事以降、遥香は一度だけ夫と身体を交える機会を得ていた。だが、初体験の頃から相変わらず独り善がり気味で、一つ覚え的に後背位でしか交わろうとしない真也との性交では、彼女は全く満足することが出来なかった。
既に圭太によって逞しい肉棒と卓越した技術で絶頂に至らしめられる事を身体に覚え込まされてしまっていた遥香は、間男と交わった甘美な感覚を忘れる事ができなかった。だから彼女は夫に申し訳ないとは思いつつも、彼と頻繁に連絡を取り合うようになっていた。
遥香は当初性的な承認欲求を満たす手段だったものからすっかり習慣になってしまっている、穣子のコスプレをしながら下着を露出している写真を撮って、それをSNSへ掲載するという行動を相変わらず続けていた。
あれからその習慣に変化があったとすれば、その格好をした状態で自慰をし、絶頂に至って愛液で下着がぐしょぐしょになってしまっている様子の写真や、実際の自慰の様子を自ら撮り収めた動画を圭太にだけ別途送るようになったということだった。
それ程までに、遥香の中では圭太の存在が日に日に大きくなりつつあった。彼女のその想いは、彼から冬コミに当選して正式に売り子の依頼を受けてから、より顕著であった。
圭太が初めて申し込んだ今年の冬コミでは、彼のサークルである「明るいノーソン」は初参加ながら島端の所謂「お誕生日席」と呼ばれる場所に配置されていた。
サークル駐車券も当選していた彼は、大晦日の当日朝に彼からの売り子の依頼を快諾していた遥香を、彼女の自宅の最寄駅へと迎えに行った。
実のところ、圭太は遥香が自身の車に乗りこんだ時から、彼女の身体から漂ってくる女性の芳しい香りにどぎまぎさせられ続けていた。
それはここ三日に亘って彼女から送られて来ていた「おかず」が、圭太の名を呼びながら電動の張型で自慰をしているという様子を収めた刺激的な動画であったから。
昨晩もそんなものを見せつけられてしまった圭太は、当然今日の撤収後にまたこの間のような出来事があるのではないか、と期待してしまっていた。
しかしそれを悟られてしまうのも男として情けないと感じていた彼は、平常心で遥香との談笑や運転を卒なくこなしていった。
二人が乗った車は首都高速を順調に走ってゆき、彼等は朝六時には無事、東京国際展示場へと至っていた。
圭太は駐車場から待機場所までの移動の間、遥香の着替えなどが入ったキャリーバッグを持ってあげていた。すると彼女は、手持ち無沙汰になったことをいいことに、彼の腕に自身の腕を絡めて、豊満な乳房を彼の二の腕に当てるようにして密着してきていた。
この日は寒気交りで小雪もちらつくという生憎の空模様。無論寒いからという言い訳は立つだろう。だが、二人は別に恋人同士ではなく、一度身体を交えた事があるという、ただそれだけの関係の筈。それ以前に、そもそもとして遥香は夫がいる人妻である。
だが周囲から見たならば、彼等の様子はどこからどう見ても恋人同士のそれだった。
今年の冬コミの二日目は荒天気味である中でも活気づいていた。
開場してすぐ、圭太と遥香が陣取るサークルスペースの前には、新刊を求めてやってくる購入希望者たちで人だかりが出来ていた。
圭太の紅楼夢での新刊は、開場で完売してしまっていたということもあり、高値での転売が出る程だった。状況を憂慮した圭太は、紅楼夢での新刊も重版を掛けて、今回の冬コミで再頒布することを決めていた。
そういった情報も彼のSNSから発信されていたことも相俟って、彼のスペースには会場してからたったの三十分で、長蛇の列が出来てしまっていた。それはコミケット準備会のスタッフが慌てて飛んでくる程には困難な状況だった。
圭太は開場当初は自身で慣れないながらも列整理を行っていた。十一時頃になって、混雑状況を知った準備会のスタッフが救援に入ったこともあって、手が空いた圭太は穣子の衣装を身に纏った遥香に任せきりだったスペース内の作業にようやく集中する事ができた。
そんな大盛況であったことから、彼が用意していた冬コミ新刊と再頒の紅楼夢での新刊も含めた頒布物は全て午前中のうちに完売となってしまった。
手持無沙汰となった二人は撤収作業を手早く済ませると、例によってコスプレエリアに繰り出していた。
朝は小雪がちらついていた空模様も、昼過ぎには雲間から日差しが覗くくらいには回復していた。二人がそこに至ると、思い思いの格好をしたコスプレイヤー達が皆それぞれ撮影や談笑を楽しんでいた。
圭太と遥香もそこに混ざって、暫しの間休憩も兼ねた歓談の時間を取っていた。
東方紅楼夢で遥香が圭太と懇意にしていた様子は、存外多くの人の目に留まっていたらしい。その事で、どうやら彼女には相手がいるらしい、という噂が東方Projectのコスプレ界隈で広まっていた。
だから、交際相手の存在が囁かれて久しく、どうやら箸にも棒にも掛からぬ様相であると思われている遥香に対して、わざわざ交際目当てで近付いてくるような輩は明らかに激減していた。
それでも幾何かの距離感が分からないオタクがやってくることが屡々あり、その度に圭太は紅楼夢の時と同じくそういった人物と遥香との間に入って彼女を守ってあげていた。
午後二時過ぎになると、コスプレエリアの人だかりもかなり薄れて来る。潮時と感じた二人は、ここで撤収することを決する。
遥香は更衣室へ向かわねばならないため、彼等は会場の正面入り口にある喫茶店で再び落ち合うことを約束し合って、一度別行動を取る事になった。
先に荷物を車に置いて一呼吸を置いた圭太は、先に待ち合わせ場所である喫茶店に入ると、疲れた体を休ませながら、先程撮った写真から映えが良いものを選んではチャットアプリで遥香に逐一送信していた。
彼がそうして暫く時間を潰していると、遥香からまもなく到着するという連絡が入る。
圭太は遥香に何か飲み物は入り用かと確認したうえで、喫茶店で彼女が欲したものを持ち帰りで注文して外に出た。
圭太が飲み物を受け取って店外へと出ると、丁度良いところに遥香がやってきた。二人はそのまま会場を後にして、駐車場へと戻ると車に乗り込んで帰路へと就く。
彼等が乗りこんだ車は、臨海副都心から首都高速湾岸線へと入り、まもなく川崎浮島JCTを通過しようとしていた。行程は極めて順調だった。
車を運転する圭太に、
「そういや、さ。……けーくんは、お正月、なんか予定あるの?」
遥香が不意に話題を振る。
「あー、僕の両親、男性向けで一日目だったみたいですけど。商業そっちのけでコミケ出るもんだから……原稿の締切ヤバイって言ってて。多分今日も作業場の方に行って缶詰だと思うので……おそらくぼっちですね」
「あー……なるほどねぇ……。そりゃ、やっぱ寂しいよね」
圭太は彼女からのそれに少し寂しそうに溜息を交わらせながら、独りきりであるという事を告げた。会場前の世間話などで、彼の両親も作家でコスプレイヤーであるということ予めを聞いていた遥香は、その話で納得したのか、苦笑を浮かべていた。
「実はね、わたしも旦那が仕事でお正月も出ずっぱりで……今日明日と、一人なんだよね……」
遥香も彼の傷心に合わせるように、自身の心の靄の核心に近いものを吐き出してみる。
「いや、仕方ないとは思うんですけどね……はるさんの、旦那さんも……こんなかわいい奥さんをほっといて何やってるんだ、って話ですよ」
圭太は前を見て操縦桿を握りながら、内心で思っている事の一部を口に出してみていた。
自身が常日頃から思っていることに同意してくれるらしい様子の彼の口ぶりに、遥香は少し救われた気分になっていた。だから彼女は、助手席で小さく俯きながら、嬉しそうに微笑んでいた。
「そうだ。せっかくだし、ぼっち同士、お酒でも飲まない?」
遥香は圭太が酒に強い事を思い出して、打ち上げを提案する。彼としてはその提案に乗るのは全く吝かではなかったが。
「それは全然オッケーというか、むしろ歓迎ですけど。うちの近く、今日は大体店休みだったような……ラーメン屋くらいしかやってないですよ?」
酒を飲む以上車は置いて行かねばならないと考えていた彼は、彼女に対して駅前の飲食店事情を鑑みて難しいのではないかと指摘してみる。
圭太の指摘は尤もである。そう頷いてみせた遥香は、
「だから、ね。この前飲んだお店からちょっと行ったところにスーパーあったよね? あそこなら今から行ってもまだ開いてるだろうし、駐車場もあるし。そこで何か買い込んで、ウチで宅飲みしない?」
圭太にとっては、本当に思いもよらなかった提案を持ち掛けたのだった。
圭太は遥香と一緒に自身の自宅の最寄駅至近にある大型スーパーで食料品と酒を買い込むと、一路遥香の自宅へと向かっていた。
買い込んだ食料品の大半は料理が出来るかどうかを彼女に問われた際、羽後地方の名物鍋が作れると口走ってしまったがために、彼女に請われて作ることになってしまった食材だった。
圭太は普段他人に対して料理を振る舞う事など滅多になかった。必要に駆られて自分の食の彩の為だけに腕を磨いてきただけだ。だが、現在進行形で想いを寄せている遥香に請われて料理を振る舞うということに関しては、彼自身全く悪い気はしていなかった。
遥香が夫と住まうのは、駅からバスで五分程のところにある閑静な住宅街の一角にある一軒家だった。
確かにこの位置ならば、駅までは歩いても行けなくない距離ではある。だが、衣装の入った重い荷物を引き摺って行くのは、骨が折れそうな道程だった。
圭太がそんな感想を口にしてみると、
「そうなんだよー! わたしが車とか原付とか持ってればよかったんだけどね……こっちに出て来る時に実家に預けたままでさー。それに持ってこようにも、この辺駐車場も駐輪場も高くって……」
遥香は東京隣県における車両保有の難しさを引き合いに出した。彼女自身は東北地方の出身ということもあり、当然のように運転免許を所持していたが、昨今は運転する機会もなく、運転免許をただ保有しているだけという状況であるようだった。
遥香に案内されて自宅近くの時間貸駐車場に車を停めた圭太は、早速買い出しの荷物を持って彼女の自宅へと上がり込む。
既に時間は午後六時を回っていた。早速圭太は遥香の手も借りて、腕によりを掛けて羽後の名物鍋を仕込みに掛かった。
鍋の煮込みが終わるまでの間、二人は買って来た日本酒を早速空け始めていた。酒が進むにつれて、遥香は段々愚痴っぽくなってゆく。それは鍋が煮えて二人がそれを堪能した後から、より顕著になった。
遥香曰く、夫がまったく帰って来てくれず、その事で夫婦の営みも激減していて、欲求不満である。それを彼女自身の口からはっきりと聞かされた圭太は、以前の一晩の出来事で、彼女が自身の誘いに応じた理由について、得心がいったようだった。
二人が更に数杯酒を嗜むと、時刻はとうに午後二十三時を過ぎていた。
遥香はいつの間にか圭太が腰掛けている二人掛けのソファーの、彼の隣に移動して来ていた。彼との距離がほぼ無い状態で酒器を傾けていた遥香が、
「今晩は、泊っていっちゃう……?」
不意に頬に紅葉を散らしながら問う。
そもそも酒を買い込んで車でここに至っている時点で、彼女にそうお願いするつもりだった彼は、
「それはもう、はるさんさえよければ……」
彼女の方から誘われるとは思ってもいなかったようで、この後の展開を期待して身体が熱くなるのを感じながら頷く。
「ふふ、そうこなくっちゃ❤ さっきお風呂沸かしておいたから、また一緒にはいろ❤」
圭太から色好い返事を得た遥香は、早速彼の腕を抱いて、彼を浴室へと引っぱってゆく。彼女の積極さを目の当たりにした圭太は、自身の朝時点での予想通りの展開になりつつあることを、内心手放しで喜んでいた。
浴室に至り、早速遥香が衣服を脱いでいく姿を、圭太は自身の脱衣をそっちのけでじっと見つめていた。それは彼女が身に着けている下着セットに見覚えがあったからだった。
遥香は臙脂色の肌触りが良さそうなすべすべの生地に、複数種の淡い朱色の糸で丁寧に草花の紋様が色鮮やかに刺繍され、かつそれらに近い色で形作られた花弁の装飾刺繍もたっぷりと縫い付けられている、妖艶なTバックショーツを履いていた。
それと対になる意匠のレース生地と花柄の刺繍が多用されたブラジャーも、彼が昨日彼女から受け取った動画に、はっきりと映っていた。だから彼がそれに見覚えしかなかったのは、まさに彼女の計画通りだった。
「あの、はるさん……その下着って……」
「あ、気付いちゃった? そう、けーくんに昨日送ってあげた、一人えっちの動画を撮ったときに、つけてたやつ、だよ❤ きもちよくなっちゃって、いっぱい、お○んこからあふれちゃった、えっちなおしるも、ずっとそのままで❤ 今日は売り子、してたんだよ❤」
どうしても気になってしまった圭太がおずおずと問うと、遥香は彼の予想が正しいことを羞恥で頬を朱に染めながら認めた。
「かわいくて、えっちで、お気に入りなんだ❤ けーくんも、こういうぱんつとか、好きだよね?」
彼女の妖艶な下着姿を目の当たりにしてしまったことで、早速臨戦態勢となる圭太の肉棒の様子をちらちらと伺いながら、遥香が問う。彼女にすっかり性癖を把握されていると悟らざるを得ない圭太は、真っ赤になりながら二度頷く他なかった。
そうこうしているうちに、浴室の電子時計は既に二十三時半を過ぎてしまったという事を指し示していた。
「ほら、早くしないと来年になっちゃう! 寒いし、はやくはいろ❤」
先に生まれたままの姿となってしまい、浴室のドアを開いたことでそれを視認した遥香は、未だ上の下着すら脱ぎ終わっていない圭太を急かす。それに頷いた彼は、彼女に倣っておずおずと衣服を脱いでゆく。
果たして浴室に至った二人は、暖かな温水に当たりながら、早速舌を絡めた接吻を交わしていた。
遥香の右手は圭太の逞しく滾った剛剣を握りしめてゆっくりと撫で擦って刺激を与えている。彼の左手もその動きに呼応して、彼女のぷっくりと膨れ勃った陰核をくにくにと擦っていた。
二人はあの晩以来の、待ちに待った直接的な性感にすっかり酔いしれてしまっていた。
すぐにでも挿入したい衝動に彼等は駆られていたが、
「ん、ぅぅぅっ❤ あんまり、おマメ、くりくり、しちゃ、だめぇ❤ けーくんの、お○んぽ、いれて、ほしくなっちゃう、から、だめぇ……❤ おたのしみは、あがってからに、しよう、よぉ❤」
辛うじて残った理性を総動員したらしい遥香がこの場で身体を交えてしまう事を嫌った。そのことで、抑えが効かなくなってしまいそうになっていた圭太は、一旦気持ちを落ち着かせることが出来ていた。
風呂場から出た二人は、遥香が予め用意していたバスタオルで仲睦まじげに身体を拭き合っていた。
「あのね、わたしはちょっと準備があるから……先に、寝室に行ってて? 寝室は、二階の一番奥の部屋だから。そこでまってて❤ 寒かったら、先に敷いてあるお布団に入っててもいいからね❤」
水気を拭い終わって息を吐いた圭太に、遥香が声を掛ける。彼は小さく頷くと早速指示に従って、生まれたままの姿のままで、彼女が普段寝起きしている夫婦の寝室へと足を向けていった。
圭太が遥香の孤閨たる六畳間の和室に敷いてあった、二人用の大きさの布団の上に座ってそわそわと身体を揺すっていると、
「おまたせ❤」
遥香が声を掛けながら襖を開いてやってきた。
圭太はその彼女の姿に、思わず目を見開いてまじまじと見つめてしまう。遥香は昼間売り子をしていた時と変わらぬ秋穣子のコスプレ衣装を身に纏っていた。まさかこんな奇想天外の嬉しい誤算があるとは思っていなかった彼は、胸を突かれて固まってしまっていた。
そんな圭太の様子に、遥香は頬に紅葉を散らしながら、
「今日は、けーくんとずっと一緒にいたから……❤ 朝から、ずっと……えっちしたくて、むらむら、しちゃってて……❤ だから、この格好で、えっちしてみたいなぁ、っておもっちゃったの……❤」
興奮収まらぬといった様相で、コスプレをした状態でこの場に現れた理由を語りながら、ゆっくりと彼の許へ近づいてゆく。
据え膳と言わざるを得ないその状況に、圭太は思わず生唾を音を立てて飲み込んでいた。
遥香は衣装のボタンを外してブラウスを開けさせ、スカートもたくし上げて、先程浴室の脱衣所で脱いでいた筈の下着を露出させていた。
「さっきは、おあずけしちゃって、ごめんね……❤ おふろでの、つづき❤ しよ……❤ わたしも、コスプレえっち、はじめてだから……❤ ちょっと、はずかしい、かも、だけど……❤ けーくんに、こんなえっちなところ、みられてる、っておもったら……❤ ほら、もう、こんなに、なっちゃってるの……❤」
彼女が履いていた臙脂色のTバックショーツは、か細いクロッチが既に愛液でぐしょぐしょに湿ってしまっていて、再用には耐えられない程の様相だった。
彼女はその状態のまま、発情し切って蕩けてしまった表情で、上半身を起こしたままの状態である圭太に乗りかかってゆく。
「すご……っ❤ もう、ばっきばき……❤ わたしも、もう、がまんできないから……❤ いれ、ちゃう……ね❤ んぁぁ……❤ おっきな、お○んぽ❤ はいって、きて、るっ❤ はぅ、ぅぅぅ、っ❤」
ショーツのクロッチを自らずらした遥香は、既にとろとろと蜜を溢れさせている秘唇で、ゆっくりと圭太の滾った肉棒を咥え込んでゆく。
二人は抱き合った形で身体を交えるに至っていた。この体位では密着しながら舌を絡めた接吻を交えつつ、互いにゆっくりと快感を貪る事ができる。遥香は本来この体位での性交が一番好みだった。
しかしながら、この体位は肉棒に一定の質量がないと難しい。女性と身体を交える事に慣れているとは言い難い夫との行為では、彼女は後背位ばかりを要求されていた。だからこうして互いの表情がはっきりと分かる体位では殆ど交わらないのが常だった。
「けーくんの、お○んぽ❤ わたしの、おくで❤ すっごく、おっきくなって❤ びくびく、ってしてる❤ こう、して……っ❤ はぁ、っ、ん、ぁぁぁっ❤ カリ、のところ❤ こうやって、んぅぅっ❤ ぐりぐり、って、こすると❤ すっっごく、きもちよさそうな、かお、してる、よ……❤ わたしの、お○んこ❤ ん、ぅぅっ……❤ そんなに、きもち、いい、んだ……❤ ふふ、すっごく、かわいい❤」
遥香は蕩けた表情のままで嬌声交じりの息を吐きつつ、圭太の表情を窺って、彼の感じる箇所を探りながら、肉棒をじっくりと舐るかのように腰を動かしている。
遥香は、いつの間にか後ろ手で身に着けていたブラジャーのホックを外していた。締め付けが緩んだ彼女の下着は、肩紐がゆっくりと彼女の肌を滑り落ちてきていた。その事で彼女の豊満な乳房の全容が圭太の眼前で目の当たりとなる。
「ね、けーくん❤ わたしの、おっぱいも❤ いっぱい、さわってぇ❤ ちくび、なめられるの、すきなのぉ❤」
圭太の気持ちよさそうな表情を見て堪らなくなってしまったらしい遥香は、乳房への愛撫を欲して彼の耳元でそれをねだった。
彼がたまらずそれにむしゃぶりつくと、遥香は早速身体をびくびく振るわせて絶頂へと至ってしまう。
「はぁっ、はふ、ぅ……❤ おっぱい❤ すわれた、だけで❤ すごいの、きちゃったぁ……❤ けーくん、ほんと、じょうずすぎ、だよぉ❤」
「はる、さん……ちくび、なめるたび、びくびく、ふるえて……すっごく、かわいい、です……っ」
「やっ❤ そんなの、みみもとで、ささやいちゃ、だめぇ❤ けーくんの、お○んぽで❤ もっと、おく、ごりごりしてほしく、なっちゃう、よぉ❤」
遥香はすっかり快感に溺れてしまっていて、無意識のうちに抽迭の頻度を増やしてしまっていた。二人の結合部は、ぐちゅぐちゅと愛液と先走りとが攪拌されて交じり合う淫靡な音を立てつつある。
「はぁ、はぅぅ……❤ けーくん、おく、きもちいぃ❤ そこ、すきぃ❤ きもちいっ❤ もっと、もっとしてぇ❤ キスも、いっぱい、ほしい❤ ん、んむぅっ❤ ん、ふぁっ❤」
たまらず唇を合わせてくる遥香から差し出されて来た舌を自らのそれで絡め取りながら、圭太も彼女に合わせて腰を振るう。いつしか二人の腰の動きは段々と淫靡で激しいものに変化していた。彼等は着実に絶頂へと向かっていた。
「ん、む、ぅぅっ❤ はぁ、ふぅ、ぅっ❤ お○んぽ❤ おく、ごりごり、して、きもちいぃ、きもちいぃ、よぉぉ❤ もっと、いっぱい、おく、こんこん、してぇ❤ はぁ、んっっ❤ あぁぅっ❤ もっと、すきに、うごいて、いいからぁっ❤ はげしく、してぇ❤ わたしの、こと❤ けーくんの、お○んぽで、いっぱい、いっぱい❤ イかせてぇ❤」
遥香は息継ぎの合間に蕩け切った嬌声を彼の耳元で漏らしながら、気持ちよさそうに身体を震わせつつ更なる抽迭をねだる。
遥香のかわいいおねだりに大きく頷いた圭太は、彼女の膣に滾った肉棒を我武者羅に突き込んでゆく。
「ふぁ❤ ひぁぁっ❤ けーくん❤ おく、だめ❤ しきゅうの、いりぐち、ごりごり❤ だめぇ❤ ぁぁっ、だめぇ、また、きちゃうっ❤ おっきいの、きちゃうっっ❤ わたし、イっちゃう❤ けーくんの、おっきな、お○んぽ、で❤ また、イっちゃうぅぅ❤ あっ、だめっ、イく、イくぅぅぅっ❤ ん、んぅぅぅっ、ひぁぅぅっ❤」
圭太の逞しい肉棒で突かれ続けていた遥香は、最早呂律が回っていない。既に両手両足では数え切れない程の絶頂に至らしめられていた彼女の膣は、彼の一物から精液を絞らんとすべく、蠢動し始めていた。
圭太も射精感がこみ上げて来ていて、限界が近かった。だが、
「はる、さん、もう、だめ! もう、イきそうですっ……!」
圭太が率直に限界を伝えても、遥香は彼に抱き付いたまま腰の動きを止めようとしない。
彼等が今交わっている体位では、遥香が率先して肉棒を抜かなければ膣内射精は免れない。圭太はこのまま遥香の膣内で気持ちよさに包まれながら果てたいという願望を抱いてはいたものの、脳裏に一握りばかり残っていた理性がそれだけは拙いと警告してきている。
だから圭太はそれで何とか膣内射精だけはすまいと踏みとどまっていた。
然るに、遥香は圭太の腰に自らの股間を押し付けつつ彼の身体をしっかりと抱きしめて、体重を掛けて膣外に肉棒が抜けて仕舞わぬようにしたままで、
「だめ、だめぇ❤ また、イっちゃぅう❤ しゅごいの、きちゃう、からぁ❤ お○んぽ、ぬいちゃ、だめぇ❤ やぁっ❤ だめっ、イく、イくぅぅぅっ❤」
膣内射精を欲しているとも捉えられる言を発しながら絶頂に至ってしまう。
最早限界を突破してしまっていた圭太は、遂に耐え切れず遥香の膣奥に肉棒を挿し込み、子宮口に鈴口を擦り付けたままの状態で絶頂へと導かれてしまった。
圭太の肉棒はどくどくと脈動して膣奥へ精を迸らせてゆく。子宮口で彼の精を直接浴びた遥香は、
「あふ、ふぁぁぅ……っ❤ せーし、でちゃってりゅよぉ……❤ けーくんの、あっつい、せーし❤ わたしの、なかで❤ いっぱい、でてりゅ、よぉ❤」
その感覚でびくびくと身体を気持ちよさそうに震わせながら、恍惚の表情のままで、膣奥に射精された精液の感覚に酔いしれていた。
圭太はつい流されて膣内射精してしまったことで焦っていたから、
「ごめん、なさい……なか、だしちゃって……」
遥香に恐縮したまま平謝りせざるを得ない。
だが遥香は、まだ絶頂の余韻で震える圭太の肉棒を膣奥深く咥え込んだままで、
「ん……❤ だいじょうぶ、だよ……❤ きょうは、なかだし、だいじょうぶな、ひ、だから……❤ それに、けーくんの、お○んぽに❤ なかだし、されてみたいなぁ、って❤ おもっちゃった、から……❤ なかだし、されるのも❤ なかだし、で、イっちゃうのも、はじめて、だったけど❤ すっごく、きもち、よかったぁ……❤」
至高の絶頂に至れたという感想を漏らすのみで、特段膣内射精を問題視していないようだ。
遥香の態度と言葉を見聞きして一応納得することにした圭太は、漸く射精が止んだことで、大きく息を吐いた。
気付けば日付は変わり、年も変わっていた。静寂な夜空には、遠くの寺から聞こえて来ているらしい、除夜の鐘が鳴り響いていた。
「えへへ、なかだしとしこし、ひめおさめセックス、しちゃったね……❤ けーくんも、きもちよかった……? って、きくまでも、ないか❤ わたしの、お○んこに❤ いっぱい、なかだし❤ しちゃった、もんね……❤」
遥香が精液がたぷたぷと溜まっている下腹部を愛おしそうに撫でながら、圭太に声を掛けた。感想を問われた彼が、
「ぼく、なかだし、したの……はじめて、で……いままでで、いちばん、きもちよかった、かもです……」
初めての経験であった事を告げる。すると、
「ほんと? そうなんだぁ❤ けーくんのはじめてを、わたしが、もらっちゃったんだ❤ えへへ、なんか、うれしいなぁ❤」
遥香は圭太の貴重な生殖行為の初体験の相手が自身だったという事実に、蕩けた表情で微笑んでいた。
そんな彼女の様子に再び胸を突かれてしまった圭太の肉棒は、再び遥香の膣内で硬く滾りつつあった。当然膣内で彼の肉棒を咥え込んだままである彼女がそれに気付かぬ訳もなく。
「やんっ❤ けーくんの、なかだしお○んぽ❤ また、わたしのお○んこのなかで、かたくなってきてるよぉ……❤ おくの、なかだしせーし❤ お○んぽで、ぐちゅぐちゅ、かきまぜちゃ、だめぇ❤」
遥香は嬉しそうに身体を震わせながら、膣をきゅうきゅうと締めて、彼自身を悦ばせてやる。
「すみません……はるさんが、すっごく、かわいくて……ぼく、たまらなくって……」
「ふふ❤ うれしい❤ いいよ……❤ このまま、もういっかい……❤ こんどは、あけおめ、ひめはじめ、セックス❤ しよぉ❤」
圭太の要求に頷いた遥香が、再戦を宣言した。圭太も現金な息子の様子に赤面したまま、首肯して同意を彼女に伝える。刹那には、二人は再び舌を絡めた接吻を交わし始めていた。
そうして彼等は初日の出が拝めるような時間になって体力が尽き果ててしまうまで、互いの身体や遥香の身に着けたままだった衣装や下着が精液と愛液と汗でどろどろになっているのも気にせず、ひたすらに身体を交え続けていた。
転
夫である真也に構って貰えない日々が続いたことで、愛情に対する飢えと性欲が限界に達してしまった遥香は、仕事の都合ですれ違いが続いている彼には申し訳ないと思いつつも、自身をたっぷりと愛して満足させてくれる圭太との肉体関係を解消できずにいた。
圭太の活動は東方Projectだけに留まらず、遥香が懇意にしているアダルトゲームやソーシャルゲームに関連した同人誌即売会にも身を乗り出すようになっていた。
そういった即売会で彼のスペースで売り子をする度に、遥香は打ち上げで圭太と酒を飲み、その後モーテルにしけ込んで彼に抱かれるようになっていた。
遥香も圭太も年末年始の二回目の性交の後は、膣内射精で相手と共に絶頂に至れるという甘美な感覚が病みつきになってしまっていた。
だから彼女は、自ら進んで婦人科を受診し、自費で経口避妊薬の処方を受けて服用するようになっていた。
特に春季例大祭の時分、圭太が遥香の自宅に前泊して、寝る前と起き抜けに何度も膣内射精をされた、膣内や子宮に彼の精液がたっぷりと詰め込まれている状態で穣子のコスプレをして彼のスペースで売り子をするという、二次創作ではよくありがちな一種の羞恥プレイに及んだ事は彼等の記憶に新しい。
元々見られることに性的興奮を覚えてしまうという性癖を持っている遥香にとって、それは非常に刺激的な行為だった。だから、彼女がそれを思い出して自慰に耽った回数は、既に両手では数え切れない程だった。
夏コミも近い或る日、遥香は同僚の女性たちから奇妙な噂を耳にする。
曰く、彼女の夫が同じプロジェクトに所属する後輩の若い女性と肉体関係にあるらしいという。
真也がリーダーを務めるプロジェクトは終わりの見えない泥沼へと嵌ってしまっている。だから、七月を過ぎた現在も彼は自宅に帰れない日々が続いていた。その「炎上案件」は社内でも特に有名な話だ。同じ企業に務める遥香は、そこに間違いはないと確信していた。
遥香としては今までそれを圭太と身体を交える隙間があるものと都合よく考えていた。だが、そこに女性の影があるとなると、話は随分と変わってくる。
夏コミ明けの盆に実家へと寄って、そのまま温泉旅行に向かうという計画を夫と前々から立てていた遥香は、俄かに信じがたいその話を受け容れることが出来なかった。
然るに、火のない所に煙は立たぬとはよく言ったもの。そういった噂が立っていると意識してしまうと、遥香からしてみれば今までの夫の行動が全て怪しく見えてくるのは道理だった。
一度気になってしまうと切りがなく、心に靄が溜まりつつあった彼女は、夫にそれとなく夫婦の営みを求める話を切り出してみたり、たまには一緒に出掛けないかと誘うなど、すれ違いの解消に向けた歩み寄りの努力をしてみた。
だが、真也はそれらを素っ気なくはぐらかすばかりで、仕事の多忙を隠れ蓑にした、彼女からしてみれば単なる言い訳に過ぎない、のらりくらりな回答に終始する始末で、全くの梨の礫であった。
更に真也は仕事が忙しいからという理由で、盆休みの予定も白紙にしたいという、遥香との約束を反故にするような事まで仄めかし始めていた。
そんな夫の態度に業を煮やした遥香は遂に、興信所に少なくない金銭を支払って調査を依頼するに至っていた。
「何もなければ、それでいい」
その金額は安心料として払うには十分だと考えていた遥香に、依頼先から齎された事実は、彼女にとっては到底受け容れ難いものであった。
「プロジェクト開始当初から、新人二年目だった若い女性と肉体関係にあったことが認められる」
調査報告が遥香の許に齎されたのと前後して、彼女は不倫を疑われているとは露ほども思っていなさそうな真也に、盆休みはやはり仕事で取れそうにないという事を告げられていた。
興信所から夫が不倫を働いていたという報告を受けたことで、すっかり真也に対する愛情が冷めてしまっていた遥香は、或いはこれは彼と都合よく関係を解消する好機なのではないか、と考えるようになっていた。
そう考えた時、遥香は「本当に愛してしまった男」への連絡を、自然と取ってしまっていた。
遥香から、夏コミの後に温泉旅行に行かないかと誘われた圭太は、何ともお誂え向きの状況に驚き戸惑っていた。
圭太はあれから学業の傍らで同人活動を精力的に行って技術向上の研鑽に務めた結果、成人向け商業誌での連載を得て作家としデビューすることが決まっていた。
一方の学業に於いては、圭太は三年までに取り終わらなければならない単位も全て取得済みだった。既に提出していた卒業論文は口頭試問とその結果を受けた加筆訂正を待つばかりで、彼の卒業と進路はほぼ内定していると言っても過言ではない状態だった。
かねてより遥香を不甲斐ない夫から略奪してやろうと志していた圭太は、学業が一段落して職を得られる事が確定した時点で、改めて彼女に想いを伝えようと企図していた。
そうして時期を見計らっていたところに、お膳立てされたかのように今回の話が舞い込んだのであるから、圭太にとってそれは、まさに天啓のようなものであった。
冬コミ同様、サークル駐車券が当選していたということもあって、圭太と遥香は同じ車で東京国際展示場へと至っていた。
前回と違う点があるとすれば、遥香がコスプレ衣装が入ったキャリーケースとは別に、着替えや身の回り品を入れた旅行鞄を携えているということと、圭太が迎えの車を向けた先が彼女の自宅であったということだ。
彼等はコミケが終わったあと、圭太の運転で遥香がかねてより夫と行こうと苦労して予約を取っていた、彼女の出身地である山形の温泉宿へと向かうことになっている。
彼女は実は夫も不倫を重ねていて、夫婦関係がお互い様な仮面夫婦になり果ててしまっているという事情を、未だ圭太には話していない。
今回遥香はあくまでも、
「ギリギリになって夫が仕事で行けなくなってしまったのでキャンセル料も勿体ないから」
という建前で彼を誘っていた。
彼等の話合いの中で、流石に家族旅行である筈だったところにタダ乗りする訳にもいかない、と恐縮した圭太が、宿代は売り子の謝礼として持たせてくれと遥香に提案していた。彼女としてもそれについては渡りに船であるとして了承していた。
今年の夏コミでは、圭太は東方Projectを原作とする二次創作サークルが配置されているエリアの中でも特別混雑対策がしやすい位置、つまり所謂「壁サークル」と呼ばれる位置の対面に配置されていた。
それは前回冬コミで入場開始後即座に人だかりが出来てしまったことを鑑みたならば、絶妙な配置であったと言えるだろう。
圭太は今回の新刊も、秋穣子の成人向け漫画としていた。それは遥香が専属で売り子をしてくれるということに依るところも大きかった。
圭太としては、或いは東方Projectに於いてでも、別の登場人物の同人誌を作ったならば、彼女は自分の為に喜んでその人物のコスプレをしてくれるであろう、とも考えていた。
だが、彼が考え得る中で、遥香に一番似合うと思うのは穣子のコスプレ以外あり得なかった。
「東方で出るのであれば、遥香には穣子のコスプレをして売り子をして欲しい」
ただそれだけの理由で、圭太は高品質で実用性に富む穣子の同人誌を作り続けていた。
そうした活動の結果、彼は遂には東方Projectの同人界隈に於ける、秋穣子の第一人者としての地位を確たるものにしていたのだった。
圭太は商業誌へのデビューが決まった事をSNS上で公言していたことから、それも相俟って、彼に与えられたスペースは今回も購買希望者が絶えない、人気サークルの様相であった。
すっかり常連の売り子になっている遥香の助言も得て、改めて混雑対策にも力を入れていた圭太は、このとんでもない混雑をスタッフの手を煩わせることなくさばき切って見せた。
勿論穣子に扮した遥香の手際の良さも待機列の短縮に寄与していたろうが、頒布に要する購買希望者一人当たりの所要時間は劇的に短くなった。
そのことで彼が用意していた新刊は、前回春季例大祭の際に頒布した新刊の二倍程も用意したにも関わらず、午前中に持込分が全て完売してしまっていた。
普段のコミックマーケットや同人誌即売会ならば、圭太と穣子の衣装を着込んだ遥香は、誘い合わせてコスプレエリアへと足を向けるところだ。
しかしながら、今日彼等には先約がある。
「それじゃ、脱いでくるから、まっててね❤」
遥香は手持無沙汰になった圭太に手を振って、更衣室へと向かう事を告げる。撤収準備も手際よく粗方済ませてしまっていた彼は、
「いつものところで、待ってますから。飲み物はあとでチャットで連絡ください」
遥香に手を振り返しつつ、首肯で了解であることを示したのだった。
首尾よく混雑が酷くなる前に撤収することが出来た二人は、会場を脱すると、圭太の運転で一路東北方面へと向かっていた。
彼等の目的地は山形蔵王。東京国際展示場から休憩も込んで五時間ほどの道程だ。
遥香が予約の際に告げていた到着予定時刻である十八時には、余程の問題がなければ間違いなく到達可能であろう。圭太はそのように予測を立てていた。
実際所々で交通集中による小規模な渋滞には遭遇したが、全体の行程としては概ね問題はなく、彼等は首尾よく十七時半には今晩投宿する予定のホテルへと至る事が出来ていた。
二人はチェックインをして荷物を置くと、それぞれ準備をしてから家族風呂へと向かっていた。
これは遥香が到着早々に入れるように予約していたもの。彼女は本来ならば夫である真也と一緒に入ろうと志して用意していたものだった。
最早その意義自体が遥香の中からは失われてしまっていた。だが一方で、心惹かれつつある圭太と一緒に入るのならば吝かではないとも彼女は思っていた。
この時の遥香の心境は、非常に複雑怪奇であった。
家族風呂の脱衣所に至った彼等は、早速衣服を脱ぎ始める。遥香は部屋で先に上半身の下着を脱いで来ていたようで、彼女が淡黄色のブラウスのボタンを外してゆくと、次第に彼女の豊満な形の良い乳房が露わになる。
圭太はその煽情的な光景に、上半身の衣服を脱いだ状態で釘付けとなっていた。
「も、もう……こっち、見過ぎだよ……っ❤ けーくんも、はやく、脱いでよぉ」
遥香は頬に紅葉を散らしながら抗議する。圭太はそれに頭を掻きながら
「すみません、すっごく綺麗だから、つい見惚れてしまって……」
言い訳を口にした。彼にうまく丸め込まれてしまった彼女としても、
「そう言ってくれるのは、うれしいんだけど……❤ やっぱ恥ずかしいもんは、恥ずかしいんだよっ」
褒められるのは吝かではないようで、頬に散った紅葉の色を濃くしていた。
圭太はやはり遥香の様子に視線を固定しながら、ズボンをあからさまにゆっくりと脱いでゆく。そうして彼が様子を窺いながらもたもたしているその間に、彼女は既に生まれたままの姿となっていた。
植物の茎や葉と小花の刺繍が散りばめられた、可愛らしいながらも透け感もしっかりあって大人びた印象も与える紺青色のショーツを脱ぎ終えた遥香は、脱いだばかりのそれを脱衣籠に放る。
「むぅっ……まだ、みてる……っ❤ わたしだけ、裸なの……恥ずかしいから……はやく、脱いでってばぁ。お姉さんの言う事を聞かない悪い子には、こうだぞっ!」
先程より頬の朱を濃くしながら、遥香は彼が履いていた下着を無理矢理脱がせにかかる。
「わ、わかりました、ってば……ぬぎますから、ひっぱんないで……っ」
実力行使に出た遥香の動きにたまらず、圭太の陰部を守る最後の砦は呆気なく陥落してしまう。露わになった彼の雄は、遥香の下着姿や彼女の脱衣の様子を目の当たりにしたことで、彼女との情交を欲して硬く勃ちあがっていた。
「はぅぅっ……❤ もう、こんなに、しちゃってるんだ……❤ えっち、なんだからぁ❤」
圭太の逞しいそれを久々に目の当たりにした遥香は、恍惚の表情を浮かべながら、思わず生唾を飲んでいた。
二人は連れ立って家族露天風呂の浴室へと足を踏み入れていた。蔵王温泉は強酸泉で知られている名湯。古より石鹸要らずの湯とも称されていて、この浴室も身体を清めずとも入れるという触れ込みであった。
「わぁ、思ったよりひろーい❤ はやく、入ろうよ❤」
遥香は浴室の様子に目を輝かせながら圭太の手を引く。しかしだ。流石に人だかりから抜け出してきたばかり。会場で汗も沢山かいてしまっている手前、圭太は拙いのでは、と考えていたようだ。
「そのまま入れるってことでしたけど、コミケあがりですし……汗だく、ですし。流石に軽くは流したほうがいいですよね……」
「まぁ、それもそうだね……そうしよっか❤」
圭太の提案に、遥香は一旦落ち着きを取り戻したようで、大人しく彼と共に給湯口がある一角へと向かう。彼等はそこで一頻り身体を清めた。
それらの必要な所作が済んだ二人は、いよいよ満を持して湯舟へと足を踏み入れていた。
「ん~~~! きもちいぃ~~!! やっぱ身体使った後の温泉は、最高だねぇ!」
遥香は圭太の胸に寄りかかるようにして座ると、湯に浸かりながら伸びをする。その度に彼女の豊満な乳房がぷるぷると煽情的に揺れ動く。圭太はその様を、生唾を呑み込みながらじっくりと眺めてしまっていた。
当然先程から臨戦態勢を保ったままの彼の剛剣は、より硬く太く滾ってしまう。
「あの……けーくん……? お○んぽ、あたってる、よ……?」
臀部から背中にかけてに、彼の雄の存在を直接感じる事となった遥香は、照れ笑いを浮かべつつ、びくびくと震える彼自身に柔らかな尻をより一層押し付けてみる。
「は、はるさん……っ。そんなに、おしつけたら、っ……」
「ふふ、がまん、できなく、なっちゃう……? でも、だぁめ❤ おゆ、よごしちゃうと、いけないから……❤ だから、おたのしみは、あとで❤ おふとんで……ね❤」
遥香は尻で圭太の肉棒に暴発しない程度の刺激を与えながら、先程の仕返しとばかりに焦らしてゆく。
正直なところ、圭太はこの場で彼女を押し倒してしまいたいという衝動に駆られていた。だが、彼にもそういった行動に軽率に至れない事情がある。
そんな二人の我慢比べは十分程も続いた。その時間は、彼等を脱水症状に追いやるのには十分すぎる長さだった。
露天風呂であるとはいえ、源泉が高温であることでも知られる蔵王温泉に浸かり続けていた二人は、すっかり逆上せてしまい、這う這うの体で何とか湯舟から脱していた。
彼等は生まれたままの姿のままで揃って脱衣所に設けられていた長椅子に腰掛け、洗面台に備え付けられていた給水機から紙コップに汲んだ冷水を飲んでいた。
「はー、生き返ったぁ! ちょっと一瞬死ぬかと思ったけども……いいお湯だったねぇ❤ コミケの疲れもしっかり落ちたかなぁ、って感じ❤ けーくんも、ありがとね。コミケの直後だってのに、運転お疲れ様、だよ❤」
手拭いタオルで汗を拭っていた遥香が、感想と圭太への謝意を口にする。
「全然、平気ですよ。お礼を言うならはるさんにこそですって。こんないいところに連れて来てもらっちゃって……」
礼を言われる程の事はしていないと思っていた圭太は、むしろこんないい宿への宿泊に誘って貰えたことに恐縮しきりだった。
「それも全然気にしないで~❤ せっかく休みが取れそうっていうから取った一度でいいから行ってみたかった宿なのに、仕事にかまけてすっぽかしちゃう夫が悪いんだから……」
圭太の言に、遥香は語尾を寂しそうに濁しながら言葉を紡ぐ。夫婦間の問題に嘴を挟むべきではない、と弁えていた圭太は、彼女の言に対して一瞬喉から出かかった言葉を呑み込んでいた。
或いはここで想いを告げてしまってもよかったのかもしれなかったが。彼の直感が今ではない、と告げていた。だから、自身を信じた彼は、この場では敢えて何も口にすることはなかった。
「ん、湿っぽい話はやめやめ! ってそろそろ時間だ。着替えて出よっか❤」
気持ちを切り替えた遥香は、彼にも行動を促しながら立ち上がると、徐に脱衣籠に入れていた替えの下着を取り出す。
それは、蝶と小花柄が桃色の糸で丁寧に刺繍されていて、一見可愛らしさを前面に押し出したような、黒色のショーツだった。だが、彼がよく目を凝らして見てみると、股を覆う薄布や多用されたレース生地は、彼女がそれを持つ手の指の肌色を透けさせていた。
大人びた妖艶さも見せられる作りの、先程遥香が身に着けていた紺青色のものよりも一層煽情的なそれを、彼女は圭太の眼前で履き込み始める。そのあまりにも色香ある様子に、彼は再び彼女の一挙手一投足をまじまじと眺めてしまっていた。
「もう~……っ❤ また、見てるの……? そんなに、お姉さんの下着姿、気になっちゃうのかな?」
「いや、ほんとすいません……こんなすっごくえっちなやつ、いままで見た事なかったから、つい……」
遥香が恥ずかしそうにはにかみながら再び抗議する。圭太はそれに恐縮しきりだったが、その上から浴衣を着込む彼女の様子を、やはりじっくりと眺めてしまうのだった。
浴衣の帯を締める遥香に、
「あれ、ブラジャーは付けないんですか……?」
圭太はふと気になった事を訊ねてみる。
遥香がチェックインの時にフロントで選んでいた桜色の浴衣は、彼女の豊満な乳房を抑え切れておらず、少し動いたならばぷるぷると揺れてしまっているのが彼の目からも良く分かる。
しかも浴衣の生地が薄いのか、先程彼女が履き込んだ黒色の妖艶なショーツや乳房の肌色が薄らと透けてしまっている有様だ。
然るに彼女は、
「うんー、浴衣だし、つけないよ❤ お風呂入ったあと、締め付けられて蒸れちゃうのも、やだし……」
さも当たり前であるかのように平然としている。
「そ、そうなんですね……? でも、ぱんつも、ちょっと透けちゃってるような……?」
圭太は更なる問題点を指摘して、思いとどまるようにと彼女を説得しようと試みていた。どうやら彼としては、そのような男を誘うような目のやり場に困る姿を、他の男性宿泊客に見られてしまうかもしれないというのが癪だったようだ。
そんな彼の嫉妬心を見抜いた遥香は、
「あっ、そっか❤ 他の男の人に、わたしのえっちな格好、見られるの、やだったのね❤ ふふ、かわいいなぁ❤」
再び彼の横並びで長椅子に腰掛けると、彼の頭をわしわしと撫でてやる。遥香に見事図星を指されてしまった圭太は、羞恥から真っ赤になって俯いてしまった。
「ごめんごめん、ちょっとからかいすぎた、かも。ほら、ちゃんと部屋から半纏持って来たし! ちょっと長めだから、ぱんつもおっぱいも、しっかり隠せるし、大丈夫❤」
彼の様子から嫉妬心からのものであったにせよ、圭太の心配を無碍にしてしまったと感じた遥香は、それを素直に謝して、対策は万全であると示してみせる。続けて彼女は彼の耳元に唇を寄せると、
「それに、ほら……❤ ブラしたって……この後、どうせ、すぐ、脱がせちゃう、でしょ……❤」
浴衣の胸元の襟をずらして、左の乳輪と乳首を晒して見せながら、今後の展開に関する示唆を囁いて与える。遥香のそんな誘いに、圭太は耳先まで真っ赤になってしまうのだった。
遥香によれば、彼等の夕食まではまだ一時間ほど猶予があるということだった。他の宿泊客には大広間で夕食が振る舞われているようで、家族風呂の浴室と脱衣所がある一角には二人以外の人気はない。
今回遥香が予約していたのは、彼等に宛がわれた部屋に料理が運ばれてくるという伝統の型式を踏襲した給仕が行われるという、そこそこ値の張るプランであるらしい。
そういった一部の高級プランの顧客には、夕食の開始時間が二十時からになるという事が予め申し伝えられていた。だから遥香は、渋滞などで予定が狂う事なく到着できたので、圭太と共にゆっくりと家族風呂を堪能していたのだった。
圭太を連れ立って部屋に戻ろうとしていた遥香が不意に見つけたのは、
「おっ、けーくん、見て! 卓球あるよ、卓球! 懐っつかしいなぁ! ちょっと一緒にやろーよ❤」
少し広い場所に展開された卓球台と、複数個のピンポン玉と数本のラケットから構成される卓球セットだった。近くの壁には
「家族風呂ご利用の方は、ご自由にお使いください」
と貼り紙がしてあることから、利用者向けの無料サービスであることが見て取れる。
時間はあるということであるから、彼女の提案に乗る事にした圭太は、
「いいですけど、僕、昔卓球部だったんで、容赦しませんよ?」
慣れた手つきで筆のように持って扱うラケットを手にする。
「ほぉ~う! それは聞き捨てならないなぁ! 遥香さんは中学の頃卓球部で、山形県の中総体にも出た事がある俊英だぞ❤ けーくんなんて、けちょんけちょんにしてやるんだから❤」
対する遥香もやはり慣れた手つきで握り込んで使う形のラケットを手にした。
かくして二人は、暫しの間卓球に興じる事になる。
彼等は十一点が一セットで二セット先取の、三セット制の試合方式で腕を競うことに。第一セットは遥香が、第二セットは圭太がそれぞれ勝ち、二人の勝負は引き分けのまま最終セットへと縺れ込んだ。
その第三セット目も、先に遥香がマッチポイントに至ったものの、圭太が同点に追い付いて、二点先取のサドンデスへと突入していた。
「けーくん、なかなか、やるなぁ❤」
「はるさんこそ……ブランクなんて全然感じさせないくらい、上手いっ! でもここまで、来たら……負けられません、って!」
遥香の褒めに対する返答を口にしながら、圭太がサーブを放った。しかしそれは、遥香の陣地に落ちず、敢え無く卓外へと落球してしまう。
「あっ、やばっ」
「ふっふっふ、チェンジサービス❤ これで、決めるっ!」
反撃の狼煙を上げた遥香が、身体を捻って鋭いサーブを放つ。圭太はそれに何とか追いついて、二度までは返球してみせた。
三球目の返球が来た時、彼は遥香の浴衣に異変が起きている事に気が付いて、
「あっ」
思わず声を上げていた。不意を突かれた彼の返球は高く浮き上がってしまう。
「もらったぁっ!!」
遥香はそれを好機と捉えて渾身の一撃を放つ。彼女の返球は見事圭太の守備を破っていった。
「よっし!! 勝ったぁ!!」
遥香がガッツポーズを決めたその刹那だった。ぎりぎりまで保っていた彼女の浴衣の帯はいよいよすっかり解けてしまい、その下に隠れていた彼女の豊満な乳房と黒色の妖艶なショーツが丸見えとなってしまう。
圭太は遥香の浴衣の帯が解け掛かっているのに先程から気付いていて、それで素っ頓狂な声を上げて返球に油断が出てしまったのであった。
「やぁぁぁっ、なに!? 帯、ほどけちゃった!? ちょっと、けーくん! 黙って見てないで、はやく助けてぇよぉ!」
突然の出来事に、遥香は顔を真っ赤にしながら襟を抑えて乳房やショーツが見えてしまわないようにするのが精一杯。救援要請を受けた圭太は、彼女の許に駆け寄って素早く帯を拾い上げると、彼女を自分の身体で隠しながら隅に誘導しつつ、彼女にそれを手渡した。
幸いにして未だ彼等が卓球に興じていた一角には二人以外の人気はない。圭太の手引きで隅に寄った遥香は、
「うぅ……恥ずかしかったぁ……。試合で勝って勝負に負けた気分だよぉ……」
彼の背中に隠れながら、慌てて乱れた着衣を正すのだった。
時間通り部屋に運ばれて来た膳に舌鼓を打った二人は、改めて途中で買い込んでいた遥香の地元の銘酒を開けて、本格的にコミケの打ち上げの部屋飲みへと洒落込んでいた。
温泉に浸かった効果と、長距離移動、そしてコミケ上がりの疲れからか、二人共酔いが回るのが普段よりも早めだった。
遥香が選んだ四合瓶と圭太が選んだ同じ大きさの瓶が一本ずつ空になる頃には、二人はどちらともなく肩を寄せ合いながら酒を酌み交わしていた。
しかも互いに何かを言いたげにしていたことで、彼等は酒を酌み交わしながらも次第に口数が減ってぎこちない様子になりつつあった。
心臓が早鐘を打っているという事を自覚しながら、この時期を逃したならば後はないだろうと感じた圭太が、思い切って声を上げた。
「あっ、あの」
「あのね……」
それが見事に遥香の発声と被ってしまったことで、二人は見合わせてそれぞれ苦笑いを浮かべる事になる。
「けーくんも、なんか言いたい事があったんだね。先、いいよ」
順番を譲ると口にした遥香に圭太は大きく頷くと、持参していた旅行鞄から、とあるものを取り出した。
「あのっ! はるさんに、これを受け取ってほしくてっ」
遥香が圭太から手渡されたのは、小さな装飾品入れだった。彼女がそっとそれを開いてみると、中には小さな金剛石が複数散りばめられた指輪が入っていた。
「えっ、これ、って……」
遥香は思わぬ贈り物に驚きと戸惑いを見せていた。そんな彼女に、
「僕、大学の卒業もほぼ決まって、卒業したら漫画で食べていこうと思っていて……。商業誌での連載も決まってちょうどきりが良かったから、改めてはるさんに気持ちを伝えなきゃ、って思ってて……。はるさんに、旦那さんがいるのは分かってるんです。でも、どうしても諦めきれなくて……。だから、お願いします。ダメもとで言うんですけど……今日だけ、僕のお嫁さんになってくれませんか。ダメだったら、潔く諦めますから……」
圭太は思いの丈をぶつける。すると、
「けーくん……❤ わたしのこと、そこまで想ってくれてたんだ……❤ すっごく、うれしい……❤」
遥香ははにかみながら、だがどこか儚げな表情で、その箱を大事そうに胸に抱える。
「あのね。今度は、わたしから。実はね、わたし……近いうちに、旦那と別れようと思っているの」
そのまま、遥香も自身の今後の身の振り方について彼に告げてゆく。
彼女の決断の背景にある事情、圭太と遥香があの日、東方紅楼夢の帰りの行きずりで肉体関係を結ぶ前から、彼女の夫は倫理を蔑ろにする民法上の不法行為を働いていたようだ。その事実を彼女の口から聞いた彼は、驚きを隠せずにいた。
「そんなんだから、実はもう旦那に対する愛はすっかり冷めちゃってて。だから、わたしのこと、いっぱい愛してくれる、けーくんのこと、ずっと気になってたの。でも、わたしはきみよりも八つも年上で……もうオバサンだし、バツイチになっちゃう。きみには、もっと若くてお似合いな、いい女性がいるかもしれない。だから、こういう関係も今日これっきりにしようと思ってたんだ……」
寂しそうにしながらも頑なな遥香の決意を改めて聞かされた圭太は、
「僕ははるさんを、お嫁さんにしたい。僕はやっぱり、初恋の人のはるさん以外じゃダメなんです。それをこの一年半で嫌という程思い知りました。だから、年の差とか、バツイチとか、そういうの、関係ないですから……っ」
感極まって彼女の身体を抱きしめながら、贈った指輪を受け取るように促す。遥香は圭太の胸に抱かれながら、
「ほんとに、いいの……? わたし、きっと、嫉妬深いし……。いっぱい愛が欲しいから……ワガママだって、いっぱい、言っちゃうよ。それでも、いいの……? あとで、後悔、しない……?」
彼を涙目の仰視で見つめつつ問う。彼はその意思確認に小さく一つ頷くと、彼女の唇を優しく奪った。二人は互いの想いが通じ合った事を確信して、そのまま互いを蕩かすような接吻を交わし始める。
「わたし、きみのことが、好き。今日一晩じゃなくて、これからも、ずっと……愛してくれる、って誓ってくれるなら……。ん……❤ わたし、けーくんの、お嫁さんに、喜んで、なるよ……❤」
圭太の想いを受け取る事を決した遥香が、それをはっきりと言葉にする。
「でも、まだまだ色々と面倒があるから……ほんとうのお嫁さんになってあげられるのは、しばらく先かも……。それでも、いいかな……?」
それに逆説の言葉に続けて彼女が口にしたのは、一度結んでしまった関係の「後始末」には時間と手間が掛るということ。
圭太としてもそれは元々承知の上だったから、唇を結んだままで一つ大きく首肯して返事とした。彼の決意に嬉しそうに微笑んだ遥香は、
「そうだ、これ……指輪……❤ けーくんから、つけて、ほしい……❤」
左手に付いていた夫との婚姻の証を自らの意思で取り外すと、先程彼から贈られた指輪を摘まんで取り出して、「上書き」を要求した。
彼女の要望に頷いた圭太が、緊張で震えながら彼女の左手を取って、薬指の旧来のものによって痕が付いていた箇所に、新たな誓いの証をしっかりと嵌めてやる。
「どうしよ、すっごくうれしくて……❤ こんな事言った手前なのに、もう、待ちきれないかも……❤ あのね、けーくん……❤ わたしのこと……お嫁さんの、予行ってことで……いっぱい、愛してほしい……❤」
その儀式が完了した途端、遥香はどうやら愛しさのあまり発情してしまったようで、蕩けた表情を見せていた。圭太は迷わず彼女の身体を両腕に抱えて持ち上げる。
「わっ……なんか、はずかしい……、な❤ おひめさま、だっこ、だなんて……❤ こんな、とし、なのに……わたし、すっごく、どきどき、しちゃってる……❤」
彼の突然の行動に対して戸惑いながらも嬉しそうにする遥香の様子に、堪らなくなってしまったらしい圭太は、客室の奥にある洋間のベッドの上に彼女を運んで横たわらせる。
圭太はそのまま自らの浴衣や下着を脱ぎ払って生まれたままの姿となると、遥香を自らのものに出来るという状況に興奮してすっかり滾ってしまった一物を彼女の眼前に晒した。
圭太の一物は既に先走りを迸らせながらびくびく震えている。遥香も待ちきれなかったようで、秘唇から蜜を溢れ出させていた。彼女が履いていた黒色の妖艶なショーツは、彼が指でクロッチに優しく触れただけで、くちゅ、と不躾な水音が鳴る有様だ。
圭太が彼女のショーツのクロッチをずらしてとろとろと愛液が湧き出て来ている秘唇を露わにさせる。すると、いままで彼のされるがままになっていた遥香が、身体を起こして彼に乗りかかってくる。
「あのね、けーくん……。わたし、もうひとつ、だいじなこと、いってなかった、の……。おっとのことも、あってね、さいきん、おくすり、もらいにいけてなくって……。だから、ね……❤ きょうあたり、たぶん、あぶない、ひ、なの……❤ けーくんのせーし❤ いつもみたいに、お○んこのなかで、びゅーって❤ だされちゃったら、デキちゃう、かも……❤」
遥香の口から告げられた新たな事実に、圭太は緊張のあまり固まってしまう。だが彼女はそんな彼の様子に構わず、彼の滾った一物の先端に自身のぐしょぐしょに愛液で濡れた秘唇を押し当てると
「ほんとはね、きょう……なまえっちは、しないつもり、だったの……。でも……さっき、いっぱい、あいしてくれる、って……いってくれたから……❤ わたしのこと、およめさんに、してくれる、って❤ いって、くれたから……❤ わたしね、けーくんのあかちゃん、ほしくなっちゃった……❤ だから、このまま、いれても❤ いい、よね……❤ ん、ぅぅぅ、っ❤」
想いの丈を口にしながら、無遠慮に腰を降ろして、膣内に圭太の滾った肉棒を迎え入れた。
「はぁ、ん、はぅ、っ❤ ひさびさの、お○んぽ、すごい、よぉ……❤ わたしの、お○んこ❤ けーくんの、お○んぽが、よすぎて❤ よろこんじゃってる、よぉ❤ けーくん、すき❤ だいすき、なのぉ❤」
遥香は圭太への愛情を口に出して表現しながら、そのまま夢中で腰を浮沈させて性器を擦り合わせ、彼の肉棒から精液を搾り取らんと抽迭を始める。それだけに留まらず、
「ね❤ けーくんも、うごい、てぇ❤ おっきな、お○んぽで❤ わたしの、なか❤ すぽずぽ、かきまわしてぇ❤ いっぱい、いっぱい、あいしてぇ❤ けーくんに、わたしの、えっちな、お○んこで❤ きもちよくなってほしい、のぉ❤」
遥香は自身の動きに同期した抽迭を圭太にねだる。
「もう、じゅうぶん、きもちいい、というか、っ……。はるさんの、なか……いつもより、すごく、よく、って……っ」
圭太は彼女に限界が近いことを告げつつ、彼女の要望通り自らも遥香の膣奥を肉棒の先端で抉るように腰を振い始める。するとだ。
「やぁっ、そんな、『はるさん』だなんて、呼んじゃ、やだぁ……」
彼のその言葉に少し寂しそうな膨れ面を浮かべた遥香が、先程までの射精を強要するかのような激しい動きを止め、腰を深く落としたままでぐりぐりと腰を遣い始める。
このまま絶頂に導かれてしまうものと考えていて、思わぬ寸止めを受けてしまった圭太は、苦悶の表情を浮かべながら何事かと彼女を見やる。すると彼女は少し照れたかのように蕩けた表情の朱色を濃くさせながら、
「およめさん、に❤ してくれるんでしょ……❤ なまえ、で……よんで❤ はるか、って、よんでよぉ❤」
呼び方の訂正をしおらしく要求した。
そんな遥香の可愛い仕草に理性の箍を破壊されてしまい、堪らなくなってしまったのか、
「は、はるかっ……っ! ぼく、もう、っ……!」
圭太は彼女の腰から尻にかけてを鷲掴みにして持ち上げながら、自ら突き込むような抽迭で絶頂に向かって駆け上がろうとする。
「ん、っ❤ お○んぽ、びくびく、ってして❤ すっごく、かたく、なってきて……っ❤ けーくん、いいよ❤ がまん、なんて……しなくて、いい、から❤ わたしの、お○んこ、で❤ いっぱい、きもちよく、なってぇ❤ わたしも、また、イっちゃうっ❤ すっごく、きもちいいの、きちゃう、から……❤ いっしょ、に……❤ いっしょに、イこ❤ おくに、お○んぽ、いれた、まま、イってぇ❤ なかだし、せーし❤ いっぱい、おくに、かけてぇ❤ ん、そこぉっ❤ そこに、いっぱい❤ どくどく、って、せーし、だしてぇ❤ しきゅう、たぷたぷに、なって❤ あかちゃん、できちゃう、くらい❤ いっぱい、なかだし、してぇっ❤」
遥香も嬉しそうな蕩けた表情のまま、圭太の腰の動きに合わせて亀頭に子宮口を擦り付けるような抽迭で彼の射精を誘う。
「あっ、あぁっ❤ おくぅ❤ こんこん、って❤ されるの❤ きもちいぃっ、らめぇ❤ イく、イくぅぅぅぅぅぅっ❤」
「はるか、っ、ぼくも、イくっ……」
「だして、だしてぇぇぇ❤ せーし、おくで、だしてぇ❤ ひぁぅぅっ❤ んぅぅぅっ❤ はぅぅ、っ❤ けーくんの、あっつい、せーし❤ わたしの、なかで、でて、る、よぉ❤ わたしの、お○んこ……❤ けーくんの、あかちゃんの、もと❤ いっぱい、たねづけ❤ されちゃって、るっ❤ なかだし、きもち、いいよぉっ❤ はぅ、んぅぅぅっ❤」
二人は同時に絶頂に至っていた。子宮の入口に向かって迸る愛しい人の精液の感覚を味わう事となった遥香は、多幸感で蕩け切った表情のまま、絶頂と膣内射精の余韻に浸っている。
「ん、っ……❤ いっぱい、でて、りゅ……❤ けーくんの、あかちゃんの、もと……❤ お○んこから、あふれて、きちゃって、る……❤」
遥香が口にした状況の通り、二人の結合部からは彼女の膣内に納まらなかった圭太の精液が漏れ出て来ていて、彼女の履いたままだったショーツのクロッチや彼の陰毛を白く汚していた。
彼女はゆっくりと腰を上げて肉棒を引き抜く。その刹那、遥香の腰は肉棒が抜ける感覚を得て砕けてしまう。
「あふ、っ……❤ イきすぎちゃって、ちから、はいんな、っ……❤」
遥香はそのまま、肉棒が抜ける刹那にすかさず腰を引いていた圭太の目の前に俯せで倒れ込んでしまう。
栓を失った遥香の秘唇からは、先程たっぷりと注がれた彼の子種が溢れ出て来ていた。漏れ出てくるそれは夥しい量で、彼女が高く掲げたままだった腰の真下の敷布には白濁の水たまりが形成されてしまっている。
その様子に目の当たりにした圭太の肉棒は、再び硬く滾り始めていた。
「あっ……❤ また、おっきく、なってる……❤ わたしの、お○んこに❤ あかちゃんの、もと❤ もっと、いっぱい、そそいで……? ふたりで、いっぱい、きもちよく、なって❤ いっしょに、あかちゃん、つくろ……❤ もういっかい、がんばれる、ように❤ お○んぽに、おそうじフェラ、してあげるね……❤ ん、む……っ❤ れる、っ❤」
彼の滾った一物から興奮を汲み取った遥香は、彼のそれの根本を優しく撫で擦りながら、先端を咥えて先程の射精の残滓を愛おしそうに舐め取ってゆく。
何度も身体を交えていた筈の二人だったが、意外にも口淫はこれが初めてだった。圭太は実に久方ぶりに味わう事となった、忘れかけていたその快感と、初恋の愛しい人に肉棒を咥えられているという事実で背筋をぞくぞくと震わせていた。
「ん、はぁ……っ❤ えへへ、お○んぽ、びんびん❤ わたしの、フェラ、いたく、なかった……? わたし、こんなおっきな、お○んぽ❤ くわえたの……はじめて、だったから……❤」
遥香は口淫に対しては並々ならぬ自信を持っていたが。これほどまでの質量を持つ一物に今まで出会った事が無かったことから、一応歯などが当たっていなかったかなどを確認するために、そんな問いを圭太に投げかけていた。
「ん、だいじょうぶ……、です。はるかの、フェラ、すっごく、きもち、よかった……」
「ほんと? よかった……❤ わたしね、けーくんが、いっぱい、きもちよくなってくれてるところ、みるの……かわいくて、すき、なの❤」
圭太が率直な感想を口にした。遥香は自身の口淫に圭太が満足してくれたことに嬉しそうに頷いていた。
遥香はそのまま尻を高く掲げて、未だぽたぽたと精液を滴らせている秘唇を右手の人差指と中指で広げてみせながら、
「こんどは……うしろから、シて、ほしい……❤ わたし、バックで、イった、こと、ないから……けーくんの、お○んぽで、いっぱい、イかせて、ほしいの……っ❤ わたしのこと、ほっといて、うわきしちゃうような、ひとのことなんか、わすれちゃう、くらい❤ いっぱい、きもちよく、して、ほしい、の……❤」
圭太の劣情を誘った。彼はそれに応じて遥香の背中に覆い被さると、滾った一物を再び彼女の膣内に無遠慮に挿し入れてゆく。
既に彼の形でなければ快感が得られないまでに飼い慣らされてしまった遥香の膣は、愛しい人からの更なる射精を欲して、侵入してきた肉棒をきゅうきゅうと締め付け始める。
圭太が抽迭を開始すると、すぐさま遥香は肉棒が膣壁を擦る感覚を得て快感に酔いしれてゆく。
二人の結合部からは先程大量に注がれていた精がどんどん溢れ出て来ていて、膣内に納まり切らず滴り出た白濁は、遥香の履いたままのショーツや寝台の敷布を現在進行形で汚しつつある。
彼等はそれを気にするでもなく、再びの高みへと同時に上り詰めてゆく。
「はるか、っ……ぼく、また、で、ちゃう、……っ! なかで、だす、よっ……!」
「ん、いい、よ❤ きて、ぇ❤ わたしの、お○んこの、なかで❤ いっぱい、きもちよく、なってぇ❤ せーし、いっぱい、だして❤ しきゅう、たぷたぷに、なるまで、そそいで❤ たねづけ、してぇ❤ イく、もう、イく、イっちゃう、からぁ❤ いっしょ、いっしょにっ❤ んっ、んぅぅぅ、っ❤」
再びの絶頂を二人は身体を密着させたままで迎えた。既に二日程前に排卵を迎えてしまっていた、遥香の命の源が揺蕩う子宮目掛けて、再び大量の精液が迸っていた。
彼女の子宮には一度目の膣内射精によって、圭太の精子が大量に侵入していた。彼女の命の源は早速それらによる蹂躙を受けていた。
「しゅ、しゅごい……❤ けーくんの、せーし❤ どぐどく、って、おくで、でてる、の、わかっちゃう……❤ おなかの、おくで❤ どくんどくん、ってしてるの、わかっちゃう、よぉ❤ なかだし、こづくり、えっち❤ きもちよすぎる、よぉ❤」
遥香は乱れた呼吸を整えながら、圭太に自身の膣奥や子宮の状態を実況する。それを耳にした彼は顔を真っ赤にしてしまっている。
圭太が放った大量の精のうちの一つが彼女の命の源と結合を果たした刹那、
「あっ……❤ おなかの、なか……❤ すっごく、あっつく、なってる……❤ こんなの、しあわせ、すぎて❤ あかちゃん、デキちゃう、よぉ……❤」
遥香は表情を綻ばせて、子種が注がれたばかりの下腹部を撫でながら呟いた。その言葉の真偽の程を圭太は検証することが出来なかったが、彼女の嬉しそうな様を目の当たりにしたことで、彼もついつい頬を緩ませてしまっていた。
気付けば遥香の浴衣とショーツは白濁まみれとなっていて、再用に耐えないような有様になってしまっていた。
「ふぁ……っ❤ イきすぎて、まだ、あし、がくがく、してる……❤」
気持ちよさそうに震えながら覚束ない足取りで立ち上がった遥香は、先程家族風呂に入った際に備え付けられていた予備の浴衣を取りに向かう。
「いっぱい、えっち、したから……あせだくに、なっちゃった、ね……❤ もういっかい、おふろ、いこ❤ こんなことも、あろうかと❤ また、はいれるように、よやくしておいたの❤」
遥香は下着を身につけないまま浴衣を羽織ると、圭太の手を取って誘う。いよいよ家族風呂の浴室でも性交に及んでしまうのだろう、と期待していた彼女の太腿には、秘唇から溢れ出た精が垂れて白濁の水脈が出現していた。
その淫靡な様に再び生唾を飲んでいた圭太は、無言で彼女の提案に頷くしかできなかったのだった。
結
あの互いを蕩かすかのような、幸せな温泉旅行から二週間が経っていた。
圭太から求婚されて、それを承諾していた遥香は、水面下で関係の「後始末」の準備を進めていた。
彼女自身の予想通り、あの日がまさに危険日であったようで、遥香は無事妊娠していた。彼女は圭太以外とはこの一年間身体を交えていなかったから、子供の父親は彼で間違いなかった。
既に依頼先の興信所には、離婚を前提として証拠を集めてもらうように依頼してある。今の彼女の喫緊の課題は、どうやって自身の胎に宿った新しい命の責任を夫に被せるか、という一点のみだった。
そこに頭を悩ませていると、チャットアプリに着信が。彼女はそれが圭太からであるものと思って開いてみたのであるが。その送信元はまさかの夫から。しかも大切な話があるので今晩彼が投宿するビジネスホテルの部屋に来て欲しい、という内容のものだった。
それを見た遥香は、一体何を今更、という困惑の表情を浮かべる他無かった。
突然の夫からの連絡に何か裏があるものと勘ぐった遥香は、依頼先にその事情を探って貰うように依頼しつつ、彼からの要請に応じて、仕事帰りに彼が投宿するビジネスホテルへと足を向けていた。
遥香が指定された部屋に到着すると、部屋の奥には襟を正した真也の姿があった。
「突然呼び出して、ごめん」
「いい、けど。どうしたの……? そんな改まって」
開口一番に謝罪から入ったことに、遥香は違和感を覚えていた。彼女は取り敢えず話を聞いてみよう、と志して、彼の勧めに従って、寝台の淵に腰掛ける。
「実は、ようやくあのプロジェクトが終わったんだよ」
真也の口から語られたのは、紆余曲折あってずっと燻り続けていた例の案件が完了した、ということだった。
「それは……どうもお疲れ様でした」
「うん。それでね、ようやく家に帰れるようになったから、また一緒に暮らそう、って。暫く会えてなかったから、さ。顔が見たくなっちゃってね」
真也は自分が今まで仕出かしていたことが露呈しているとは、露とも思っていないようだった。それを棚に上げて、今更な事を言い出して来ている。
遥香はそんな夫の軽薄さに呆れるどころか幻滅してしまっていた。彼女が内心で深く溜息を吐いていたところで、彼女のスマートフォンが着信を告げて鳴る。
「ごめん、ちょっと仕事の電話。十分くらいで戻ってくるから。その話はそれからでも、いいかな?」
「うん、待ってる」
遥香は着信先を嘯いて夫に断りを入れる。真也は妻の事を全く疑っていない様子。安堵の息を吐いた彼女は、部屋を出て少し離れたところに移動すると、依頼先の興信所からの着信に応答する。
「嶋田さん、お世話になっています。八雲リサーチサービスの者です。午前中ご依頼頂きました、旦那さんの意図について、調査結果がまとまりましたのでご報告です」
「お世話になってます。お忙しい中、どうもありがとうございます」
依頼先の仕事の速さに、遥香の口からは思わず謝意が漏れる。彼女のそれに担当者はとんでもない、と謙遜しつつ、早速本題を切り出していた。
その担当者から告げられた事実は、遥香を絶句させるに十分な内容だった。
興信所からの報告によれば、真也は炎上案件の責任者であったことから、その責を問われて主任から降格になって、地方の子会社に出向、事実上の体のいい左遷になるそうだ。
それだけならばまだよかった。遥香が憤りを禁じ得なかったのは、今更になって縁を戻そうなどと都合のいい話を持ち掛けてきた理由。それはずばり、「女に逃げられたから」というものだった。
彼が懇意にしていた間、その女は上司である真也を篭絡して色々と便宜を図ってもらうつもりで、彼に接近したようだった。
それに情けなくも誑かされ続けた彼は、この度哀れにも降格によって給与が激減してしまうし、地方に左遷されてしまう。それを伝えたところ、女から別れを切り出されてしまったのだそうだ。
しかも真也は間女の心を繋ぎ止める為に、少なくない金額を彼女に貢いでいたようだ。そうして膨らんだ借金が多く残っているということも、報告として上がっていた。
そういった困難な状況に至っているから、真也は遥香との縁を戻そうとしているようだ、と興信所の調査では結論付けていた。
つまりは、遥香は真也からしてみれば都合のいい性処理の道具で、かつ金蔓でしかなかったということ。それをはっきりと理解してしまった彼女は、最早どうやってこの軽薄な男を破滅に導いてやろうか、という事以外の感情を夫に抱かなくなっていた。
幸いにして、関係を清算するにあたって武器となる証拠や情報は全て遥香の手中に揃っていた。あとは夫と間女に対して引導を渡す時期を決めるだけだった。
唯一残っていた懸念が、ここ数日遥香の頭を悩ませていた、彼女の胎に宿っていた子の処遇。この際であるから、養育費なども全て夫に被せてしまいたいと考えていた彼女は、興信所からの報告と、今の夫の心境を推し量ったうえで、ある邪な考えを思いついていた。
それを実行する時期は、まさに今を於いてない。だが、それには遥香自身の心身への負担も大きい。彼女は苦渋の末に、断腸の想いながら、それを実行することを決していた。
夫が投宿している部屋に戻ってきた遥香は、改めて彼の話を聞いていた。
真也は当たり障りのない言葉を選んで、今まで寂しい想いをさせてしまっていたことを謝した上で、今一度愛情を確かめ合いたい、と図々しくも要求して来ていた。
遥香が狙っていたのは、まさにそれだった。今この場で彼女が夫に抱かれれば、彼女が身籠っている胎児は真也とのものであると主張し、養育費を請求する事が出来るだろう。
しかしながら、遥香はこの期に及んで夫に抱かれるのが苦痛で仕方がなかった。彼女の心身は既に将来を誓い合った圭太のものだ。そこに真也が入り込む余地は最早一切ない。
しかしそれを一度受け容れなければ、子供の未来は保証されないだろう。遥香が苦渋に思っていたのはその点だった。
「……わかった。その点は、真也さんの謝罪に免じて、許してあげる。その代わり、今ここで、わたしを抱いて。ちょうど、排卵日が近かったから……ずっと、わたしが欲しいって言ってた、あかちゃん。ここで、つくろ。それが、今回のことを、許してあげる、条件。あと、次は無いと、思って。それでも、いい?」
遥香は真剣な眼差しで、夫に条件の受諾を迫る。今の真也にとって、それは渡りに船である非常に魅力的な提案だった。やはり目の前の事しか見えていない様子の彼は、二つ返事で彼女の出した条件を快諾してしまっていた。
どこまでも軽薄なのだな。それを改めてはっきりと理解させられてしまった遥香は、真也への軽蔑を深めていた。
不承不承ながらも、愛する人との間に出来た胎の子の為に自ら人身御供の立場となる事を決した遥香は、真也によって衣服を脱がされて、生まれたままの姿にさせられていた。
相変わらず彼は後ろから覆い被さっての性交以外を志そうとはしなかった。無遠慮に挿し入れられてくる夫の肉棒は、遥香にとっては最早嫌悪すべきものでしかなかった。
当然、遥香の膣は全くと言って良いほど潤滑していない。それすらも気付けない様子の真也の肉棒は、それでも彼女の膣内に侵入出来ていた。
遥香の膣は圭太の逞しい肉棒で耕され続けた事で、真也の一般的な質量のものでは全く感じない程の状態に作り替えられてしまっていた。
だから、一般的な大きさの一物であれば、確かに今の遥香の膣は潤滑が不足していたとしても受け入れる事は出来るだろう。ただ、それが彼女に快感を齎すかどうかは、また別の話である。
「うぅ、っ……遥香、っ……すっごく、しまって、きもち、いいっ……」
潤滑が不足してただ擦れているだけ、という事に全く気付けない真也は、妻の様子を全く気にせず、彼女が感じているから膣が締まっているのだと思い込んだまま、独り善がりな性交に明け暮れていた。
遥香の身体には、膣が擦られる度に痛みが発生していた。それによる呼吸の乱れに偽装の嬌声を交わらせることで、彼女は夫に性感を得ていると錯覚させていた。
それは、少しでも女性経験があったならば、間違いなく偽装の喘ぎであると見抜けるであろうと思われる程には、苦痛交じりだった。だが、真也はそれにすらも気付けていない。
つまるところ、彼に足りていなかったのは、愛する人を思いやる心。そして、愛する人に対する興味を持とうという意思だ。
どうしてこの人と結婚してしまったのだろう。苦痛を感じつつも、そんなことを考えながら耐えていた遥香の膣に、液体が迸った感覚が微かに齎された。
「ふぅ、っ……。遥香、すっごく、よかったよ」
どうやら真也は達したらしい。無言で膣内射精するあたり、やはりどこまでも下手糞であるのだな、と内心で息を吐いていた遥香は、
「気持ちよかったなら、よかった……。取り敢えず、まだ暫くはここに泊ってプロジェクトの残作業をするって聞いたよ。大変だろうけど、頑張って」
徐に寝台の横に備え付けられていた箱からちり紙を数枚抜き取って、秘唇を拭いながら夫に声を掛けた。
遥香の膣は真也に無理矢理抽迭されたことで、ほんのりと出血してしまっていた。彼女が秘唇に当てたちり紙には、真也が放った精液に、彼女の血液が混じった桜色の混合液がべっとりと付着していた。
それを見て、遥香はあからさまに表情を曇らせていたが。真也はやはりそれに気付けていないようだった。
いそいそと脱がされていた衣服を着込んだ遥香は、
「それじゃ、わたしは戻るから……。元気でね。さようなら」
語尾の言葉を彼に聞こえないくらいの声量で呟くと、その場を逃げるように立ち去って行った。
遥香はもう、これ以上真也の顔を見る気にはなれなかった。あとは全て弁護士に任せるということを決心していた彼女は、
「痛かったよね、ごめんね……。こんな、お母さんで、許してね……」
涙を流しながら下腹部を撫でつつ、半ば強姦であった先程の行為で負担を掛けてしまったであろう、圭太との愛の結晶に対する謝罪を口にしていた。
それから更に二週間が経過した。遥香が企んでいた「清算」の手筈は、いよいよ実行に移されていた。
遥香の夫であった真也は、突然弁護士の訪問を受けた。その用件は、遥香に対する不貞行為について、彼に民法上の責任を負わせるもの。
数々の証拠を提示された上で、離婚と慰謝料の支払い、更には彼女の胎に宿る子に対する養育費を請求された彼は、そこでようやく、妻に全て露呈していたという事に気付いたのだった。しかし、最早後の祭りである。
真也の愛人であった間女にも、遥香が依頼した弁護士の手は伸びていた。彼女に対する請求は、真也に貢がせた金額の返還と、少なくない慰謝料の請求だ。
まんまと逃げ遂せられると高を括っていた軽薄な女は、よもや愛人だった男の妻に賠償を請求されるとは思っていなかったらしい。彼女にも、どうやら年貢の納め時が来たようだ。
果たして賠償と離婚を勝ち取った遥香は、無事柵を脱して晴れて自由の身となっていた。
それから九か月後の、五月の初旬になると、遥香の胎はすっかり大きくなっていた。
あの後、特に異常はなく、彼女の子は順調にいけば五月の半ばには産まれてくるだろう、という予定になっていた。
遥香は勤務する会社に自ら願い出て、彼女の地元にある支社に転属を希望していた。それが叶ったため、彼女は約九年ぶりに山形へと戻って来ていた。
そんな遥香は、これから東京へと向かう手筈になっていた。彼女は春季例大祭で夫のスペースで売り子をすることになっていたからだ。
嶋田遥香改め、寺本遥香は、元夫と離婚した後、無事圭太と改めて婚姻の誓いを結んでいた。
圭太の作家としての仕事はオンラインであればどこでも出来るものであるし、未だ在学中の大学にも、一月に一度だけ顔を出せば問題なく卒業できるという見込みが立っていた。だから彼は、遥香に付き添って、彼女の地元に居を構えるに至っていた。
「ごめん、遥香、お待たせ」
「もー、けーくん。遅いよ! ここの飛行機の便数少ないんだから、遅れたらやばいよ?」
圭太は近くまでやってきた編集担当と打ち合わせのため、午前中は家を留守にしていた。彼はそれを終えて今しがた帰って来たばかり。
この後二人は慌ただしくも庄内空港へと向かい、羽田行の便に乗る予定なのだ。
「準備は、済ませておいたからね! 三日分くらいは大丈夫なはずだよ」
遥香が圭太に荷物が入ったキャリーケースを手渡す。彼は頷いてそれを受け取ると、持ち上げたそれを車の荷室へと収納した。
荷物の忘れ物がないかを確認した二人は、車に乗り込むと、早速空港へと足を向ける。
「そういや、お医者さんは何か言ってた?」
「んー、特には。万事順調だって❤ 激しくなければ、えっちしてもいいってのは、言われたかな❤」
午前中は遥香も産科への通院があった。妊娠したことで性欲が強くなってしまったらしい彼女は、前々から医師に圭太との性交の許可を得ようとしていた。それがようやく得られたので、彼女は表情を綻ばせていた。
「ふふ、久しぶりだから、今から楽しみだなぁ❤ けーくんも、今まで我慢してた分、ぼて腹のわたしを、いっぱい愛してほしい、な❤」
二人は東京に着いたならば、妊娠している遥香の為に特注で緩く作らせた穣子の衣装を着てのコスプレボテ腹セックスにしけ込もう、という事を事前に申し合わせていた。
「遥香、こないだ言ってた、ビデオも撮りたいって、マジ?」
「大マジ❤ この子が産まれて来たら、暫くセックスできないだろうし。オナるオカズにするんだよ❤」
圭太は遥香が今回の解禁に合わせて「ハメ撮り」をしたいという希望について、最終確認をしていた。どうやら彼女の意思は固いようだ。
「わたしが、ここまでえっちが大好きになっちゃったの、けーくんのせいなんだからね❤ 一生、責任とってもらうんだから、覚悟してね❤」
遥香が大きく膨れた胎を撫でながら、恍惚の表情を浮かべて宣した。圭太はもしかしたらとんでもない人を妻にしてしまったかもしれない、という事を、今更ながら考え始めていたのだった。
作品キャプション
「わたしが、ここまでえっちが大好きになっちゃったの、けーくんのせいなんだからね❤ 一生、責任とってもらうんだから、覚悟してね❤」冬コミ用の作品、穣子ちゃんコスレイヤーのハーフなパツキン美女人妻と、イケメン新人同人作家(神絵師の卵)との略奪純愛イチャラブ尊厳破壊ドスケベNTRックスモノです。
今回は、有償リクエスト頂いていたシチュエーション
「金銭的に自立していないが、テクがすごく家事も親が雑で出来ないから我流で出来るようになるしかなかった、モテて告白されて付き合ってみるもののコレジャナイ感が強くて一晩または数か月で他の女に移っちゃうテクニシャンの女たらし」
「付き合っていた頃は身体の関係もあったし愛情を感じていたが、結婚後に仕事が忙しく家庭が投げ遣りになって放置され気味の寂しさを募らせているレスられ妻」
という指定から、
「旦那とレスで愛に飢えている穣子ちゃんレイヤーの金髪ハーフな美女人妻が、高校生レイヤーだった時に迷子になっていたところを助けてあげた、イケメンテクニシャンに育った神絵師の卵と八年ぶりに再会して、積年の想いを告白されてワンナイト浮気えっちでたっぷり愛されちゃった結果、身体の相性が良すぎてどっぷりハマっちゃって、最終的に夏コミケ打ち上げの温泉旅行でプロポーズされて、そのまま旦那との離婚と永遠の愛を確約しちゃいながらラブラブ種付け交尾で受精しちゃう」
という感じの、東方二次オリ的な作品の2本目書いてみました。やっぱり本当に東方要素衣装だけなんだよなぁ……w
今回の寝取られちゃう夫は完全にクソ野郎です。なんなら胸糞かもしれない。
なので、実質純愛イチャラブ尊厳破壊ドスケベセックスと言っても過言ではない。
転(3ページ目)の温泉のくだりは、だいたいアリヌさんのこちらをベースにして書いてます。
(本人許諾済みだしなんなら冬コミで出す本作単行本の挿絵と表紙を描いて貰った)
https://www.pixiv.net/artworks/1143
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<書誌版頒布情報>
冬コミ2日目(12/31) 西2 う-19a「東方天翔記CPUダービー処」にて、本作の単行本を頒布します。
メロンで通販などもございますので、興味のある方は是非ご利用ください。表紙・挿絵・栞付きです!
メロン:https://www.melonbooks.co.jp/detail
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<主なプレイ内容>
・穣子ちゃんレイヤーお姉さん高校生の時のコミケで親とはぐれて迷子になっていてところを助けてあげた小学生の子が八年ぶりに再会したらイケメンテクニシャンの神絵師の卵になってて、たまたま帰りの新幹線の席が隣になったことで意気投合して打ち上げにいったら、レイヤーお姉さんの旦那が仕事でその日帰れない事が発覚してしまい、とことん飲むぞという流れになった中で積年の想いを告白されてちゃって、そのまま流れでワンナイトの(ラブホのゴムではサイズが合わないのでしょうがなく)生えっち
・旦那の仕事が忙し過ぎて別居状態になってしまっていることに耐え切られなくなった、生のイケメン棒の味が忘れられなくなった穣子ちゃんレイヤーお姉さんが冬コミ2日目の打ち上げを自宅飲みでやらないかとサ主を誘っちゃって、自宅不倫生中出しえっち
・仕事で忙しいのかと思ったらそれと同時並行で後輩の子と不倫してた旦那に嫌気がさした穣子ちゃんレイヤーお姉さんが、旦那と行くはずだった温泉旅行にセフレのサ主と夏コミのアフターで出かけて、部屋飲みの最中にプロポーズされちゃって、そのまま永遠の愛を誓いながらラブラブ種付け托卵えっち
・旦那にヨリを戻そうと言われるが、それは女に捨てられたからというのを探偵に調べて貰った穣子ちゃんレイヤーお姉さんが、永遠の愛を誓ったサ主との子供を夫の子として認知させて養育費をふんだくる為に旦那と全く気持ちよくないしぶしぶな義理えっち→そのあと弁護士経由で引導を叩きつけて無事サ主と再婚
Skeb:https://skeb.jp/@yuna_priest
Pixivリクエスト:https://www.pixiv.net/users/1330649
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