現役を引退してより三年ばかり。軽巡の予備艦娘である能代は憂鬱だった。

 彼女は現在、所謂専業主婦と呼ばれる、定職を持たず夫に養われているという立場にある。それは彼女自身が望んだものではなく、夫で元上司の艦娘提督である谷口たにぐち英雄ひでお大佐に、結婚と同時に家庭に入るように要請されての事であった。

 能代の目下の悩みは、自身の身の回りを諸々犠牲にせざるを得ない程に節制せねばならない、緊縮を強いられている財政難の現状だ。その根本原因は英雄が提督業で稼いだ金銭を殆ど家計費として算入してくれない事にある。

 夫は給与として得た収入の大半を遊行費として使ってしまう。だから世帯としての所得は十分にある筈なのに、能代は常にギリギリでの家計運営を強いられていた。

 英雄は自らが家庭を支配しなければ気が済まないという、亭主関白気質の男だった。それでいて家庭を顧みない職場優先の考え方でもあるため、上司や同僚にはウケが良い。

 だからこそ放置されている側の能代としては、それに不満を持っているものの、上司や同僚との付き合いのためだと言われてしまえば、彼女としてはそれ以上何も言えず、それも妻も務めと思って我慢する他なかった。

 それならばせめて自分も働いて支えたのでパートなどを認めてほしい、と能代は夫に懇願に近い提案をした事がある。しかしそれも、
「もし何か間違いでもあったらどうするんだ」
極端に他の男の影を恐れるような物言いで却下されてしまっていた。

 能代は何度か必要に迫られて、夫には内密で日雇いのアルバイトで収入を得ようと画策してみた事もある。だが、彼女が派遣された職場に於いては、十割の確率で彼女の美貌から上っ面だけを見て言い寄ってくる男が存在した。

 そういった類の軟派男の存在にうんざりさせられた能代は、派遣会社に対してその事に対して苦情を申し立て、対策を依頼した。しかしそれもほぼ無しの礫であったどころか、あろうことか彼女の労務管理の担当者からも、個人的な連絡先の交換を要求される始末。

 そんな状況下に頻繁に置かれるようになったことで、過日の夫の危惧も尤もであると考えた能代は、次第に日雇いの仕事に行くのが億劫になってしまっていた。

 しかしながら、世帯として配偶者の給与で十分な収入があると見做されている能代には、生活保護といった社会福祉にアクセスする権利が与えられていない。だから彼女は収入に比して多大な、手心の一切ない諸々の支払に困窮して、かなり途方に暮れていた。


 そんなある日。不足した最低限の日用品の買い出しのため繁華街へと赴いていた能代は、
「ねぇねぇ、そこのお姉さん、ちょっといいかな?」
見知らぬ男性に声を掛けられる。彼女としてはこういった出先での声掛けに遭うことも日常茶飯事であった。

 だから能代は今回も簡単にあしらおうとしたのだったが、普段なら男に声を掛けられた際には必ず枕に付く「綺麗な」とか「可愛い」とか「素敵な」といった耳障りの良い言葉が無かったことから、彼女は一瞬違和感を覚えて躊躇ってしまった。

 能代の戸惑った一瞬の隙を突いて、
「勘違いだったらごめんね。もしかしてなんだけど……お金で、お困りでは?」
男は彼女の表情だけを見て、そう続けた。彼に図星を指されてしまった能代は、
「えっ……どうして、それを……?」
思わず立ちすくんで、つい彼の口車に乗ってしまった。

 能代に声を掛けて来た男は、芸能プロダクション「東白楽興業」の代表、清水しみず博之ひろゆきと名乗った。彼女もその社名や彼の個人名と顔を見聞きした事があったから、彼が身分や名前を偽って近寄って来たものではないと言う事を直感的に理解していた。

「もしかしたら僕、お姉さんにいいお仕事を提案出来るかも知れなくて。それで声を掛けさせて貰ったんです」
「あの、そうなんですね……。でも、キャバクラとか風俗とかそういうのはちょっと……」

 能代は博之と名乗る男の職業斡旋が所謂「夜の仕事」ではないだろうかと警戒していた。彼はそれに首を振って
「いやいや、そういう際どい仕事では全くなくて。お姉さんの美貌を生かせるようなお仕事なんです」
娼婦やそれに近い内容ではない事を強調する。是非お話だけでも、と怖めず恐れずな態度で水を向けてくる博之の熱意に負けた能代は、
「うーん、そうですね……一度、お話を聞くだけでしたら……まぁ」
一先ずこの近くにある彼の事務所へと足を向ける事となった。


 歩いて数分のところにある繁華街の一角にある雑居ビルの三階に、博之の言う通り東白楽興業の社屋を兼ねた事務所は存在していた。

 軽く互いの自己紹介を交わしながら辿り着いたそこの応接室へと案内された能代は、博之の秘書らしい女性から受け取った煎茶を啜りつつ、いよいよ具体的な仕事内容について説明を始める彼の言葉に耳を傾けていた。

 博之が探していたのは、下着販売会社のカタログに被写体モデルとして写る、身体付きスタイルが写真映えする女性。自身の眼識に適う女性を雑踏から見出そうとしていたところ、その中から深い溜息を吐き続けている能代を見出したのだそうだ。

 身体の均整プロポーションも身体付きも美貌も被写体としては申し分ない、と博之は豪語する。しかし、自分自身の身体にそこまで自信が持てていなかった能代は、裸でないにしろ肢体の素肌を不特定多数に晒すと言う事に抵抗を覚えて難色を示していた。

「それに能代、そんなに綺麗な女じゃないし……」

 常々思っている事を口にする彼女の様子に頷いた博之は
「いやいや、貴女ほどの美貌の持ち主はなかなかいませんよ。そうですね、貴女のモデルとしての将来性ポテンシャルを考えたら……大手下着メーカーでも喜んで依頼して来るしょうし。一回あたりの報酬は……」
手近にあった電卓を手にすると何やら計算を始めた。そして暫く。

「うん。こんなもんで、如何でしょう?」

 提示された卓上計算機の画面に表示されていた数字を目にした能代は
「えっ、こ、こんなに……!?」
自身の価値として弾き出された額に驚愕していた。それは夫が一切家計費を入れずに放蕩していたとしても一月以上簡単に暮らしていける程であったから無理もない。

「この条件で構わないので、一度お試しで撮らせて頂けないでしょうか。お願いします!」

 熱意を籠めた眼差しで能代を見つめながら、博之は応接室の机越しに彼女に頭を下げた。それで彼女は先程冒頭で説明された通りのなり手不足は本当の事なのだと理解したようで、
「ほ、本当に、一度だけ、ですからね……?」
気後れしながら彼の要請を承諾してしまう。色好い返事を聞く事が出来た博之は舞い上がったかのように立ち上がると、
「本当ですか! いやぁ、嬉しいです!! 本当に助かりますよ!!」
彼女の指輪が光る左手を両手で取って契約の成立を喜んでいた。

 その後は先程の金額を含めた詳しい条件面が記載されている出演承諾書が手交わされて、初回撮影日もその場で調整がなされる。そうして能代は下着モデルとしてデビューさせられる事が決定した。

 無論そんな副業ヽヽを夫は絶対に認めてくれないだろう。確信を以てそう思っていた能代は、今回の仕事も夫に秘匿したままで受諾することを心に決めていた。

 博之がモデルに誘った上玉の女性がその試しの一度で済んだ例は皆無だった。何とか支払期日までにまとまった収入が得られる算段が付き、金銭的に都合が付きそうだと安堵の表情を浮かべている能代の様を、彼はほくそ笑みながら眺めていた。


 数日後。能代は博之によって初仕事ヽヽヽに呼び出されていた。自宅最寄駅から私鉄線で数駅先にある都内のスタジオで、彼女はいよいよ下着モデルとしての第一歩を踏み出そうとしていた。

 能代自身、未だに気恥ずかしいという気持ちの方が大きい。しかし、この仕事を断ったならば、最早諸々の支払いが滞ってしまうのは確定的だ。何とか糊口を凌ぐために、彼女は夫に内密でこの降って沸いた仕事に従事せねばならなかった。

 この日は他の衣装担当・メイク担当など東白楽興業の各スタッフとの顔合わせと、色香や肌露出が比較的少ない就寝用の下着を身に付けての試し撮りである。

 今回撮影された写真は、博之の会社の取引先である複数の大手下着メーカーのカタログ担当者に送られる手筈になっている。能代の下着姿は、彼等によってじっくりと吟味される事となるだろう。

 能代はかなり緊張していたものの、存外に女性スタッフが多かったことから、彼女は当初説明を受けていた通りの撮影現場であると、すっかり安心し切っててしまっていた。

 能代はそのスタッフの一人で、過日初めて訪れた事務所でも博之の秘書を務めていた女性から緊張が解れるようにと暖かい飲み物を受け取っていた。

 彼女がそれで気持ちを落ち着かせようとしていたところで、
「能代ちゃん、それじゃあそろそろ始めようか?」
博之が声を掛けてくる。それに彼女は
「は、はひっ!!」
上ずった声で返事をする。それで緊張で硬くなっているという事を理解した彼は、
「はは、大丈夫大丈夫。今日はそんなに難しいことはしないし、露出も少ないやつでの試し撮りだから」
能代の様子を笑い飛ばしてみせた。彼女はそれで少し緊張が解れた様子だった。

 控室からスタジオの撮影部屋へと場所を移した能代は、早速博之からの指示に従って、意匠がそこまで凝っておらず露出も少なく簡素な綿素材で出来た、就寝用の肌着に近い下着を身に付けて、初めての撮影に臨んでいた。

 博之の今日の目的は能代を衆目に晒される環境に慣れさせてゆくことだ。彼は彼女の耳障りが良さそうな言葉を褒め言葉として投げかけながら、次第に際どい姿勢ポーズを要求してゆく。

 能代は恥ずかしいと感じながらも博之のそれに応じて、尻や胸が強調されてしまうような大胆な姿勢となりながら、被写体としての役目を一生懸命こなしてゆく。

 夫には家事の道具としか見られていなかった能代は、女としての自信を喪失しかけていた。だが、博之に徹底的に褒められたことで、彼女は少しずつそれを取り戻してきている。

 だから能代は、次第に気分が高揚してきていたことで、眠っていた性感が呼び起されつつあった。

 そうこうしているうちに、撮影は終盤に差し掛かる。当初の緊張はどこへやら、能代の羞恥はすっかり薄れ、彼女はカメラで撮られる事に慣れて、自然と笑顔で姿勢の要求に従うまでになってしまっていた。

 博之の指示に従って大胆な姿勢を取ると、彼から目線や撮影機材を向けられては褒めちぎられる。能代はその度に身体が火照ってゆくのを感じていた。


 撮影予定時間である一時間半は、能代の中ではあっと言う間だった。それは彼女自身が、こういった形で衆目に素肌を晒されるという事を、慣れてしまえば案外楽しかったと感じているという何よりの証左だった。そしてそれは、まさに博之の思惑通りでもある。

 着替えを済ませた能代は、先程まで身に付けていた下着を彼に手渡して、引き換えに予定通りの謝礼を受け取っていた。

「能代ちゃん、お疲れ様! 本当にありがとうね。すっごくいいが撮れたよ。きっと先方も喜んで採用してくれると思う。どうだろう、今後もまた撮影をお願いしたいのだけれど、また来てくれるかな?」

 帰り際に博之から提案されたそれに、能代は否とは言えなかった。彼女自身、未だ恥ずかしいという思いは残ってはいるものの、案外性に合っているのでは、とも感じ始めていたから、彼女は頬に紅葉を散らしたままに、つい小さく頷いてしまっていた。

 能代を見送った博之は、先程まで彼女が身に付けていたショーツのクロッチに僅かながら蜜が付着している事に気付いていた。だから
「どうやら旦那には普段から構って貰えてなさそうだったし……今回の人妻もまた、美味しく頂けてしまえそうだな。うんうん、実に楽しみだなぁ」
この後の展開に期待してほくそ笑んでいた。


 非常に大きな臨時収入を手にした能代は、帰宅がてら諸々の支払いを済ませてから帰宅していた。彼女は資金難の重圧から解放されたことで、久方ぶりにとても清々しい開放的な気分を味わっていた。

 憂鬱な気分から立ち直ったことで、能代は今まで全く沸きもしなかった筈であった性欲の亢進という別の問題に直面して困惑していた。

 能代にそういった欲求が現れてきた直接的な要因は、経済困難によるストレスが緩和されつつあることと、先程の撮影で不特定多数の人間に素肌をじっくりと見られてしまったということにある。

 しかし今まで夫である英雄の身勝手さが相俟って、谷口家に於ける夫婦の夜の営みは皆無であった。だから能代は、必要以上に火照ってしまった身体を持て余してしまっていた。

 英雄はいつも通り横須賀からの終電がほぼ間近という時間に帰宅していた。

「あっ、提督。おかえりなさい!」
「ああ」

 能代の声掛けに素っ気なく応答した英雄は、制服の上着やズボンを居間の椅子の背に無造作に留置すると、肌着のみの格好となって湯浴みをすべく浴室へと向かってゆく。

 普段はそんな夫の様を見たとて何の感情も抱かなった筈なのに。能代はこの日ばかりは彼の一挙手一投足を熱っぽい眼差しで見つめてしまっていた。


 夜半過ぎ。夫婦の寝室の大きな寝台に横たわって眠気を呼ぶための日課の読書に興じていた英雄は、入浴を終えて寝室へとやってきた妻の格好に聊か驚かされていた。

 能代は生成り色の極薄地に薔薇を模した白のレース刺繍がたっぷりと縫い付けられた、妖艶なショーツと、それと同じような意匠のブラジャーの下着セットを身に付けていた。

 それは能代が、値段が良心的であることから普段から愛用している、彼女のような身体の肉付きが良い体型の女性でも似合うようにと、可愛く妖艶な意匠になるよう設計された下着を展開しているブランドで販売されている逸品。

 そしてそれは、能代が爪に火を灯すような思いをして得た、虎の子の勝負下着だった。そんな色香ある下着のみを身に付けた格好をしている妻に対して、一体どういうつもりか、と英雄が問おうとした刹那だった。
「あの、提督……。その、はしたないお願いで、申し訳ないのですが……能代、ひさびさに、えっち、が、したくって……。その……お相手、して、いただけない、ですか……?」
妻が彼にしおらしく性交を要求してくる。そこまでされてようやく彼女の意図に気付いた英雄は彼女の格好の理由が腑に落ちたようで成程、と小さく呟く。然るに彼は、既に眠気も強くなりつつあって、能代からの誘いに気乗りしなかった事から
「疲れているんだ。すまんな」
それを一蹴してしまった。

 英雄はそのまま読んでいた文庫本に栞を挟んで、寝台の横に備え付けられていた棚にそれを置くと、下着姿のまま布団に潜り込んで来る妻に背を向けて目を閉じてしまう。

 夫から袖にされてしまった能代は、期待を裏切られたことで深く溜息を吐かざるを得なかった。だが、昼間の撮影で発情してしまった彼女の身体の疼きは、最早止みそうにない。

 夫と交わる事が叶わず、性欲を満たせなかった彼女は、
「はぁ、っ……ん……ぅっ……❤」
大胆にも英雄が寝入るその横で、自らのショーツに指輪が光る左手で触れ始める。秘唇を覆っているクロッチは既に溢れた蜜を吸って、股間にぴったりと吸着してしまっていた。

 能代が心音を高鳴らせながらぷっくりと勃ってしまっている陰核クリトリスへと指を滑らせてみる。
「あふ、ぅぅっ❤」
彼女はたったそれだけの刺激でも気持ちよさそうな嬌声を思わず発してしまい、慌てて右手で口を押える。どうやら夫は熟睡していて能代のはしたない行為には微塵も気付いていない様子だった。

 いつしか、能代の愛液でぐしょぐしょに濡れてしまっているショーツのクロッチはずらされていた。彼女は親指で触ってくれとばかりに膨れ勃っている陰核を刺激しながら、
「はぁ、はぅぅ、っ❤ てーとく、お○んぽ、お○んぽ、してぇ❤ お○んぽ、ほしい、のぉ❤ のしろ、もう、がまん、できない、のぉ❤」
中指と薬指を秘唇に挿入して、一生懸命絶頂に至ろうと藻掻いていた。

 然るに、三十分程もそうした激しい自慰に至ったところで、能代は結局絶頂に至る事が出来なかった。夫が寝返りを打ったことで身体を震わせて自慰を中断してしまった彼女は、
「はぁ……っ……うぅ……。のしろってば……なに、やってるんだろ……。ひとりで、こんな、えっちなこと、して……」
我に返るなり、惨めな気分になった彼女は、結局自己嫌悪を深めてしまっていた。

 数日後。能代は再び博之に仕事で呼び出されていた。彼女は此度も無論夫である英雄には内密のままで出先に向かっている。

 夫が家計費として入れてくれる金銭は月を経る毎に減少の一途を辿っている。それを鑑みた時、この依頼を受ける事で得られる謝礼の大きさから、能代はどうしても仕事の依頼に否とは言えなかったのだ。

 スタジオに到着した能代を出迎えたのは、前回も飲み物を渡してくれたりと、何かと世話を焼いてくれた、彼女と同じく左手の薬指に指輪を付けている、博之の秘書と思しき女性だった。

 高橋たかはし里美さとみと名乗っていたその女性の案内で、能代はスタジオ内の控室へと案内される。この日撮影に臨む被写体の女性は、能代の他にもう一人いる様子だった。

 相変わらず裏方のスタッフは女性ばかりであったし、今日は撮られるのが自分だけではないという事を理解した能代は、博之が何やら策を弄しているという事に全く気付くこともなく、すっかり安心し切ってしまっていた。

 博之の見立て通り、能代を写した前回の試し撮りは各メーカーの担当者には頗る好評だった。彼女を下着モデルとして使いたいという依頼は引く手数多であったし、特に値の張るカタログの表紙を飾って欲しいという依頼もちらほら散見される程だった。

 そのうちの一つであるとある大手メーカーの人気シリーズで、意匠設計者デザイナーの粋が光る、少女趣味ながらも布の面積が少なく透け感もある妖艶な、二十代前半から三十代後半を主顧客層として見据えている下着が、今回の撮影で使われる事になっていた。

 だから、今回からは本格的に大手メーカーの若い女性向けの下着を身に付けての撮影となる、ということが、事前に能代にも伝えられていた。

 山のように積まれた下着のうちから、気に入った意匠であるものを一つ選びだした能代は、控室で早速それを身に付けようとしていた。

 能代が先程まで身に付けていたにび色の上着ジャケットと紺色のセーターと亜麻色のミニスカートを脱いで下着姿となったところで、控室の戸が叩かれる。来訪したのは里美だった。男性スタッフではなかったことで、彼女は安心して部屋の戸を開く。

「能代ちゃん、今日もよろしくね。はいこれ、こないだと同じ飲み物だけど、緊張解しに」
「わ、里美さん、ありがとうございます! これ、この間もすっごくおいしくて!」

 秘書はどうやら飲み物を渡しに来たようだった。能代は嬉しそうにそれを受け取ると、早速口を付けて喉に流し込んでゆく。

「あれ、なんだか……こないだより、ちょっと甘い?」
「そうなの。社長が能代ちゃんは甘い飲み物の方が好きらしい、って言ってたから、お砂糖多めにしてみたんだ」

 能代が発した一口飲んでみた感想に、里美は頷いた。以前博之に飲み物の好みなど他愛のない話をしていたと朧気に思い出していた能代はそれでこの味付けなのか、と納得して、
「すっごく好みの味。ありがたいですねぇ……」
安堵の息を一つ吐いた。

 里美は東白楽興業では表向き博之の秘書という事になっている。だがその実は、彼の肉体によって飼い慣らされている人妻の一人だ。そして彼女も夫との性交渉は殆どなく、性欲の赴くまま彼に抱かれる事を潔しとしている快楽主義者でもあった。

 人妻を手籠めにするのが趣味であるらしい博之の指示に従って、里美は能代に渡した飲み物の中にやや遅効性のある媚薬を盛っていた。先程彼女が前回渡されたものとの違いとして挙げた甘さも、その薬品由来の味だった。

 どうやら一服盛られた事に気付けていない能代の様子に、里美は役目の成功を確信して、秘唇が濡れてゆくのを自覚しつつ内心ほくそ笑んでいた。

 里美は彼女に媚薬を盛るという任務を果たす褒賞として、後日博之に一晩中抱いて貰えるという確約を得ている。彼との性交が何よりも楽しみである彼女は、こうして肉体関係の継続をダシに悪事の片棒を担がされていたが、それは彼女自身が望んだ事でもあった。


 薄布の生地端にレース生地が、前面には花弁を模した装飾刺繍がたっぷりと縫い付けられている、股間や尻の肌色が透けて見えそうな黒色のショーツと、同色のやはり装飾刺繍がたっぷりと施されているブラジャーで構成された妖艶な下着セットを身に付けた能代は、
「はーい、目線もうちょっとこっち~! うん、いいよぉ。すっごく、似合ってる!」
早速スタジオ内の撮影現場へと移動して、博之によって撮影を受けていた。

 暫く撮影を行っていると、先程里美に盛られた媚薬の効果が表れて来たのか、能代の動きが段々ぎこちなくなってくる。それは彼女が秘唇から蜜が溢れ出て来るのを感じていて、それをなんとか誤魔化そうとした事によるものだった。

 能代の表情が蕩けて来ていて、息も乱れつつあるのを把握した博之は
「おーい、森本もりもとさぁ。ごめんけどちょっと交代。能代ちゃん疲れちゃったみたいだからさ、みちるちゃん連れて来て、先に撮っててくれる?」
部下のカメラマンに指示を送りつつ、
「能代ちゃん、大丈夫? 何か息も上がってるみたいだけど……疲れちゃったかな?」
撮影機材を隅に置いて、身体を覆うバスローブを手に彼女の許へと駆け寄る。

 交代の為に下着姿となって準備を整え始めている、もう一人のモデルの姿を視認した能代は、
「ちょっと、控室で休もうか」
博之からの提案に呼吸を乱しながら小さく頷いた。

 能代の肩を抱いて、彼女に宛がわれていた控室へと足を向けた博之は、入口の扉に施錠して密室を作り出してしまう。ここまでは彼の計画通りだった。

 その控室には化粧台ドレッサー荷物入れクロークの他に、仮眠や休憩にも使えるようにとセミダブルサイズの寝台が備え付けられていた。そこの隅に能代を座らせた博之は、下着の上からバスローブを羽織ったまま呼吸を乱している彼女に、
「大丈夫? 顔真っ赤だよ?」
自身の所業によって彼女が体調に異変を来しているという事を理解してほくそ笑みながら、備品のペットボトルの茶を手渡す。丁度喉の渇きに悩まされていた能代は、蕩けた表情のままに小さく礼を言うと、早速封を切って中身をごくごくと飲み干してゆく。

「ごめんなさい、なんか急に、からだが、すっごく、ほてっちゃって……っ」
「たまに、いるよ。こんな感じになっちゃう子。緊張とかすごいとまぁあるあるだから、気にしないで。少し休んでても大丈夫だから」

 不調の原因が掴めないまま、仕事を中断してしまった事に申し訳なさから謝意を口にする能代を、博之は安心させてやる。すると彼女は少し気分が楽になったのか、小さく息を吐いた。

「結構緊張してたもんね。そうだ、ちょっとマッサージをしてあげよう。身体が柔らかくなると、少しは楽になるかもだし」

 博之が能代の肩に優しく触れながら提案する。既に媚薬の効果でかなり思考能力が低下しつつあった彼女は、男女が二人きりで密室に居るという状況を深く呑み込めないままに、一も二もなく頷いて身体を預けてしまう。

 能代の様子に満足そうに頷いた博之は、早速彼女の肩周りをゆっくりと揉みしだき始める。盛られた薬の効果で全身の感度が否が応でも高まってしまっている彼女は、
「ふぁ、んぅぅっ❤」
それだけでも艶のある吐息を漏らしてしまう。秘書によって能代に盛られた媚薬が想像以上の効き目であったことと、彼女が発した甘ったるい嬌声を耳にしたことで、早速博之は今後の展開を期待して雄が滾ってゆくのを感じていた。

 いつしか能代が身に付けていたバスローブは開けられいた。再び下着姿にされてしまった彼女は、黒色のブラジャー越しに乳房を優しく愛撫されていた。

「や、っ……だめ、だめ、です……ぅっ❤ そんな、とこ……❤ マッサージで、さわる、ところ、じゃ……っ❤」

 最早マッサージと称するには不適切であるような箇所にまで触れようとしてくる博之に、能代の口からは拒絶の言葉が漏れる。然るに、彼女の意思に反して身体は更なる刺激を求めて疼くばかりだ。

 博之は能代の嬌声交じりの抗議を無視して、ブラジャー越しでも分かる程には快感からぷっくりと膨れ勃った彼女の乳首の部分を、優しく摘まんでみる。

 下着を介している訳だから、能代にとってそれは優しく乳頭をなぞられているような軽い刺激である筈。しかし彼女はそんな程度でも身体をびくびくと震わせてしまう。

 夫との関係も未だ持てず、昨今開花してしまった性欲を持て余していた能代は、いつしか蕩け切った物欲しそうな表情で博之を見つめてしまっていた。

 溜らなくなってしまった様子の彼が、能代の唇に自らのそれを近づけてゆく。

「いや、ぁ……だめ、ですっ……❤ きすは、だめぇ……っ❤ ん、んむぅぅっ❤」

 能代は弱々しく拒絶を口にする。博之はそれを無視して強引に唇を奪った。身体が待ち侘びていた体液が混ざり合う感覚を得た彼女は、最早されるがままになる他ない。

「ん、ふぅ、っ❤ したひはいれちゃひれひゃ、らめ、っ❤ はぁ、ふぅ、ふぁぅっ❤」

 博之が能代の口腔内に舌を無理矢理ねじ込んでゆく。彼女はついそれを受け容れてしまう。どうやら箍が外れてしまったらしい彼女は、彼が挿し入れて来たそれに夢中で自身の舌を絡めてゆく。

 能代と舌を絡めた接吻ディープキスを交わしながら、博之は慣れた手つきで彼女の身に付けていたブラジャーを外しに掛かる。金具ホックが外れたことで、彼の眼前には、彼女の豊満な乳房が転び出てくる。彼女の唇を解放した彼は、それに夢中でむしゃぶりついた。

「ひぁ、ぁぁっ❤ らめ、ひろゆき、さんっ❤ ちくび、らめぇぇっ❤ んぅ、ぅぅっ❤」

 最早その程度の刺激でも強烈な快感を得てしまっている能代は、気持ちよさそうな嬌声を漏らしながら、身体をびくびくと震わせる。

「もっと、気持ちよくなりたい?」

 乳房の下部を優しく触れられながらに博之に問われた能代は、最早快楽を貪る事以外考える事ができず、頬を染めたまま小さく頷いていた。

 合意を得たと確信した博之は、ズボンのベルトを手際よく外すと、下履きごとそれを 脱ぎ払って、いよいよ我慢の限界で硬く滾っていた肉棒を彼女の眼前へと晒す。

 それは今まで夫の陰茎以外は経験が無かった能代が見た事もないような、とんでもない大きさの一物だった。これを膣に挿入されたならばどれほど気持ちいか、という事をつい想像してしまった彼女は、思わず生唾を音を立てて呑み込んでいた。

 興味津々の様子で博之のそれにおっかなびっくり触れてみる能代の動きに合わせて、彼も既に蜜を吸ってクロッチがぐしゃぐしゃに湿ってしまっている、彼女の黒いショーツ越しに恥丘に触れる。

「能代ちゃん、さっき撮影の時も、見て思ってたけど……下の毛、すっごく綺麗だよね」
「やぁっ、そんな、はずかしい、ところ、じっくり、みないで、ください……っ❤ んぅ、っ……❤ はぁ……っ❤ ん、んぅぅぅっ❤」

 博之が感想を口にしながら、恥丘から秘唇を覆うクロッチに向かって、彼女の恥毛の感触を楽しむかのように、優しく指を滑らせてゆく。ショーツのぐっしょりと湿った部分に彼の指が触れただけで、能代は待ち侘びていた快感で身体を震わせる。

 快感を欲してぷっくりと膨らんだ陰核をぐっしょりと湿ったクロッチ越しにぐりぐり刺激してやると、
「あふぅぅ、っ❤ らめぇぇ❤ ぱんつの、うえから❤ クリ、ぐちゅぐちゅ、しちゃ、らめぇ❤」
能代は気持ちよさそうに身体をくねらせながら甘い嬌声を漏らす。肉棒を掴む彼女の左手にも、ついつい力が入る。

「能代ちゃん、そんなにコレが、気になるんだ……?」

 クロッチをずらして秘唇に直接触れながら、博之が問う。能代は呼吸を乱しながら、再び物欲しそうな表情で彼を見つめつつ、小さく首肯する。

 二人は自然と唇を合わせ、舌を擦り付け始める。その間にも彼等は互いの性器をゆっくり優しく弄して、少しずつ高まってゆく。

 最早欲望が限界で辛抱ならぬと感じた博之が、いよいよ能代を寝台へと優しく押し倒す。彼女も抵抗を微塵も感じさせないまま、彼の意に沿って熱く火照った身体を横たえる。

 能代のとろとろ蜜を溢れさせている秘唇に、博之の硬く滾った一物の先端が押し付けられる。

「だめ、なまは、だめぇ……っ❤ ごむ、ごむ、つけてぇ……❤」

 能代は僅かに残った理性を総動員して弱々しく避妊を求めた。しかし、
「大丈夫、中には出さないから……それに、生でやったほうが、絶対、気持ちいいよ?」
博之は彼女の膣口に先端を微かに埋めながら、腰を振るって亀頭を動かして、わざとくちゅくちゅ、と不躾な音を立ててみせて、彼女の避妊を求める理性を蕩かすかのように煽る。

 結局博之から与えられる快感に抗えず、快感で脳髄を焼き切られてしまった能代は、
「はぁ、はぅぅぅっ❤ わかり、ました、からっ……❤ そのまま、お○んぽ、いれて、いいです、からっ❤ でも、なかだしは、ぜったい、だめ、だめ、ですから、ね……っ❤」
遂に生挿入を是認してしまう。

 いよいよ博之の逞しい肉棒がゆっくりと膣奥目掛けて侵入してくる。それは能代にとっては未知の感覚だった。今まで刺激された事のなかった膣奥に男根の感覚を得ただけで、
「ひぁ、ぁぅ❤ お○んぽ、はいって、きて……っ❤ うそ、だめ、なんか、すごいの、きちゃう❤ のしろ、イっちゃう、イっちゃうぅぅっ❤ はぅぅ❤ んぅぅぅぅぅぅっ❤」
気持ちよさそうに身体をびくびく震わせて、あっと言う間に絶頂へと導かれてしまった。

 能代は膣内で絶頂に至った経験は今までなかった。初めての途轍もない快感を得た事で、彼女は目を白黒させている。しかし、未だ肉棒をただ膣奥まで挿入されただけに過ぎない。性交セックスはまだ始まったばかりだ。

 徐々に抽迭を開始する博之の腰の動きによって、亀頭で膣奥ポルチオを突かれる度、能代の唇からは乱れた吐息と、男の興奮を誘うような艶のある声が漏れ出てくる。

 狙っていた人妻を手中に収めたとあって、博之としては感無量で、興奮も一入だった。

 元々性欲が強めでかつ夫には放置され気味で、そのせいで身体を持て余しているという、能代の性活事情を交わったことで見抜いたらしい博之は、彼女を更に快楽で溺れさせて蕩かさせるべく、しっかりと最奥を肉棒の先端で擦り上げて解してゆく。

 博之のそうした志向と彼の卓越した技量によって、今まで夫との行為では得る事が出来なかった途轍もない快感を得てしまった能代は、すっかり乱れてしまっていた。いつしか彼の身体をしっかりと抱きしめつつ、膣で彼の肉棒を締め付けて精を搾らんとしている。

 そんな彼女の膣の具合と体位の状態を好都合だと感じた博之は、
「能代ちゃん、お○んこで、そんなに、ぎゅってして、締め付けたら……なか、出ちゃうよ……?」
射精感が限界と言う事を暗に仄めかしながら、膣奥に一物を挿し込んだ状態で抽迭を止める。すると、
「やぁぁ……っ❤ やめちゃ、だめぇ❤ うごくの、やめちゃ、やぁ、っ……❤ もっと、もっと、お○んこの、おく❤ ごりごり、してぇ❤ のしろの、こと、いっぱい、イカせてぇぇ❤」
彼の思惑通り、能代は博之の腰を自らの両足でも強く抱きながら続きをねだってしまう。

「なかに、出しても、いいなら……もっと、ぐちゃぐちゃに、して、あげるよ……?」

 能代の耳元で蠱惑的な言葉を口にしながら、博之は膣の中程まで快感のあまり垂れ下がって来ている子宮口を肉棒の先端でゆっくりと擦り上げながら煽ってゆく。それに遂に屈してしまった彼女は、
「ん、いい、です……っ❤ さいごまで、して……いいです、から……❤ もっと、おく、ごりごり、してぇ……❤」
屈服の言葉を吐き出して、続きを欲してしまった。

 博之は意中の人妻から膣内射精を許可する言質を取ったことで、背筋にぞくぞくとした快感を覚えていたが。
「それじゃ、どうして欲しいのか……ちゃんと、おねだり、してみて? おねだり、できたら……いっぱい、気持ちよく、してあげるよ?」
もう一息追い込めばもっと淫乱なおねだりを口にするのではないか、と期待して能代をさらに煽ってゆく。

「のしろの、お○んこの、おく……❤ んぅ、そこぉ❤ しきゅうの、いりぐち……っ❤ ひろゆきさんの、すっごく❤ かたい、お○んぽ、で❤ イっちゃう、まで……❤ いっぱい、いっぱい❤ ごりごり、こすって、ください……っ❤」

 能代は博之の煽りに完全に屈してしまったようで、いよいよ具体的な願望に富んだ淫乱なおねだりを口にしながら、腰をくねらせて続きを熱望してしまう。

「僕も、もう、イっちゃいそうだけど、いいの?」

 当初の膣内射精をしないという約束を有耶無耶にする博之の発言に、能代は蕩けた表情のままで頬に紅葉を散らしてはにかみながら、
「ん、いい、ですっ❤ お○んこのおく、ごりごり、しながら……ひろゆきさんの、せーし❤ いっぱい、なかだし、してぇ……❤ のしろ、しきゅうの、いりぐちに……せーし、いっぱい、かけられて、イって、みたい、の❤ せーし、おくに❤ んぅぅ、っ❤ そこ、そこに、ひろゆきさんの、せーし❤ いっぱい、かけて、ほしい、ですっ……❤」
戻れぬ橋を渡っている事を自覚しつつ、彼の言に頷きながら自らの言葉で膣内射精を欲してしまった。

 博之が満足そうに頷きながら腰の動きを再開する。能代も待ち侘びたかのように再び彼の身体をしっかりと抱く。彼女の女性器は膣奥での射精を欲して、膣襞で彼の一物をきゅうきゅうと締め付け射精を促してゆく。

 やがて二人は同時に絶頂に達し、舌を絡めた接吻をしたままで動きを止めた。その瞬間は、どくどくと脈動する互いの性器だけが、遺伝子を交わらせるべく蠢動していた。

 今まで夫との性交では膣内射精はおろか生挿入すら経験がなかった能代は、博之から与えられた快感によってすっかり蕩けてしまってた。だから、
「ほんとうの、せっくすって……せーし、お○んこから、あふれちゃうんだ……❤」
能代は彼の肉棒が引き抜かれたことで、秘唇から溢れ出てショーツを汚している精液を、指輪が光る左手の中指と薬指で掬い取りながら、恍惚の表情のまま思わず独り言ちていた。

 それで普段夫とは避妊ありの淡泊な性交しかしていなかったという事をはっきりと理解した博之は、思わず胸を突かれていた。

「あっ……やだ、ごめんなさい……さつえい、の、したぎ……こんなに、よごしちゃって……」

 先程の独り言で我に返ったらしい能代は、撮影用に提供された下着を愛液や精液でどろどろにしてしまった事に気付いて、青ざめる。

「大丈夫、さっきバッチリいい写真が撮れてましたから、この下着はもう大丈夫。もしよかったら、まぁ、どろどろになっちゃってますけど……普段履き用にお持ち帰りになって頂いてもいいですし……」

 博之は元々メーカー側が費用を出している試供品であるという事を理解していたから、能代の言葉に首を振りながら、彼女の頭を優しく撫でて安心させてやる。そうした彼の態度に安堵したのか、彼女は未だ蕩けたままの表情で薄らと涙を浮かべながら笑みを見せた。

 そんな能代の表情を見てしまった博之は、再び欲望が下半身に溜まってゆくのを感じていた。

 二人は誘い合わせるかのように再び唇を合わせ、舌を絡ませ始めるが、
「社長~、すいません、ぼちぼち交代お願いしたいんですが、そろそろ能代ちゃんいけますか?」
休憩室の外から森本と呼ばれていた部下のカメラマンから声が掛かる。二人は慌てて身体を離さざるを得なかった。

「能代ちゃん、そろそろ、大丈夫かな?」

 博之から小声で問われた能代は
「んっ……❤ すっごく、きもちいい、えっち、して……❤ すっきり、したから……❤ からだは、たぶん……だいじょうぶ、なんですが……っ。あの、その……お○んこ、から、あふれ、でてくる、ひろゆきさんの、せーしが……とまらなくて……っ❤」
彼に予め渡されていた箱からちり紙を数枚抜き取って秘唇に押し当てながら、下半身に問題があるとやはり小声で返す。

 それに頷いた博之は
「大丈夫、ちょっと待っててね」
再び能代の頭を優しく撫でてやると、露出していた硬いままの一物を下履きに戻しながら控室の扉から顔だけを出して
「森本、すまんね。そろそろいけそうだから、もうちょい待っててくれる?」
先程声を上げた部下に指示を与える。

「それじゃ、能代ちゃん。お疲れのところ申し訳ないけどさ、次に着てみたいやつ、そこから選んでおいてくれる?」

 続けて寝台の上で真っ赤になったまま精液を拭っている能代にも、博之は指示を与える。彼女は小さく頷くと、秘唇にちり紙を当てたままの状態で立ち上がって、下着が山積みとなっている段ボール箱の中を物色し始める。

 その間に博之は化粧台に備え付けられている引き出しを開いて、膣に詰めて経血を吸い取るタイプの生理用品と身体を拭う為のウェットティッシュを手にして能代の許へと戻って来る。

 次なる下着を選んで来た能代を寝台の端に座らせた博之は、
「この建物、シャワーはないから……ちょっとこれで我慢してね?」
口にしながら能代の精液で汚れたショーツを脱がせると、ウェットティッシュで精液と愛液でぐしょぐしょに汚れた秘唇や、自身の唾液塗れになった乳房を丁寧に拭ってゆく。

 そうしてしっかりと清拭を終えた博之は、精液がこれ以上溢れ出てこないようにと、生理用品で彼女の膣内に栓を穿った。

 こういった膣に挿入するタイプの生理用品を使った事が無かった能代は、肉棒よりはマシであるとはいえ異物で膣に栓をされているという状況に至って、羞恥と未だ残る快感で顔を真っ赤に火照らせていた。

 その状態で、次に使われる繊細かつ可憐なレースが生地端にふんだんに縫い付けられて、前面には桜の花弁を模した装飾刺繍が随所に施されている、股の陰毛や尻の肌色まで透けてしまいそうな程の薄布で作られた淡い虹色のショーツの着用を求められた能代は、
「はぅ……❤ やっぱり、ちょっとずつ、染みでて、きてる……❤ また、ぱんつ、汚しちゃう……っ❤」
ショーツを履いてみたはいいものの、栓の間隙から溢れてくる精や蜜の感覚で、やはり恥ずかしそうに身体を揺すっている。

「うんうん、とてもいい表情になった。すこしえっちな表情の方が、他の女性が着てみたいな、って思うようないい写真が撮れますから」

 羞恥で頬を紅く染めている能代に、博之は耳障りの良い言葉を投げかけながら、ショーツと対になっている、やはり花弁の装飾刺繍とレース生地が生地端やカップの膨らみが強調されるような箇所にたっぷりと縫い込まれた淡い虹色のブラジャーを手渡す。

 能代は艶のある溜息を吐きながら、時折敏感になった身体に布地が擦れる度に嬌声を漏らしつつも、博之から手渡されたそれを着用していく。


 この後も他に数枚の下着セットを着替えながら写真撮影に臨んだ能代だったが、どれもこれもショーツのクロッチが博之の放った精液と彼女自身の愛液が混ざり合った混合液で汚れてしまう破目となる。

 帰り際、能代が持参していた普段使いの鞄は、体液で汚れて持ち帰りヽヽヽヽとなった下着類がたっぷりと詰め込まれたビニール袋を内包したことで、ぱんぱんに膨れてしまっていた。

 彼女は帰りの電車で他の乗客に鞄の中身が見られてしまわないかどうかが気掛かりで、撮影時とはまた違った緊張を強いられながら、帰宅せざるを得なかったのだった。

 東白楽興業から定期的に下着モデルの仕事を得られるようになったことで、能代が預かる谷口家の財政難は急速に改善していった。

 苦しかった金銭事情から来るストレスから解放された能代は、結婚前のような明るさを取り戻していた。

 そういった些細な妻の表情の変化には微塵も気付けていない様子の英雄は、相変わらず妻がどういった苦労を重ねて家計を支えているかを顧みる事もせず、給与の家計費への繰入を絞り続けていた。

 能代としては待てど暮らせど僅かしか入ってこない夫の収入に頼るよりも、夫に内密で下着モデルの仕事で稼いだ方が諸々が丸く収まるのではないか、と次第に考え始めていた。だから昨今では、彼女が英雄に殊更家計費の事で苦言を呈す事は一切なくなっていた。

 能代は結局英雄との性交渉の機会を未だ持てていなかった。彼女が誘っても毎度つれなく身体を交える事を拒否されてしまうから、彼女には寂しさと欲求ばかりが募っていた。

 一方で、博之となし崩し的に肉体関係を結んでしまったあの日以降、夫に袖にされ続けているという心の隙間を埋めるかのように、彼とは撮影で一緒になる度に身体を交える仲になっていた。

 あの時夫を裏切ってしまった事を能代自身後悔していて、夫に申し訳ないとは思っていた。しかし、満たされる事のなかった性欲を解消してくれる博之から与えられる快感を忘れる事が、彼女はどうしても出来なかった。

 撮影の度に博之から求められると、期待から身体が疼いてしまい否とは言えない能代は、結局必ずなし崩し的に性交へと至ってしまう。互いに快楽を貪るかのように求め合って、最終的に試供品のショーツが精液と愛液でどろどろになってしまうのが毎度の通例だった。

 能代のそんな出稼ぎと不倫を繰り返す日々は、もう三か月程も続いていた。


 英雄が洋上に出て帰って来ないある日。スタジオに近い都内某所の居酒屋で、東白楽興業主催の撮影でよく一緒になる女性スタッフや下着モデル達で集まっての女子会が行われていた。

 能代も何度か一緒になって仲良くなったモデルの一人に誘われて、その宴席に顔を出していた。

 宴も酣となったところで、話題はカメラマンと肉体関係にあるモデルが存外多いという、赤裸々な事情の暴露大会へと移ろっていた。自らの経験を武勇伝が如く語る者もいれば、噂に聞いたと前置きして眉唾な話を口にする者もいて、かなり混沌とした様子である。

 そんな中、丸く削られた大きな氷が入った、焼酎が並々と注がれている陶磁の酒器を傾けていた能代は、自身と博之との関係を口にしてしまえば藪蛇になりかねないとの思いから、下世話な話題に敢えて介入することなく、愛想笑いを浮かべたまま沈黙を貫いていた。

 話を聞いている限り、カメラマンとなし崩し的に肉体関係を結んでしまうモデルの女性は存外に多いようである。能代は自身の境遇もよくある事なのかと腑に落ちてしまい、思わず苦笑いを浮かべていた。

 能代が喧噪を肴に一人我関せずえんの態度を貫きつつ度数が高い酒を嗜んでいると、
「そういえばさ、能代ちゃんは、そういうカメラマンさんとヤっちゃったとか、ないの? 特に社長とか……独身女性には全く興味がないみたいなんだけど、人妻にはすぐ手を出しちゃうって聞いたんだよね。だから……実際、どうなのかなーって」
不意に彼女を宴席に誘った女性から話題が振られる。

 この場には社長秘書である里美は参加しておらず、既婚者であるのは能代だけだった。故に、人妻を手籠めにするのが趣味であると噂されている博之の毒牙に彼女が掛かっていないかどうかという事が、参加者の独身女性達からしてみれば気掛かりであるようだった。

 まさか自分に水が向くとは思っていなかったらしい能代は、既にお手付きである上に、夫との性交よりも快楽が得られる事の虜になってしまいつつあるという現状を口にしてしまう訳にもいかず、困惑気味に
「んー、今のところ……そんな変な事は特にないですよ? いつも紳士的に接して頂いていますし……」
軽い方便で嘯かざるを得なかった。すると居合わせた女性達は口を揃えて
「あの社長はさぁ、一度関係を持っちゃうと、逃げられなくするために、動画とか写真とかで不貞の証拠を押さえて外堀を埋めてくるらしいからねー。能代ちゃんは、特に人妻さんなんだから、本っ当に気を付けてね?」
彼の本性について情報提供をしてくれる。

 それを聞いた能代は、自分は今のところ性交の要求に一切拒否を見せていないから、博之がそういう手段を使って来ていないのだ、という事を理解するに至る。

 しかしそんな手管を用いられなくとも、能代は既に博之の肉棒の虜になってしまっている。彼との不倫性交は最早彼女の生活の一部に組み込まれている以上、彼女はそういった脅しとは自身は無縁のだろうな、とその忠告を軽く聞き流していた。

 そんな姦しい宴会は三時間程で終焉を迎えた。二次会に参加する気になれなかった能代は、店を出て二次会へと向かっていった女性達と別れて、一人徒歩で駅へと向かっていた。

 その最中、能代のスマートフォンが着信を告げて震える。それは博之からのもので、急遽事務所に寄れないだろうかというものだった。彼女は彼に
「能代、丁度駅の近くにいましたので、大丈夫ですよ。今から向かいますね」
了解したと伝えると、早速駅舎に入って丁度ホームに滑り込んで来た急行電車へと乗りこんでゆく。


 能代が事務所へと到着すると、中には博之と秘書である里美が未だ残留していた。

 どうやら彼等は先程まで一戦ヽヽを交えていたらしい。隠し切れていない精臭と、真っ赤に火照った、蕩けた表情のままの里美の様子でそれを把握したらしい能代は、不機嫌そうにわざとらしく溜息を吐いた。

 能代はこの時、自身がどうしてまるで不貞腐れたかのような態度を取ったのかについて、我が身の事ながら理解に苦しんでいた。別に博之が誰と肉体関係にあろうとも、彼女には関係のない事の筈なのにだ。

「それで、御用というのは……?」

 帰宅の準備の為にそそくさと女子更衣室へと消えて行った里美を尻目に、能代が問う。博之は頷くと、
「実はね。今度能代ちゃんに個撮をお願いしたっくって」
早速彼女への用件を詳細に語り出した。

 博之からの依頼は、モデルが普段暮らしている場所、つまり能代の自宅に於いてでの、生活感のある下着姿の写真の撮影だった。

 そういったコンセプトの下着シリーズを今度大手のメーカーが売り出すようで、そのカタログのイメージ作りとして、試しに能代をモデルにして撮ってみて欲しいという依頼があったようだ。

 それを聞いた能代は、
「ごめんなさい、ちょっとそれは……難しいかも、しれないです……」
流石に肉体関係にある間男を自宅に招き入れてしまう事による危険性リスクを考慮して難色を示す。さもあろう、能代は未だこういった仕事をしているという事を夫には伝えていないからだ。

 いつ突然夫の英雄が帰宅してもおかしくないような状況下にある自宅で、彼の見知らぬ間男と二人きりで下着姿の撮影などという大胆な行為は、諸々が簡単に露呈してしまいかねない程の危険を孕んでいる。万一にもそうなれば、彼女は致命的だ。

「うん、無理は承知でお願いしてる。もし受けてくれるなら、謝礼はいつもの倍出そう」

 博之としても無理強いであるという事を理解して頼み込んでいるということもあって、破格の条件を彼女にちらつかせる。それを耳にした途端、彼女は思わず唸ってしまう。

 夫が家計費として繰入してくれる額は月を追うごとに減少の一途を辿っている。このままではそう遠くないうちにいよいよ一銭も払い込まれなくなるだろうという事は、目に見えて来つつある。

 このあたりでまとまった貯金が出来れば、かなり家計の運営は楽になる筈。能代はそう確信していた。だから彼女は今回の博之からの依頼を受けるかどうかを、今まで以上に真剣に検討していた。

「う~~~ん……。そう、ですね……。そこまで、言うので、あれば……。日程などはこちらの希望に合わせて頂けて、午前中から夕方までの時間限定で、一日だけであれば……」

 能代は結局、博之からの要望を呑んでしまう。彼女は今回の依頼で得られる収入の大きさにはどうしても抗えなかったようだ。

 夫が外洋へと出る際には、現在の彼の秘書艦から毎回前日までに連絡を受けているから、彼の行動予定は把握が出来ている。その時機に撮影の日程を合わせてしまえば、危険性はかなり軽減できるはず。能代はかなりの深読みを巡らせたうえで、そう踏んだようだった。

「うん、それで構わないよ。僕も能代ちゃんの予定を最優先に動くから。日取りが決まったら連絡して欲しい」

 博之は能代から色好い返事が聞けた事で嬉しそうに頷く。そして彼女に謝礼の前金と称して、いつも撮影の際に彼女が受け取っている報酬と同額が入った封筒を手渡して来た。

 手付金を得られるとは思っていなかったらしい能代は、思わぬ臨時収入を得られた事に驚きつつも、それを有難く受け取る事として、大事そうに鞄へと仕舞い込んだのだった。


 能代が博之からの要請に応じて彼を自宅へと招き入れる好機は、存外早く巡ってきた。

 彼から話があった翌日に、夫の秘書艦より三日後に二日間の予定で外洋遠征が行われる、という通達を能代は受け取っていた。彼女は速やかにその情報を博之へと転送する。

 撮影機材等は全て手配済みであったようだから、撮影決行の日取りは本決定となる。


 約束の前日。外洋遠征の前日ということもあって、例によって終電が間近である時間帯に英雄は帰宅を果たしていた。ここ一週間程は鎮守府での泊まり勤務であったようだったから、能代も夫の顔を見るのは久しぶりであった。

 能代は下着モデルとして成功し始めていて、十分な報酬を得続けていた。だから、金銭的にも安定してきたこともあって、そろそろ子供が欲しいと考えていた。

 奇しくもこの時、能代は排卵が近い危険日の初日を迎えていた。だから彼女は性欲が亢進されてしまっていて、今晩にでも夫の精を膣奥に受けて孕みたいと欲していた。

 帰宅してすぐシャワーを浴びていた様子の英雄が脱衣所から出て来たところで、
「提督……あの、能代……あかちゃん、ほしい、んです……。今日は、その……危ない日、だから……。だから、その……ひさしぶりに、えっち、してほしい、です……っ」
彼の背中に抱き付きながら、能代は以前よりも大胆にかつしおらしく性交を要求する。

 然るに、この日も彼は乗り気ではなかったようで、
「今日は疲れてるから、また近いうちな」
彼女の渾身の誘いを、再度けんもほろろに退けてしまう。

「やっぱ、能代じゃ、だめ、なのかな……」

 危険日の性交すら断られた事で、夫から女として見られていないのではないかという、一抹の不安を抱き始めていた能代は、失意で落ち込んていた。

 それでも忙しいのかも知れない、と前向きに考えていた能代は、妻の務めを果たすべく、居間の椅子の上に無造作に放置された夫の制服に丁寧にブラシを掛けてゆく。

 その最中だった。能代の目の前に制服のポケットから転び出た一枚の紙切れが。それは横須賀鎮守府内に存在する、慰安婦施設ソープランドの会員証だった。

 それを拾い上げた能代は、風俗嬢の名刺を兼ねたスタンプカード型のそれに記されていた見覚えしかない源氏名を見て、愕然とさせられていた。名刺として会員証を渡した風俗嬢の名前が「あがの」であったという事が、能代の心を容赦なく圧し折ってゆく。

 彼女の実姉である阿賀野は元々快楽主義者であったということもあって、引退して予備艦娘となった後も、横須賀鎮守府に残ってそちらの世界の主力艦ヽヽヽへと転身していた。妹である能代も、当然姉がそこで働いているという事を知り得ていた。

 彼女は、自身の夫が本来は家計に入れて貰わねばならない少なくない金員を払ってまで、姉と肉体関係にあったという事を、思わぬ形で知ってしまった。だから彼女は、胸が潰れる思いを味わって涙を流していた。

 能代の心中では、普段から彼女に対して高圧的な態度を取り続けていて、かつ家計費を殆ど入れず、収入を風俗遊びを初めとした遊行に費やし続けている英雄に対して、妻としての積もりに積もった、言ってやりたい文句が山ほど沸き出しつつあった。

 しかし能代は、仕事ヽヽで夫と身体を交えていたであろう阿賀野に対しては、怒りや恨み、憎しみといった感情は自然と沸かず、特に何も思うところはなかった様子だった。

 能代は顔をぐしゃぐしゃにしたままの涙目で会員証のスタンプ欄に押されている日付を見やる。最終の利用日は本日となっていた。それで彼女は英雄が先程自身の誘いを断った理由を具に把握することが出来た。

 夫の帰宅が遅かったのも、自身と性交の機会を持ってくれないのも、先程まで姉と身体を交えていて性欲の処理を済ませてしまっていたから。それは先程能代が得た状況証拠からして、最早自明だった。

 彼女は心の中で何かが壊れていく感覚を得て、その場を動けぬままに嗚咽を漏らし続けていた。


 能代はその晩夫婦の寝室へは戻らず、居間の食卓机ダイニングテーブルに突っ伏して一晩中涙を流していた。彼女は一晩気持ちの整理を付ける為にしこたま泣いたことで、
「てーとくも、自分勝手にやってるみたい、だし……。もう、きっと、能代の事なんて、どうでもいいんだよね……。だから、もう、能代も……好きにしちゃおう、っかな……」
最早自分勝手な夫を慮って自分自身を抑制して生活し続けなくても良いのだ、という事を理解して、吹っ切れてしまっていた。

 快楽主義を前面に押し出している姉と同様、能代も本来は性欲が強く欲求が溜まりやすい体質を持つ。しかし、姉の行動をはしたないと常々感じていた彼女は、姉のようにはなるまいと思う気持ちと、夫の存在から普段はそれを押し殺して生活していた。

 最早それを我慢しなくてよいと考えた時、性欲を極限まで溜め込んでいた彼女の脳裏に浮かんでいたのは、愛していた筈である英雄の顔ではなく、かの逞しい肉棒を持つあの男、博之の顔だった。

 寝不足気味の泣き腫らしてぐしゃぐしゃのままの顔を、能代は熱いシャワーを浴びる事で何とか元に戻していた。

 能代はこの後訪ねて来るであろう博之との甘い展開を期待して、身体が熱くなってゆくのを感じながら、浴室から全裸のままで英雄が不在となった寝室へと足を向けていた。

 以前博之と初めて身体を交えた際に身に付けていた黒い下着セットを大事そうに箪笥から取り出した能代は、胸の鼓動が早鐘を鳴らしているのを自覚しながらそれを再び身に付けてゆく。

「やっぱり、このブランドの下着って、すごいなぁ……❤ 何回、履いてみても……すっごく、快適な履き心地、で……っ❤」

 能代はショーツを履き込んで、尻への食い込みを修正したところで、博之と初めて交わった時の事を思い出してしまい、思わず溜息を漏らしながら独り言ちた。

 彼女は下着モデルとして十分な収入を得る事が出来るようになった今でも、倹約癖が抜けきらず、家計費が逼迫していた頃に愛用していたネット通販専用のブランドの下着を購入して使っていた。

 然るに、博之と顔を合わせるという際には、英雄の目に入らぬよう箪笥の奥底に仕舞ってある、撮影の際に試供品で得た高級で妖艶な下着を身に付けるようになっていた。

 男の劣情を誘うような、そういった品々を纏った姿を、能代は未だ夫に見せた事はない。彼女は寧ろ、この下着を英雄に見せる事は最早無いだろうな、とまでこの時思ってしまっていた。

 能代の身体は、相変わらず子供を孕むにはお誂え向きの状態のまま。その事で性欲が最大限まで亢進されてしまっていた彼女の情は、既に英雄から博之へとすっかり移ろってしまっている。だから彼女は、間男が自宅へと訪れて来るのを非常に心待ちにしていた。

 約束の時間が近付くにつれて、能代が期待から身体を火照らせて秘唇から蜜を溢れさせながら待ち侘びていた。そうしていると、博之が撮影機材諸々を担いで彼女の自宅へとやって来た。彼女は上に何も羽織らず、下着姿のままで玄関へと駆けてゆく。

 何時ぞやかの撮影で身体を交えた際と同じ格好で自身を出迎えた能代の姿を見た博之は、驚きを隠せずにいた。だが一方で、彼は彼女の心境に何か大きな変化があったのだろうという事も敏く察していた。

 博之は外を歩く者達に情事一歩手前の様相である能代の姿を見られてしまわぬようにと、手早く玄関の戸を閉めて施錠する。彼は機材を廊下の床に置いて、
「能代ちゃん、今日はすっごくやる気満々だね! 下着もバッチリ着込んでるし、もうすっかり、メスの顔になっちゃってるみたいだし」
能代に言葉を掛けながら近づいてゆく。すると彼女は、最早待ちきれぬと言わんばかりの蕩けた表情のまま、彼に抱き付いた。

 二人は自然と唇を重ねて愛情を表現し合う。その接吻キスが舌を絡めた濃厚なものへと転じるまでは然程の時間を要しなかった。

「ちょ、能代ちゃん、タンマタンマ。まだ始めてもいないよ。ムラムラしちゃってるってのは、よく分かったけどさ。お楽しみは、もうちょっと後でにしよっか? まずはささっと、お仕事しちゃおうよ。性交セックスはまたあとで、ゆっくりと、ね?」

 博之のジーパンのチャックを下ろして、下着の中に手を入れて無遠慮に肉棒に触れようとしてくる能代の様に、彼は思わず待ったを掛ける。

 能代は最早性欲の我慢の限界が近かったが、博之のやるべき事を先に済ませなければ、という意見も尤もであると感じたのだろう。素直に彼の言に従って身体を離した。

 二人は能代の案内で、主が出払って孤閨と化した夫婦の寝室へと足を向けていた。彼女はいよいよそこで、博之との二人きりの個人撮影に臨もうとしていた。

「そうだ能代ちゃん。先方がね、普段能代ちゃんがどういった下着を付けているか分かる写真も撮って欲しい、と言って来ててね。まず最初は普段使いしてるやつを着てみて貰ってもいいかな?」

 どうやら今回依頼して来た大手メーカーの担当者の意図は、
「普段こういう下着を身に付けている女性が、当社の下着でここまで美しくなる」
といった前後比較をカタログで表現したいという事であるらしい。それを博之から説明された能代は恥ずかしそうに小さく頷くと、彼の目があると言う事にも憚らず、堂々とその場で身に付けていた黒色のブラジャーを取り外しに掛かる。

 能代の大きくて尚且つ形の良い乳房が震えながら転び出る様子を眺めていた博之は、その妖艶さに思わず生唾を飲んでいた。それに気付いた彼女は頬に紅葉を散らしつつはにかみながら、ブラジャーと同色のショーツにも手を掛ける。

 能代が膝までそれを擦り降ろすと、既に溢れた蜜でぐしょぐしょに汚れてしまっているクロッチが彼女の股間から離れたことで、ぐちょ、と不躾な音を鳴らしながら何本も粘液が糸を引いた。彼女はそのまま床にショーツを落としていよいよ生まれたままの姿となる。

「やんっ……❤ ちょっと、はいてた、だけなのに……❤ ぱんつの、クロッチ❤ のしろの、えっちな、おしるで……ぐちょぐちょ、に、なっちゃってます、ね……❤ ごめん、なさい、ひろゆき、さん❤ のしろの、えっちではしたないところ、みせちゃって……❤」

 床からショーツを拾い上げた能代は、雌の淫臭フェロモンがたっぷりと染み付いたそれのクロッチの様子を眺めながら、頬を染めたままに敢えて今まで身に付けていた下着の様子を実況してみせる。

 そんな彼女の今までにない積極性を目の当たりにした事で、博之は再び生唾を音を立てて飲み込まざるを得なかった。

 今まで身に付けていた下着類を寝台の隅へと無造作に放った能代は、全裸で箪笥の前へと向かうと、彼に安産型の形が整った尻を向けて微かに揺らしつつ、普段使いの下着を取り出そうとしている。

 能代のそうした一挙手一投足を眺めていた博之は、身体の芯がどんどん熱く滾ってゆくのを感じていた。

 能代が箪笥から選び出したのは、彼女のお気に入りでもあるらしい、生成り色の薄地に薔薇を模した白のレース刺繍がたっぷりと縫い付けられたショーツとそれとセットとなる同様のレース刺繍がふんだんに施されたブラジャーのセットだった。

 それは彼女が過日夫と交わろうとして断られた際にも身に付けていたもの。それを能代は間男に見せ付けるかのように、ゆっくりと着込んでゆく。

「ん、っ……❤ よし、いい、かな……❤ ごめんなさい、おまたせ、しちゃって……❤ えっと……その……こんなので、どうでしょうか……❤ のしろ、いつもはこんなのしか、つけてなくって……。その……あんまり、えっちじゃない、かも……ですけど……」

 能代が恥ずかしそうに、かつ少し不安そうな表情で博之を見つめる。彼はその可憐さと美しさに一瞬言葉を失ってしまっていた。

「や、全然、そんなこと、ない……。うん、能代ちゃん。それ、とっても、似合ってるよ……!」

 能代が身に付けているそれは、安品ながらも勝負下着の類であるという事は、博之の眼識からしてみれば一目瞭然である。彼としては、彼女の限られた予算内でもより美しく見えるような下着を選び出す感性センスに脱帽させられていた。

 早速撮影を開始した博之は、能代を褒めちぎりながら早速際どい姿勢を要求して、彼女の艶やかな下着姿を撮影してゆく。

 夫からは一度も褒められたことのない、普段身に付けている下着を絶賛されたことで、元々発情していたという事もあって、能代の欲望は限界に達しようとしていた。

 彼女が期待して頬を赤らめながら、自身をじっと見つめてきているのを把握した博之は、
「じゃあ能代ちゃん。そろそろ、少し休憩ヽヽしよっか?」
彼女が求めていることを提案する。毎度撮影の度に身体を交わらせてきた二人にとって、「休憩」とは「身体を交える」と同義だった。能代は息を弾ませながら、恥ずかしそうに小さく頷いた。

 撮影を一時中断して、機材を寝室の床の適当なところに置いて歩み寄ってくる博之に、能代は恥ずかし気な表情のままおずおずと抱き付く。二人は先程玄関で再会した時と同様に、自然と口付けを交わし始める。

 博之が能代のショーツに優しく触れる。彼女は待望の身体への刺激を得て嬉しそうに身体を震わせている。

 既に能代の秘唇から溢れた蜜は、ショーツのクロッチでは受け止め切れずに内股へも垂れて来ている。だから下着の恥丘を包む薄布までが、股布から伝播した湿り気を帯びてしまっていた。

 博之がクロッチをずらしてとろとろと蜜を溢れさせている秘唇に指を挿入れてゆく。能代は彼の背中を抱きながら気持ちよさそうにびくびくと身体を震わせつつ、彼の唇を奪う。

 能代の接吻に応じて博之が彼女の唇に舌を挿し入れる。彼女は口腔内に侵入してくるそれに夢中で自らの舌を擦り合わせて、彼に対する愛情を表現しながら快感を貪り始める。

「うわ、能代ちゃんちょっと、もう、ぐっしょぐしょじゃん……」

 博之が嗾けるように口にする。すると能代は呼吸を乱しながら、
「きょう、すっごく、あぶない、ひ、だから……❤ あさ、から……ずっと、えっち、したくて……❤ お○んこに、お○んぽ、いれて、ほしくて……っ❤ だから、のしろ、もう、そのことしか、もう、かんがえられない、くらい……❤ すっごぉく、むらむら、しちゃってて……っ❤」
余計な一言を口走ってしまう。

 能代がつい明かしてしまった事で彼女が危険日であるという事を知った博之は、胸を突かれると同時に脳髄を焼かれる感覚を得て、思わずほくそ笑んでいた。

 そんな博之を余所に、待ちきれなくなってしまったらしい能代は、いつの間にか再び彼のジーパンのチャックを下ろして、彼の下着に手を入れ股間をまさぐっていた。遂には彼のズボンを下履きごと脱がせ、生の肉棒を露わにさせた上で握って刺激を与えていた。

「能代ちゃん、今日は本当にがっついてくるね……? そんなに、シたいんだ?」

 博之は少し驚いたような表情で能代に問う。彼女は待ちきれないといった蕩けた表情でこくこくと二度頷いた。

 舌を絡めた接吻を交わしながら、二人は誘い合わせたかのように、寝室にある二人用の大きさの寝台へと縺れながら横たわる。

 博之がいそいそと残りの衣服を脱いて生まれたままの姿となると、能代は改めて滾って硬くいきり勃つ肉棒を指輪が光る左手で優しく撫で擦って刺激を与えながら、彼の胸元へと舌を這わせてゆく。

 能代の愛情が籠る奉仕に合わせて、博之も彼女の蜜が溢れ出続けている秘唇に指を挿し入れて、膣内をぐちゅぐちゅとわざと音を立てるように攪拌して、彼女が待望していた快感を与えてゆく。

 博之の指が能代の性感帯である陰核裏の膣壁や、孕み頃で発情して膣の浅いところまで垂れ下がってきている子宮口を擽る度、彼女はそれだけで軽い絶頂に至ってしまい、身体をびくびくと跳ねさせる。

「もう、がまん、できない……っ❤ のしろ、の……えっちな、とろとろ、お○んこに❤ ひろゆきさんの、かちかちの、お○んぽ❤ いれて、ほしい、ですっ……❤」

 博之の耳元で蠱惑の文言を囁いた能代の表情は蕩け切っていた。彼女は挿入を欲して熱っぽい眼差しを彼に向けている。誘いに応じた彼は、彼女の足を開くと、硬く滾った肉棒を秘唇に押し当てて、その状態で雁首を使って彼女の陰核をぐりぐりと刺激してやる。

「あふぅ、らめ、ひろゆき、さん❤ お○んぽで、クリ、ぐちゅぐちゅ、したら、だめ❤ のしろ、イっちゃう、また、イっちゃうぅぅぅっ❤ ひぁ、イく、イくぅぅぅぅっっっ❤」

 それだけの刺激でも、能代は身体をびくびくと震わせて絶頂に至ってしまった。彼女の身体は、最早逞しい肉棒を持つ目の前の男の挿入を待ち侘びて疼いている。

 然るに、危険日の不貞な性交である以上、能代は妊娠だけは避けねばならない。このままでは間違いなく生挿入をされてしまうと感じていた彼女は、脳裏に僅かに残っていた理性を総動員して気力を振り絞り、
「でも、このまま、シちゃたら……❤ のしろ、あかちゃん、デキ、ちゃうから……っ❤」
何とか快感で震える身体を起こして立ち上がる。彼の肉棒から辛うじて逃れた能代は、寝台に備え付けられた棚から夫との行為の際に使っていた避妊具を取り出して、それを博之におずおずと差し出した。

 博之は不承不承しぶしぶと言った表情でわざとらしく溜息を吐くと、
「じゃあ、能代ちゃんが付けてよ」
彼女の頬に最大限まで硬く滾った肉棒を押し付けて要求する。

 博之の逞しい肉棒を眼前で見せ付けられてしまった能代は、恍惚の表情で小さく頷くと、手にしていた避妊具の封を切って、男性側の先端、精液溜まりの部分を咥えた。

 能代は薬指の指輪が光る左手で博之の一物を握り込みつつ、亀頭に咥えた避妊具を密着させる。そして避妊具ごとゆっくりと口で咥え込む。彼女は唇だけで器用に避妊具を伸ばして、彼の肉棒を薄膜で覆ってゆく。

 しかしながら、能代が博之に差し出した夫との性交で使用していた避妊具は、博之の一物を根本まで覆う事ができず、竿の七割程でそれは伸縮の限界に達してしまった。

 しかしそれを気にするでもなく、能代はやや中途半端な状態に避妊具が付く博之の肉棒を、彼の表情を熱っぽい蕩けた表情のまま見つめながら咥え込むと、それを熱心に舐って快感を与えてゆく。

 どんどん滾って硬く太く締まる博之の一物を夢中で舐り続けていた能代は、いつしか自らぐしょぐしょに濡れそぼっているショーツのクロッチに、空いた右手の中指を押し当てて、陰核を弄して快感を得ようとしていた。

 それを目の当たりにして溜まらなくなってしまった博之は、能代に口淫を止めさせると、再び彼女を孤閨の寝台へと押し倒した。

「はやく❤ はやく、お○んぽ、いれて、ください……っ❤」

 息を弾ませて期待の眼差しを向けてくる能代の様子に満足そうに頷いた博之は、彼女の愛液を染み込ませてぐしょぐしょに濡れてしまっているショーツのクロッチをずらすと、やはり蜜を溢れさせている秘唇に滾った肉棒を押し当てて、膣内へ無遠慮に挿入してゆく。

 待望の肉棒を膣奥に迎え入れたことで、
「ひぁ、お○んぽ、はいって、きて……っ❤ おくまで、おくまで、いれてぇぇ❤ あっ、だめ、だめぇぇ❤ お○んぽ、はいって、きた、だけで、イっちゃう、だめ、イく、イくぅぅぅぅっ❤」
能代は早速、呆気なく絶頂へと導かれてしまう。彼女の膣は侵入してきている男根から精を搾らんと、きゅうきゅうと締め付けて刺激を与えてゆく。

 撮影のために用意したものではない、私物の下着姿の能代を、孤閨で寝取っているということもあって、男の興奮は最高潮に達していた。

 然るに、普段は使用する事がない避妊具の薄膜が一物に付いているということもあって、博之の感度はいつもより鈍っている。彼は普段よりも抽迭を激しくして、能代の膣で肉棒を扱いて、射精へと駆け登ってゆく。

 博之の激しい抽迭によって、肉棒の先端が孕み頃で浅いところまで垂れて来ている能代の子宮口がごりごりと削られるかのように刺激される。彼女は既にもう両手では数え切れない程には絶頂に至ってしまっていた。

「らめ、きちゃう❤ しゅごいの、きちゃう❤ のしろ、また、イっちゃう❤ ひろゆきさんの、ぶっとい、お○んぽで❤ また、イっちゃい、ますぅっっ❤ あっ、ひろゆき、さんの、お○んぽ、も❤ びくびく、って、して……っ❤ ひろゆきさんも、イってぇ❤ のしろの、お○んこの、なかで、イってぇぇぇ❤ いっしょに、イきたい❤ せーし、なかだし、されながら、イきたいのぉ❤」

 能代の可愛いおねだりに応えるかのように、博之はすぐそこまで見えて来ていた絶頂に向かって一際激しく腰を使って駆け上ってゆく。やがて彼女が一際大きな絶頂に至ったところで、彼も耐え切れず肉棒を彼女の膣奥に埋めたまま絶頂へと至った。

 博之の肉棒はびくびく、と震えながら脈動して、能代の膣奥で避妊具の精液溜まりへと欲望を吐き出してゆく。それを感じ取った彼女は、
「あ、あぁぁ……っ❤ せーし、でてりゅ❤ でてりゅ、よぉ❤ イっちゃってる、お○んこに、いっぱい、せーし、なかだし、されてりゅぅぅ❤ すっごく、すっごく、きもち、いいのぉ……❤」
恍惚の表情のまま絶頂の余韻に浸って、若干呂律が回らぬままの譫言を独り言ちていた。

 びくびくと下腹部を痙攣させる能代の秘唇から博之が肉棒を引き抜く。すると、彼の一物の先端にある筈の亀頭が白濁で見えなくなる程に精液を湛えていた避妊具が姿を現した。

 肉棒が引き抜かれた刺激でもう何度目かも分からぬ絶頂へと至った能代は、蕩け切った表情のまま、
「わ、すごい……❤ せーし、いっぱい、でてる……っ❤ のしろの、お○んこで、いっぱい、きもちよくなって、くれたんですね❤ こんなに、だしてくれるなんて……のしろ、すごく、うれしい、です❤」
自身の身体によって博之が大量射精に至ったという事実に、女としての悦びを得て感激してしまっていた。

「そうだ、性交でとろとろになっちゃった能代ちゃんのえっちな写真も撮らせてね。これは個人的なオカズに使わせて貰っちゃおうかな」

 博之が冗談交じりに口にしながら、いつの間にか手にしていたカメラで、ショーツがずらされて、ぐしょぐしょに蜜を溢れさせている、性交の余韻に浸って秘唇を晒したままの、呼吸を乱したまま蕩けた表情を浮かべる能代の淫乱な姿を撮影してゆく。

 博之の自慰の素材に用いるかもしれない、という先程の言に、能代は恥ずかしそうに頬を紅く染めつつも、
「やだ、ひろゆきさん、ったら……っ❤ のしろの、えっちな、しゃしん❤ ひとりえっちで、お○んぽ、しこしこするときに、つかっちゃ、だめ、だめ、ですよぉ❤ ひとりで、しこしこ、する、くらいなら……のしろと、えっち、して❤ お○んこの、なかで、いっぱい、せーし、だして、くださいっ❤」
どこか満更でもなさそうな、女の悦びに富んだ妖艶な照れ笑いを浮かべていた。

 そうして更に数枚、能代がとても他人には見せられないような個人的な写真を撮られたところで、すっかり満たされていなかった性欲に火が着いてしまったらしい彼女は
「のしろ、まだ……たりないです……っ❤ もっと、お○んぽ……して、ほしい……っ❤ ずっと、ずっと……えっち、したくても、がまん、してた、からっ❤ まだまだ、シたりない、ですっ❤」
カメラを向けてくる博之に、続けざまの性交をねだってしまう。

「それじゃあ、次はコレを着けて撮ってみよっか?」

 能代の要請に頷いた博之がそう言って持参した紙袋から取り出したのは、彼の事務所でモデル撮影の際に扱っている下着の中でも最高級である、今回依頼をしてきたメーカーのブランドの逸品だった。

 能代が手渡された袋の封を切ってみると、その中からは股間の肌色や恥毛が透けて見えてしまう程の象牙色の極薄布で丁寧に縫製されている、随所に様々な草花を模した刺繍や装飾意匠が散りばめられていている、一枚のタンガショーツが転び出た。

 能代がそれを手に取ってみると、クロッチ以外は全てレース生地で形成されているようで、可憐な印象を与えながらも男性の劣情を誘うためだけにあるような、非常に大胆な意匠になっている事が見て取れた。

 そしてそれと対になる、能代の豊満な乳房を丁寧に整えてくれそうな、ショーツと同じような意匠で形作られた、やはり可憐な印象を与えるブラジャーも、同じ袋の中に一着収まっていた。

「やだ、これ……ぱんつ……おまたの、おけけ、すけちゃう、やつ……っ❤ しかも、おしりも、レースのTバック、だなんて……っ❤ のしろの、えっちな、ところ……ぜんぶ、まるみえに、なっちゃう……❤ こんなの、だめ……えっち、すぎ、です……っ❤」

 能代は今まで目にした事のないような透け感があるショーツを手にしながら、自身が着用した時の事を想像して、顔を真っ赤にしている。

「能代ちゃんなら、こういうすっけすけのドスケベな下着が絶対似合うと思って……今回依頼して来たメーカーの社長に掛け合って、特別に用意して貰ったんだ」

 それが能代の為だけに用意されたものであるという事を明かしてくる博之の言葉に、彼女は胸を突かれていた。だから、
「そう、なんだ……のしろの、ためだけに……❤ あの、これ、すごく、うれしい……❤ すっごく、えっちで……❤ みられるの、はずかしい、けど……せっかく、だし……つけてみても、いい、ですか……?」
能代は興奮で息を弾ませながら、表情を綻ばせつつ、博之に問う。

 無論それは博之が能代に着せた上で、なし崩し的に性交へと至るつもりで用意したものである。だから
「勿論。是非能代ちゃんに着てみてほしい」
彼は能代の要望を一も二もなく頷いて是認した。

 博之の思惑通り、先程までの性交の余韻で蕩けたままの表情で用意された下着を身に付けた能代は、
「これ、だめ……❤ はだか、より……はずかしい、です、っ……❤」
先程自身で想像した通りの、抜群の透け感を実体験する事となり、興奮で息を弾ませつつ、羞恥で頬を染めていた。

 紅潮して色気付いた肢体や普段から丁寧に手入れがされていて慎ましく存在している陰毛がショーツから透けて見えてしまっているところまでを博之にじっくりと眺められながら撮影されてしまった能代は、いよいよ再び興奮が最高潮に達してしまっていた。

「のしろ……もう、がまん、できそうに、ない、です……っ❤ むらむら、とまらない、のぉ❤ ひろゆきさんの、おっきな、お○んぽ❤ のしろの、えっちな、お○んこの、おくに……もういちど、ください……っ❤」

 能代は撮影の途中ながら、再び替えの避妊具を手にして博之へと近づいて行きながら要求する。彼女はそのまま男の足元に跪くと、彼女の艶やかで煽情的な姿を目の当たりにして再び臨戦態勢に至っている肉棒に、再び唇を使って薄膜を装着してゆく。

「それじゃ、今度はこのスケベなショーツがより映える、バックでシましょうか? 能代ちゃん、俺にガンガン突かれるバック、すっごく好きだもんね?」
「ん、っ❤ ひろゆきさんに、うしろから、されるの……❤ すっごく、きもちよくって……❤ だいすき、です……っ❤」

 博之からの提案に、能代は蕩けた表情のまま頷いた。彼女は期待で胸を高鳴らせながら、自らの意思で寝台に四つん這いとなる。

「うわ、すっげぇエロ……っ。ぐしょぐしょのマ○コも、スケベなデカケツも、全部スケスケで丸見えだよ……っ」
「やぁ、だめぇ❤ みちゃ、だめぇ❤ のしろの、えっちなところ、みちゃ、やだぁっ❤」

 想像以上の光景に、博之は思わず生唾を喉を鳴らして飲み込みながら、能代の羞恥を煽るかのように呟いた。途端、彼女は羞恥から手近にあった普段自身が使っている枕に顔を埋めてしまう。

 能代が博之の身体から目を離した隙に、彼はこれ幸いとばかりに、肉棒に装着されていた、彼女の唾液がべっとりと付着している避妊具を素早く取り外してしまう。

 生の肉棒を能代の危険日の膣内へと侵入させようと企んで志向する博之が、ショーツの臀部のレース生地の端をぐい、と引っ張ってクロッチをずらし、彼女のとろとろと蜜を溢れさせ続けている秘唇を露わにさせる。

 いよいよ後背位で挿入されてしまう状況に至ったことで、能代は自ら尻を高く掲げると、
「のしろの、お○んこに……ひろゆきさんの、おっきな、お○んぽ❤ いれて、くださいっ❤ おく、まで……お○んぽで、いっぱいに、してぇ❤」
自ら指輪が光る左手の人差指と中指で秘唇を指で広げてみせつつ、右手で博之が押し当ててくる生の肉棒を膣の入口へと誘導する。

 能代から思わぬ誘惑を受けた博之は、最早辛抱ならぬ、といった表情で避妊具が付かぬ生の肉棒を彼女の肉壺へと埋めてゆく。

 膣奥深くまで無遠慮に挿し込まれた博之の一物の感覚は、普段の撮影時の合間の性交で感じるものと同じ、雁首や亀頭の感覚がはっきりと分かるものだった。それで能代は薄膜が取り外されているという事に気付いて
「ひぁぅぅ、っ❤ やぁぁぁ、っ❤ これ、なま、でっ❤ だめぇ、だめ、だめぇぇぇ❤ ひろゆきさん、なま、えっち❤ だめぇぇぇ❤ きょう、は、だめぇ❤ なまで、シたら、ほんとに、だめな、ひ、なのぉ❤ なまで、シたら、デキちゃうっ❤ のしろ、あかちゃん、デキちゃうっ❤ あかちゃん、デキちゃったら❤ おっとに、てーとくさんに、バレちゃう、からぁっ❤」
首を振って避妊をしない状態での性交を拒絶する。しかし身体は博之の肉棒に屈してしまっていて、能代の態度とは裏腹に挿入されている彼の一物を愛おしそうに咥えて離さない。

 博之は蕩け切った嬌声が混じった能代の抗議を無視して、彼女の身体に覆い被さるように体重を掛けて肉棒を無遠慮に突き込んでゆく。彼が数往復程度抽迭を繰り返すと、彼女はその動きだけでも強烈な快感を得てしまい、避妊の要を口にするのを諦めつつあった。

 いつしか能代は自身からも時折博之の無遠慮な抽迭に合わせて腰を動かして、より深い快感を貪る事に夢中になっていた。

 すっかり性感に溺れてしまった能代の腰の動きも相俟って、次第に射精感がこみ上げて来ていた博之は、彼女の膣の中程まで垂れさがって来ている子宮口に亀頭をめり込ませつつ腰の動きを小刻みなものに変える。

 先端を子宮口に擦り付けながら射精に至ろうとしている。博之の腰の動きからそれを察した能代が
「ひろゆきさん、だめ、だめぇぇ❤ せーし、だすなら、お○んぽ、ぬいて、ぬいてぇ❤ なかだしは、だめ、ぜったい、だめぇぇ❤ ほんとに、だめぇ❤ デキちゃう、あかちゃん、デキちゃうっっ❤」
膣内射精だけは避けようとして、最後の力を振り絞って藻掻いて抵抗する。

 然るに、博之にがっちりと腰から尻にかけてを掴まれたまま、射精へと向かう我武者羅な抽迭を受けた能代は、彼のなされるがままになるしかない。

「能代ちゃん、俺の子を、産んでくれ、っ……! 能代ちゃんの、危険日マ○コに、たっぷりと、俺の精液を種付けして……能代ちゃんを……俺のモノにしたいっ!」

 博之は、この期に及んで射精の態勢に入りながら支配欲を丸出しにした言葉を吐いた。能代はそれを耳元で囁かれたことで、再び胸を突かれてしまい、
「だめ、だめぇぇ❤ そんな、の、いわれながら、お○んこの、おく、ごりごり、されたらぁっ❤ のしろ、おかしく、なっちゃう❤ あかちゃん、ほしく、なっちゃう、よぉ❤」
いよいよ博之の肉棒に屈してしまっていることを認めながら、彼に後ろからきつく抱きしめられたことで気持ちよさそうに身体を震わせる。

 それを種付け要求への是認と捉えた博之は、能代の膣内にたっぷりと射精するべく子宮口に亀頭を擦り付けながら限界まで高まってゆく。

「能代っ、好き、好きだぁっ……! 孕め、孕めぇぇっ!」
「だめ、だめぇぇぇ❤ ひろゆきさん、だめぇぇぇ❤ なかだし、だめ、だめぇぇぇぇ❤ すき、とか、いっちゃ、だめぇ❤ そんな、うれしい、こと❤ いいながら、お○んこの、おく、ごりごり、したらぁっ❤ てーとくさんの、じゃない、せーしで、はらまされ、ちゃうぅぅ❤ あかちゃん、デキちゃうぅっ❤ やぁぁ、っ❤ おしり、そんな、つかんで、おく❤ ごりごり、しちゃ、だめ、だめぇぇ❤ イく、イっちゃう❤ のしろ、イっちゃうぅぅぅ❤ しきゅうの、いりぐちに、ひろゆきさんの、せーし❤ なかだし、されて❤ イっちゃうぅぅっ❤」

 博之が余裕のなさそうな声音で好意を口にしつつ、能代を孕ませるべく腰の動きを早めてゆく。それに彼女は拒否なのか是認なのかも分からぬ言葉を吐いたままびくびくと身体を震わせる。彼も彼女の膣の収縮に精を搾られる感覚を得て、思わず呻いた。

 刹那、二人は遂に同時に絶頂に至ってしまう。彼等はそのまま動きを止める。膣奥を烙く精液の感覚を得た能代は
「ひぁ、ぁぁぁ❤ せーし、いっぱい、でてる、よぉ❤ お○んこの、おく❤ おっきな、お○んぽが、どくどく、ってしてるの、わかっちゃう❤ こんなの、だめぇ❤ あかちゃん、デキちゃう❤ ひろゆきさん、との、あかちゃん❤ ぜったい、デキちゃう、よぉ❤」
膣内射精された精液が子宮口に浴びせられる感覚で、再び絶頂へと追いやられてしまう。

 博之の射精は先程とは比べ物にならないくらい、長く続いていた。余韻を感じながら、彼は肉棒を最奥に挿し込んだまま、能代の顎を無理矢理上向けに抑え付けて唇を貪る。

 能代も最早それに逆らう事が出来なかった。彼女は博之と舌を擦り合わせて、夫の顔や後先の事も全て忘れたまま、強烈な快感の余韻を目の前の男と夢中で分かち合っていた。

「はぁ、はぅぅ……っ❤ のしろの、きけんび、お○んこの、おく……❤ ひろゆきさんの、せーしで、いっぱいに、なってる、よぉ……❤ こんなの、だめぇ……っ❤ デキちゃう、ぜったい、デキちゃってる、よぉ❤」

 唇を解放された能代はぐったりと身体を弛緩させながら、譫言を呟いていた。博之が満足そうに彼女の膣から肉棒を引き抜くと、能代の膣は早速先程よりも大量に射精された精液を、まるで放屁のような不躾な音を立てながら溢れさせる。

「や、ぁぁっ❤ せーし、いっぱい、なかだし、されちゃってる、よぉ……っ❤ あふれて、きちゃう……っ❤」

 能代は呼吸を乱しながら自身の秘唇に指輪が光る左手を当てて、漏れ出た精液を掬い取りながら独り言ちる。やがて、彼女の左手は指輪も含め男の精液まみれになってしまう。

「はぅぅ、っ❤ ぱんつ、も……せーし、で……どろどろ……❤ ひろゆきさんに、のしろの、えっちなところ……ぜんぶ、みられて……❤ ぱんつも、おくも……しきゅう、も❤ たっぷり、よごされ、ちゃったんだ……❤」

 すっかり蕩けた雌の表情になってしまっている能代は、強い雄に征服されてしまったことを認めて、仰向けに横たわりながら、秘唇から滴って寝台の敷布を汚している精液をそのままに、下腹部を嬉しそうに撫でていた。

 そんな様子も博之が手にしていた撮影機材で撮られてしまったことで、能代は最早後戻りはできないのだろうな、と朧気に考えていた。

「能代ちゃんの、普段着も……俺のモノに、したいな……」
「ん……っ❤ いい、です、よぉ❤ のしろの、おきにいりの、ぱんつ、も❤ ひろゆきさんの、せーし、で……どろどろに、してぇ……っ❤」

 能代は博之からの要求に従って腰を浮かせて、精液塗れになった彼から贈られたショーツを脱ぎ払うと、先程まで身に付けていた愛液でぐしゃぐしゃに湿ってしまっている、生成り色のショーツを履き直した。

「やだ、っ……❤ ひろゆきさんの、せーし……❤ また、たれてきて……❤ のしろの、おきにいりの、ぱんつ❤ もう、よごされちゃって、る……っ❤」

 自身の普段身に付けている下着を博之の精液が汚しているという事実にも興奮してしまっているのか、能代はべっとりとクロッチに付いた彼の精液を指輪が付く左手の中指と薬指で掬いあげて、精液でどろどろになった二本の指を秘唇へと挿し入れる。

 能代は恍惚の表情のまま、指にべっとりと付着した博之の精液を危険日の膣壁へと塗り込んでゆく。そんな彼女の頭の中には、本来愛していた筈の英雄のことなどは、これっぽっちも残っていなかった。

「しっかり、受精できるように……能代ちゃんのここ、赤ちゃんの部屋……俺の精液で、たっぷたぷに、するから……っ」

 博之が能代の下腹部をぐりぐりと親指で優しく刺激しつつ、彼女の腰を掴んで再び肉棒を挿入しようとする。彼女はそれに嬉しそうに頷く。彼女は精液でどろどろに汚れてしまっている、婚姻の証が付く左手でクロッチを自らの意思でずらすと、
「ひろゆきさんの、せーし❤ のしろの、あかちゃんの、おへや、に❤ いっぱい、だして……だして、くださいっ❤ のしろ、きもち、よすぎ、て……❤ あかちゃん、ほしく、なっちゃった……❤ ひろゆきさんの、あかちゃんの、もと❤ いっぱい、だしてぇ❤ しきゅうの、なか❤ あかちゃんの、おへや❤ せーしで、たぷたぷに、して、ほしい、よぉ❤」
やはり未だ男の精液をとろとろと溢れさせている秘唇へと博之の肉棒を誘導して、夫よりも優れた雄に屈してしまったことを認めるかのような、蕩けた表情のままで、追加の膣内射精をねだってしまう。

 二人は唇を合わせ、舌を絡めながら再び雌雄を交わらせ始める。最早彼等を遮るものは何もない。能代と博之は只管に夢中で身体を交えて、再び同時に達するべく互いの性器に快感を与え合って、昇りつめてゆく。

「のしろ、また、だす……なかだし、する、ぞっ! はらめ、はらめぇぇっ!」
「きて、なか、だしてぇ❤ あかちゃん、デキちゃう、くらい❤ しきゅう、たぷたぷに、なるくらい❤ ひろゆきさんの、せーし❤ おくに、いっぱい、いっぱい、だしてぇぇ❤」

 二人が再び同時に達した刹那、能代の子宮の中に揺蕩っていた命の源に、先程まで大量に注がれて、子宮に吸い上げられて来ていた男の精子の一つが入り込んで受精卵となる。

 能代が続け様の性交の余韻に、気持ちよさそうに浸っているうちに、受精卵となったそれは、彼女の希望通り子宮の奥底に根を張り、新たな命を育み始めていた。

 能代は夫である英雄の与り知らぬところで不倫を重ね、遂に間男の胤で不義の子を身籠ってしまっていた。

 そんな大事に至っているとは露とも思っていない英雄は、相変わらず本来は家計費として能代に渡さなければならない少なくない金員を払ってまで、横須賀鎮守府にある慰安婦施設で、元部下で彼のお気に入り風俗嬢でもある阿賀野と身体を交える機会を作っていた。

 阿賀野は月経困難症に苛まれていたことと、性交をする事に危険性が伴うようになる生理期間を彼女自身が忌み嫌っていたことから、子宮の中に内膜を薄くする医療機器を挿入していた。

 だから阿賀野は、如何に膣内射精を繰り返されたとしても、ほぼ間違いなく妊娠の心配がない、避妊なしの性交でも快楽だけを貪る事ができる理想の身体を手に入れていた。

 だが阿賀野は、そういった自身の身体の事情を常連客にすら伝えていない。むしろそういった事情を彼女は逆手に取って、
「てーとく❤ いいよ、いっぱい、だしてぇ❤ あがの、の……おなかに……てーとくの、せーし、いっぱい、だしてぇ❤ あがのの、お○んこで、いっぱい、きもちよく、なって、あかちゃん、デキちゃうくらい、いっぱい、なかだし、してぇ❤」
孕ませ種付けを誘うような言葉をわざとらしく吐きながら膣内射精させる事を、男の興奮を誘うプレイの一環として取り入れていた。勿論これは有料のオプションであって、彼女の貴重な収入源にもなっている。

 阿賀野は妊娠することがほぼ望めない自身の身体の事情を、自分なりに身体の強みとして、強かに生かしていた。

 一戦交え終え、満足そうな表情で身支度を整えている英雄に、阿賀野が
「ねぇ、てーとく。最近、能代ちゃんのこと、ちゃんと見てあげてる? 能代ちゃん、すっごい、可愛い、女の子の顔になってたよ。まるで恋する乙女というか、色香のあるオンナというか、そんな感じだったよ?」
告げ口タレコミを、秘唇から溢れ出る義弟の精液を手近にあった箱から数枚抜き取ったちり紙で拭いながら口にする。

 しかしだ。英雄は自分が生活費の生殺与奪を握っている筈、という思い込みから、能代が自分に無断で他の男と会っているということを想像することが出来ていない様子だった。

 そんな自身の忠告すらも暖簾に腕押しであるという事を悟った阿賀野は、わざとらしく大きく溜息を吐きながら
「ほんっっと、女心をわかってないよね、てーとく。あがの、てーとくとのセックスは好きだけどさ。てーとくのそういうところは、ほんっと、嫌いなんだよね~。あたし、てーとくが彼氏とかセフレなら、まぁいいかもだけどさ。てーとくを旦那さんには、ゼッタイしたくないなぁ」
苦言と軽蔑が入り混じった本音を吐露してやる。

 能代とは違って物事を明け透けに言う阿賀野のこういったところを英雄としては気に入っていて、彼女が現役で部下だった頃から何かとズボラな彼女に対して便宜を図り、その見返りとして身体を使わせて貰ったりしていた。

 二人の関係は、能代と出会う前から不変だったし、英雄が能代と付き合い始めても、阿賀野が風俗嬢を志して退役を志願してからも、能代と永遠の誓いを交わした後でも全く不変であった。そうして今日まで、彼は義理の姉との肉体関係を継続し続けていたのである。

 然るにだ。阿賀野からの指摘を受けて、英雄はそういえば干してある下着が見覚えのない妖艶なものになっていたような気がすると、能代の不倫の予兆とも取れる事象に思い当たりを見出していた。

 しかし、妻である能代は英雄に対して一度も嘘を言ったことはなかった。そして何より、彼女には彼が思う必要最低限の生活費しか与えていない筈である。

 だから英雄は、妻がそういった下着を買いそろえる余裕もないだろうと断じ、元々彼女が持っていたが自身が見たことがないだけなのだろう、と自己解決してしまう。故に彼は、妻が不倫などする筈も理由もないだろう、と考えていた。

 そんな自己の都合ばかり並び建てられている反論を耳にした阿賀野は、この愚かな義弟には最早何を言っても馬耳に念仏であろうな、と溜息を吐かざるを得なかったのだった。


 義姉からの諫言に思う所があったのかは定かではなかったが、英雄はいつもより少し家路を急いでみていた。彼が帰宅してみると、家を預かっている筈の能代は留守で、家屋の中には人気は一切無かった。

 居間の食卓にはいつも通り英雄一人分の食事が用意されていた。そして義妹である矢矧の自宅に出かけているということが記された書置きが一通、食事が乗った皿の横に置かれていた。

 英雄は阿賀野から指摘されて思い出していた、能代の下着事情について確かめるべく、帰宅した着の身着のままで、乾燥機の機能を併せ持つ浴室へと足を向けていた。

 そこには確かに、英雄自身の下着などと並んで、彼が見た事もない、それこそ義姉あがのあたりが好みそうな、男の劣情を誘うような、透け感たっぷりの大胆な下着が何枚も干されていた。

 ある筈のない「能代の不倫」が現実味を帯びて来ている事に不安で押しつぶされそうになりながら、英雄が全く見覚えのないそれらの下着を手に取ろうと試みたその刹那だった。玄関の戸が音を立てる。彼は慌てて廊下へと飛び出していた。

 帰宅した能代は、夫の前では殆ど見せた事のない化粧を施した顔で、余所行きの紺色のセーターと亜麻色のミニスカートを着こなした姿だった。その彼女は少し頬を赤らめて上気した様子だった。

「あれ、提督さんヽヽ❤ ただいま、です。提督さん、今日は、早かった、ですねぇ❤」

 悩まし気な艶のある息を吐きながら、どこか余所余所しい感じで声を掛けて来る能代に違和感を覚えた英雄は、
「いったいこんな夜中まで、一体どこをほっつき歩いていた……」
不機嫌そうに彼女の行動を咎める。すると
「書置きの、通りですよぉ❤ 矢矧ちゃんのところに行ってて、ついでに彼女と二人でお外でご飯を食べてきちゃいました❤ 提督さんは、ちゃんと用意していたご飯、食べましたか?」
能代は相変わらず上気した頬を染めた表情のままで、素っ気なく自身の事情を語りつつ、用意していた食事を摂ったかどうかを訊ねてくる。英雄はそれで彼女が酒でも飲んで来たのだろうかと断じていた。

 能代は最早鈍感な夫に対して堂々と嘯く事を躊躇わなかった。彼女は実にほんの数十分前まで、愛人と密会していた。彼女は懐妊が確定したことを記念して、博之と何度も身体を交え、膣奥に自らを孕ませた胤を何度もたっぷりと注がれていた。

 能代の秘唇からは、先程まで注がれていた博之の精液がとろとろと溢れ出て来ていた。今彼女が身に付けている、英雄が未だ見た事もない妖艶なタンガショーツのか細いクロッチでは受け止め切れなかった間男の精は、彼女の太腿に白濁の水脈を何本も形成している。

 それを見咎められたならば、或いは能代の致命傷となったかも知れず、彼女は内心どぎまぎしていたが。やはり鈍感である英雄はそれにすら気付けぬままだった。

 能代の表情は確かに指摘の通り、自身と交際していた時分でも見た事のない、色っぽいオンナの顔へと変貌していた。義姉に言われて漸く気付いた事とはいえ、それを意識してしまった英雄は、そんな妻の色香で思わず生唾を飲んでいた。

 いつからこんな女の顔をするようになったのだろうか。英雄は改めて疑心暗鬼となる。だが、普段彼から能代を性交に誘うと言う事は皆無だったから、彼はどうしたらいいのかが分からず、只々立ち尽くすしかなかった。

 そうやって英雄がまごまごと煮え切らない態度のままでいると、
「そうだ、提督さん❤ 今晩、能代と、えっち、しませんか❤ 前、赤ちゃん、ほしい、って言ったじゃないですかぁ❤」
能代の方から誘いが来る。

 既に風俗嬢の義姉に数発搾り取られた後の筈であるのに、妻から誘われた英雄の肉棒は驚く事に再び熱く滾ってしまっていた。

 この誘いは当然、間男である博之に唆されたものだった。能代としては、最早夫と性交する事自体、気の進まない事ではあったが、
「妊娠が確定した以上、アリバイ工作の為にも、ちゃんと旦那ともセックスしろよ」
彼にそう言われたのならば仕方がない、という行動理念からの、無理矢理に愛想を振りまいての誘いだった。

 英雄はそういった妻の心変わりにも一切気付けなかった。だから彼は、能代の意図通り、托卵に気付く最後の機会を、呆気なく失ってしまうのだった。

作品キャプション

「やだ、これ……ぱんつ……おまたの、おけけ、すけちゃう、やつ……っ❤ しかも、おしりも、レースのTバック、だなんて……っ❤ のしろの、えっちな、ところ……ぜんぶ、まるみえに、なっちゃう……❤ こんなの、だめ……えっち、すぎ、です……っ❤」

元々書き初めのつもりで昨年末からプロットを作っていた作品ですが、いつの間にかもう3月じゃねーか……。
どうしてこうなったorz

またまた直接取引にてリクエストのご依頼で書かせて頂きました。
シチュエーション指定プランで、
「高スペックだけど悪人の男(法的や論理的に悪であり屑人間というわけではない)」
「それを知ってるけど抱かれて虜になる若妻」
ということで、「やむを得ない事情で下着モデルになった貞淑妻の能代さんが所属ダクションの社長にテクでコマされてトロトロになっちゃって、モラハラ夫提督のことなどどうでもよくなっちゃう話」を書きました。

タイトルが例によってクソ長。実際の表題は「貞淑妻能代さんのえっちな本性」です。

下着モデル能代さんのお話なので、下着の表現には特に注力したつもりです。
「高品質ぱんつ」でありますぞ!!提督殿ォ!!
サルートとかリザマリとかあたりのえっちな下着の写真を上げてるモデルさんをフォローして写真を眺めさせてもらったり、妻の協力を得て実際に下着を買って着てもらったりして研究を重ねた成果が出ているとよいのですが!

っかし、今回もだいぶクソ提督じゃったね。
わたくしの作品、クソ提督率が高い気がします。
もうちょっと提督が幸せになるお話も書いてあげるべきか……?

コメント (0件)

PDFファイルをダウンロードしています...